映画『鈴木家の嘘』で演劇界のクセモノ俳優たちが跳梁跋扈
『鈴木家の嘘』
突然訪れた長男の死によって巻き起こる家族の混乱と再生を、ユーモアをまじえつつあたたかく描いた感動作『鈴木家の嘘』が2018年11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて公開中である。11月17日〜18日の「ミニシアターランキング」(興行通信社)ではアニメ『続・終物語』に続いて初登場第2位を記録、実写映画では1位となる快調なスタートとなった。SNSでは、「今年の邦画N0.1」「映画で自分に『革命』が起きたのは『この世界の片隅に』以来はじめて」「今年一番泣いた」「2018年マイベスト映画を更新した」等々、熱のこもったコメントが続々とあがっている。
橋口亮輔監督(『恋人たち』)、石井裕也監督(『舟を編む』)、大森立嗣監督(『セトウツミ』)ら、数多くの作品で助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作となる本作。鈴木家の家長である父・幸男役に岸部一徳、母・悠子役に原日出子、ひきこもりの長男・浩一役に加瀬亮、鈴木家の長女・富美役に、瀬々敬久監督作『菊とギロチン』でもヒロインを務め、本作と『菊とギロチン』での演技により第31回東京国際映画祭「東京ジェムストーン賞」を受賞した注目の新星・木竜麻生。岸本加世子や大森南朋も強烈なキャラクターの親族を魅力的に演じており、日本映画を代表するベテラン・演技派が勢揃いした豪華なキャスティングが話題だ。
さらに注目を浴びているのが、脇を支える個性的なサブキャラたち。「本物か?と見紛うリアリティがハンパない!」「いるいる、こんな人」「むちゃくちゃリアル」と観客から賞賛の声が寄せられている彼らの多くは、本作のワークショップによって選ばれた日本演劇界のクセモノ俳優たちだ。
ずらりと顔を揃えた、演劇界の“クセモノ”たち
大切な人を喪った遺族たちが集うグリーフケア団体「分かち合う会」のメンバーで、14歳の娘を失った日比野さつき役を演じる吉本菜穂子。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』など本谷有希子作・演出作品の常連女優だ。2018年には本多劇場で主演舞台、ロ字ック「滅びの国」も。今年は本作のほか『人魚の眠る家』など映画でも活躍しており、ドラマ・映画の「深夜食堂」シリーズのお茶漬けシスターズ役でもおなじみ。2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』では石田三成の正室うたを演じた実力派である。
吉本菜穂子
同じく「分かち合う会」でいつもお手製のキュウリの漬物をふるまう米山役を演じる川面千晶は、向田邦子賞、岸田國士戯曲賞を受賞した岩井秀人主宰の劇団「ハイバイ」に所属し、劇団「ヨーロッパ企画」の公演や「クヒオ大佐の妻」(作・演出:吉田大八)など、数多くの舞台に出演している。監督いわく脚本では中高年の女性という設定だった米山役を演じた彼女、実は現在29歳。年齢を超越した表現力が話題を呼んでいる。
川面千晶
「分かち合う会」の参加メンバー・小林役を演じる島田桃依は舞台『続・時をかける少女』(作・演出:上田誠)や劇団「庭劇団ペニノ」、「城山羊の会」、映画『ハード・コア』(2018/山下敦弘監督)に出演するほか、2019年3月上演の劇団「ベッド&メイキングス」による新作『こそぎ落としの明け暮れ』に出演予定。
島田桃依
「分かち合う会」でボランティアスタッフを演じた金子岳憲も、蜷川幸雄率いる「ニナガワ・カンパニー・ダッシュ」から劇団「ハイバイ」を経て、近年は山内ケンジ主宰「城山羊の会」や劇団「こまつ座」などに出演し、硬軟さまざまな舞台に出演する実力派。
金子岳憲
父役の岸部一徳が息子の生きた痕跡を探しに出向くソープランド「男爵」の店長役を演じる山岸門人は、劇団「鹿殺し」を経て、長塚圭史演出『テキサス-TEXAS-』、ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』など舞台で活躍、独特の存在感で異彩を放つ。『あなたのことはそれほど』(TBS)、『きみが心に棲みついた』(TBS)などテレビドラマでも活躍するほか、ノジマのCMでもお馴染みだ。今後ますますの活躍が期待される。
山岸門人
物語終盤に鈴木家を訪れる謎の霊媒師(?)役の政岡泰志は、河原雅彦率いる伝説的演劇ユニット「HIGHLEG JESUS」元メンバーで、1992年の旗揚げから2002年の解散まで全作品に出演。自身でも劇団「動物電気」を主宰し、パルコ・プロデュース『いやおうなしに』など、数多くの舞台に出演。映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018/冨永昌敬監督)、『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』(2016/熊切和嘉監督)など、映画でもアクの強い役で印象を残している。
政岡泰志
ぜひ『鈴木家の嘘』で、演劇界のクセモノたちによるサブキャラたちの名演を味わっていただきたい。
【動画】『鈴木家の嘘』90秒予告
上映情報
■監督・脚本:野尻克己
■撮影:中尾正人
■照明:秋山恵二郎
■録音:小川武
■美術:渡辺大智/塚根潤
■編集:早野亮
■製作:松竹ブロードキャスティング
■配給:松竹ブロードキャスティング/ビターズ・エンド
©松竹ブロードキャスティング
2018年/日本/133分/カラー/ビスタ/5.1ch/DCP