『RADWIMPSの胎盤』の見どころを対バン相手から予想する 3

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2015.11.10
RADWIMPS

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LOVE PSYCHEDELICO

LOVE PSYCHEDELICO

第3回:LOVE PSYCHEDELICO

ついに開幕、すさまじい反響を呼んでいるRADWIMPSの対バンツアー『10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤』。SPICEではそれぞれの対バン相手にフォーカスをあて、彼らそれぞれの音楽性や歌うテーマがRADWIMPSとどのような共通点、あるいは共鳴するポイントがあるのかについて考察している。第3回目はLOVE PSYCHEDELICO。無二の個性を持ったサウンドと各々のルーツへの愛に満ちた2組の邂逅はもう間もなくだ。



「温故知新」という言葉があるように、自らのルーツや先人の功績に敬意を払いつつ新しい道を切り開くという意識は、とても大事なこと。もちろんそれは表現の世界、音楽の世界においてもいえる。

11月10日にZepp Nambaで共演することになる2組、RADWIMPSとLOVE PSYCHEDELICOを繋ぐものは何か。そう考えたときに、前述の「温故知新」ともいうべき「ルーツとの向き合い方」と「自らの表現への活かし方」に気付く。


LOVE PSYCHEDELICOは元々のバンド名「LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA」を略して現在の名称になったそうだが、そのネーミングにおける「LOVE」「PSYCHEDELIC」という2つのワードはどちらも60年代後半~70年代前半にかけての世相と大きな関わりのあるものだ。「LOVE」は「愛」という普遍的な単語であるものの、今でもロックの象徴的に使われる「LOVE&PEACE」というワードは、まさにこの時代、ベトナム戦争への反対を訴えた若者たちによるムーヴメント――ヒッピーカルチャーに端を発している。「PSYCHEDELIC」というのも、ヒッピーカルチャーにおけるドラッグ等の使用による幻覚作用を形容する表現が語源だ。そしてLOVE PSYCHEDELICOが奏でる音楽自体も、まさにその時代の音楽への熱いリスペクトに満ちている。

デビューシングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」のタイトルからして、ザ・ビートルズが1968年にリリースした「Lady Madonna」へのオマージュがありありと窺えるし、サウンド自体も60~70年代のロックンロール、フォーク、ブルースなどを彷彿とさせるローファイな構造であるにも関わらず、LOVE PSYCHEDELICOが単なる懐古趣味的なオールド・テイストのバンドにならなかったのは、音質を含むミックス技術、歌とラップの中間のようなメロディライン、日本語とネイティヴな英語を織り交ぜた歌詞など、聴くものにとって真新しい要素を巧みに打ち出したからだ。彼女たちの楽曲にはビートルズ、ボブ・ディラン、ストーンズといったロック黄金期の音と、2000年代以降の真新しさが絶妙な配分で同居している。


RADWIMPSの場合、LOVE PSYCHEDELICOほど明確にそのルーツが窺えるサウンドというわけではない。楽曲によってガラッとテイストが、ときにジャンルまでもが変わる大きな振れ幅を持っている。この辺りは世代的なものもあるのかもしれない。RADWIMPSの面々が音楽に触れ、バンドを組むような年齢になった頃には、ミクスチャー・ロックに代表されるような、時代とジャンルを横断した音楽とアーティスト(それこそLOVE PSYCHEDELICOも)が次々に生まれていたのだ。彼らは自然と「温故知新」する世代といっても良い。

その中でもRADWIMPSの雑食性は際立っている。メロディック・パンク、ゴスペル、ブルース、レゲエ、ヒップホップ、ヘヴィロック……挙げればきりがないが、楽曲ごとに過去のあらゆるジャンルのエッセンスを巧みに取り入れ、しかも曲によっては王道に、あるいは斬新な形で、再構築している。同時に、一歩間違えれば「〇〇っぽい」「○○風」と受け止められてしまうかもしれないあらゆる影響までを、キチンとRADWIMPSのサウンドにしてしまうのである。それは小手先だけでなくしっかりとしたリスペクトと技術を以て、過去のミュージシャンやそのジャンルと向き合っているから。そして優れた時代感覚で最新のエッセンスを注入しているからだろう。


対バンライブ当日に披露される楽曲たちにも、それぞれのルーツ――時代やジャンル、様々なアーティストが存在する。そこに目を向けつつ、ステージ上で繰り広げられるパフォーマンスを楽しむことで、両者のファンにとって音楽的視野を拡げる場になれば最高だと思う。


そして、世代的に1~2世代違うRADWIMPSとLOVE PSYCHEDELICOの共演は、お互いにとっても「温故知新」の場ともいえるのかもしれない。

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