小林聡美、貫地谷しほり主演で現代能楽集Ⅸ『竹取』、構成・演出は小野寺修二

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2018.6.15
(左から)貫地谷しほり、小林聡美 (撮影:久家靖秀)

(左から)貫地谷しほり、小林聡美 (撮影:久家靖秀)


かぐや姫でおなじみ「竹取物語」をベースとした現代能楽集Ⅸ『竹取』が2018年10月、東京・三軒茶屋のシアタートラムで上演される。主演は小林聡美貫地谷しほり、構成・演出は小野寺修二

世田谷パブリックシアター芸術監督・野村萬斎が、古典の知恵と洗練を現代に還元すべく立ち上げた「現代能楽集」シリーズ。2003年以降、川村毅、鐘下辰男、宮沢章夫、野田秀樹、倉持 裕、前川知大、マキノノゾミという、日本演劇界を代表する錚々たる顔ぶれが作・演出を手掛けてきた。第9弾ではフィジカルシアターの旗手と称され、セリフ劇を超越した独自の演出スタイルで注目を集める小野寺修二が、かぐや姫の出生から昇天までを描いた日本最古の物語「竹取物語」をひも解き、新たなおとぎ話として創作する。

小野寺は、同シリーズでは、第5弾『「春独丸」「俊寛さん」「愛の鼓動」』で振付を手掛けたが、構成・演出を担うのは初めて。出演には、小野寺演出『あの大鴉、さえも』にも出演し映像でも飄々とした独自の存在感が光る小林聡美、ジョン・ケアード演出『ハムレット』では狂気をまとったオフィーリア役を熱演し高い評価を得た貫地谷しほりをはじめ、麿赤兒率いる舞踏カンパニー・大駱駝艦の小田直哉、カンパニーデラシネラの崎山莉奈、藤田桃子、パーカッショニストの古川玄一郎、宝生流能楽師の佐野登という様々な出自の俳優陣が顔を揃える。さらに、脚本にはユーモアとせつなさとが同居する愛おしい作風が魅力の詩人平田俊子、音楽には自由な構成の親しみやすい旋律が胸に心地よい音楽家阿部海太郎らを迎え、チャーミングで実力派ぞろいの出演者とともに日本最古の物語文学『竹取物語』の再生に挑む。

なお、東京公演の後には、滋賀・兵庫・福岡・熊本を巡演する。

<演出家・出演者コメント>

小野寺修二(構成・演出)

日本最古の物語といわれる竹取物語。昔絵本で読んだかぐや姫は、やんごとなき美しさとの噂がめぐっていくのを「怪物だと周りにバレたら掌を返すから、気をつけて!」と神経質になって読んだ記憶があります。(実際、急激に成長した不思議な子どもであることは膨らまされずでしたが)
子どもの天井知らずの万能感はきっと今も昔も、何の迷いもなく文字通りすくすくと成長し、かぐや姫を育て始めてから翁の元には黄金が竹の中からザクザク出てくるのも何だか説得力を持つ気がします。その子どもの世界がある時トンと天井にぶつかって守られていた境界線がなくなり、女性となったかぐや姫は世間に投げ出され浮標のない状態、ああだこうだ勝手に評され、かぐや姫の五人衆に対するわがままな無理難題も、胸のすくような共感するような、何とも読み切れない孤独感あり。月への帰還を阻止しようと皆が空に向かって無駄に弓矢を射るところが印象深く、その確かにいたのに結局いなくなってしまう、悲しいともハッピーとも違う、言ってみれば中庸さ、そんなことを表出したいと思っています。
今回、小林聡美さんと貫地谷しほりさんというお二人にご出演頂けることになり、最古であり現代でもある何か新しい普遍を見つけられればと思います。

小林聡美

小野寺さんは優しい顔をして、実は厳しい(笑)。身体を全力で絞り出す様な感覚と集中力と瞬発力が求められます。そこを覚悟して、楽しく稽古に挑めたらと思います。
貫地谷さんとは初めてお会いしましたが、身長が私と全く同じでとても親近感を感じました。芯の強そうな女優さんで、共演がとても楽しみです。他にも能楽師やダンサーなど、共演者に様々なジャンルの方々がいらっしゃるのがこの作品の魅力だと思います。『竹取』がどういう作品になるのかまだわからない段階ですが、皆様に驚きと楽しさを感じていただけるよう、頑張りたいと思います。

貫地谷しほり

元々「かぐや姫」のお話には興味がありましたが、今回小野寺さんが演出されるということで、ただ物語の美しさだけでなく、人間の影の部分みたいなものも描かれるのではないかとさまざまな期待が膨らんでいます。自分自身不安な部分はありますが、フィジカルシアターというか、新しいジャンルに挑戦できる機会ですので楽しみです。小林さんはお芝居から伝わってくる潔さが気持ちよく、ずっとご一緒してみたかったのでとても嬉しいです。今日初めてお会いしましたが、ビジュアルの撮影で一緒に面白いポーズをとってみたり、小野寺さんとのやりとりも和気あいあいとした雰囲気でしたのでこれからの稽古が楽しみです。

公演情報

現代能楽集Ⅸ『竹取』
 
■構成・演出:小野寺修二
■脚本:平田俊子
■音楽:阿部海太郎
■企画・監修:野村萬斎
■出演:
小林聡美 貫地谷しほり
小田直哉(大駱駝艦) 崎山莉奈 藤田桃子 古川玄一郎(打楽器奏者) 佐野登(能楽師 宝生流シテ方)

 
■日程:2018年10月5日(金)―10月17日(水)
■会場:シアタートラム
■主催:公益財団法人せたがや文化財団
■企画制作:世田谷パブリックシアター
■公式サイト:https://setagaya-pt.jp/performances/201810taketori.html

 
■ツアー情報
滋賀公演 10/21(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
兵庫公演 10/23(火)・24(水) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
福岡公演 10/27(土)・28(日) 福岡市立東市民センター なみきホール
熊本公演 11/2(金) 熊本県立劇場 演劇ホール
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