ミュージカル『深夜食堂』開店! 筧利夫「あの人よりマスター役に近いでしょ?」
ミュージカル『深夜食堂』が、2018年10月26日(金)、東京・シアターサンモールにて初日を迎えた。同日日中には公開ゲネプロ(通し稽古)が行われ、その後の囲み会見にマスター役の筧利夫が登場し、上演に臨む今の心境を語った。
本作は、安倍夜郎作の漫画を原作とした作品。新宿繁華街の片隅にあり、深夜0時から朝の7時までしか営業しない小さな飲み屋を舞台に、この店に集まる様々な人間の心模様や人生を時にユーモアいっぱいに、時に切なく描いている。日本ではTVドラマ化、そして映画化もされ人気を博したが、韓国ではなんとミュージカル版が作られこちらも大ヒット。それを受けて今回日本版が製作された。演出を務めるのはミュージカル『王家の紋章』などの大作を手がけた荻田浩一。(※参照記事:「原作・安倍夜郎と演出・荻田浩一が対談」)
筧利夫
会見で筧は「今回、原作のネタをお借りしましたが、今後はオリジナルにして、毎年1回の公演をしていこうと思っております。EXILEの『HiGH&LOW』のような野望があるわけでございます」と、冗談か本気か分からないトークで笑いを誘い、「次回は中劇場クラスで3ヶ月公演、その次は大劇場で半年公演、そしてアジア全部を回ろうとしています」と壮大なプランを語った。
稽古中のエピソードを聞かれると、「『急に歌詞を忘れちゃう病』になりまして、今日のゲネプロでも歌詞を忘れて、歌詞を即興で作っちゃった! やばいなこれ。お腹が減ってるからかな?」と苦笑しつつも「稽古では、1週間くらいで最後までできてしまったので、それからは通し稽古ばかりやってましたね。20回以上はやっているので全体的な安定感があります」と胸を張った。
「原作のキャラクターに似ていますね」と声をかけられると、筧は「(TVドラマ、映画版でマスター役をやった小林)薫さんより僕の方が(役に)近いですよ!」とニヤリ。とはいえ、ミュージカルということで「歌は難しいですね」と本音もポロリ。「レッスンの最初の頃はひどかったです。最近ようやくまともになった。でも今日は歌詞を作っちゃったけどね(笑)」
マスター役を演じる上で心がけた点について、筧は「余計なことはしないことですかね。みんな(僕を)マスターと分かって見ていますから。まあ最近は余計なことをする気が起きないんですが」と含みを持たせていた。
なお、作品の内容に絡めて、筧にとって思い出に残る料理を聞いたところ、「やっぱりタコのウインナー炒めですね。お弁当に入ってましたし」と笑顔を見せた。
「出演者それぞれのファンの方も楽しいんじゃないかな? 他ではやらなそうな役や演技をしますから」とこれから劇場を訪れる観客に向けて期待を持たせる筧だった。
おそらく、原作やTVドラマ版、映画版の『深夜食堂』を知っている方は、あのキャラクターたちがステージの上に生身の姿で登場し、歌って踊る姿をそう簡単には想像できないだろう。だがその疑問はあっという間に払拭されるはず。マスターをはじめ、「深夜食堂」の常連たちは漫画の中から我慢できず飛び出してきたかのようにエネルギッシュに歌い騒ぎ、酒とおつまみを食べながら思い思いにクダを巻く。その人間味溢れる姿は何度も笑いと涙を誘い、そして胸の奥をほっこりあたたかくする。劇中の楽曲の美しさとそれを歌う実力派キャストたちのパワーにも驚かされる。もちろん、原作に描かれているタコさんウインナー、卵焼き、猫まんま、バターライス、お茶漬けなどのエピソードもたっぷりだ!
さらに一つ、もし覚えていたら、で構わないが、芝居中に「嗅覚」も働かせてほしい。「深夜食堂」のカウンターの奥から時々美味しい匂いがするかもしれない。一度気が付いたら終演後、真っ直ぐ帰宅できなくなること請け合いだ。
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
■会場:シアターサンモール
■日本語上演台本・訳詞:高橋亜子
■音楽監督・編曲・歌唱指導:福井小百合
■演出:荻田浩一
筧利夫(マスター)
藤重政孝(忠)
田村良太(小寿々)
小林タカ鹿(剣崎竜)
碓井将大(ゲン)
エリアンナ(マリアン松嶋)
AMI(千鳥みゆき)
谷口ゆうな(鮭)
愛加あゆ(明太子)
壮一帆(梅)
熊谷絵梨(Pf)
相川瞳(Perc.)
中村康彦(Gt.)
中村潤(Vc.)
※聴覚障害者用日本語字幕字幕対応として「おもてなしガイド」アプリを使用した字幕システムを導入→詳細はこちら