ストレイテナー『RUSH BALL 2019』クイックレポート ーー大雨も止ませた4人のロックの力と表現力を体感
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『RUSH BALL 2019』ストレイテナー
昨年の『RUSH BALL』の3デイズで大とりを飾ってくれたストレイテナーが、今年も泉大津フェニックスにカムバック! まずはファンキーなグルーヴもまとう「DONKEY BOOGIE DODO」から、ガッツリとバンドサウンドで魅了する。
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雨が煙る会場にも似合う妖艶さと厚みが漂う質感は、続く「Tornado Surfer」と「KILLER TUNE」にも流れつつ、シャッフルビートや湿度の高いボーカル、そして曲をリードする印象的なベースや荒ぶる歌声と絡んで、ある種、彼らのダークサイドを垣間見せてくれる。
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大雨の中で観客はすっかりその音世界に没入し、カラフルなレインコートとのびた手がゆらゆらと揺れるが、次にホリエ(Vo.G)が「音楽の嵐でぶっ飛ばそうぜ!という曲」と枕言葉を置く「Melodic Storm」では、不思議なことにその言葉どおりに雨が小休止状態に! イントロから掲げられた拳は上下し、今度は彼ら特有のスケール感と爽快感が広がり、見えない青空を見せてくれるようなブライトな感触。
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加えて「DAY TO DAY」では、ホリエの「聞こえるかい?」のシャウトから、ドラム、ベースと順に重ねメロディックに高まるシーンでより一層の広がり。しかもそのまま響き出すのは、夏の終わりには欠かせない曲「シーグラス」! 問答無用にせつないメロディを背景に、「きっと……」の胸を張り裂けさせる歌声、ギター、クラップが一つになってセンチメンタリズムが爆発。何度、この曲で夏を見送ったとしても、人の心に訴えかけるそのパワーは衰えることがないのだろう。
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そして4人は、贈り物代わりと言うように、10月9日(水)リリースのミニアルバム『Blank Map』をからの曲「スパイラル」をラストにセレクト。こだまするように歌うギターや徐々に熱を帯びていくサビはホリエのファルセットも交えリピートして耳に脳裏に焼きつくと同時に、最終の《いつかまた ぼくの歌を聴いてくれ》のフレーズもいつまでも心から消えることがなさそうだ。全8曲、彼らのロックの良さを凝縮して楽しませてくれたライブに、この秋から始まる『Drawing A Map TOUR』にも期待が高まるばかりだ!
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取材・文=服田昌子 撮影=河上良
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