荒牧慶彦、1人8役で古代エジプトの神々を熱演! 『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』を先出しレポート

レポート
アート
2021.2.6
『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

画像を全て表示(5件)

江戸東京博物館で4月4日(日)まで開催中の『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』。本展の開催を記念して、本展で音声ガイドナレーターを務める俳優・荒牧慶彦が1月25日(月)に特別朗読会を行った。舞台『刀剣乱舞』の山姥切国広役をはじめ、2.5次元舞台などでの活躍も目覚ましい彼が語るのは、古代エジプト神話における死と再生、そして愛と憎しみの物語である。本公演は2月7日(日)から日テレゼロチケ LIVE STREAMING、イープラス・Streaming+ほかでストリーミング配信も決定。ここでは配信観賞への誘いとして本公演の見どころを先行してお伝えする。

2.5次元舞台で活躍する俳優・荒牧慶彦が古代エジプト神話の物語を語る

東京・両国の江戸東京博物館を会場に、ドイツの国立博物館から古代エジプトの至宝130点が来日している本展。本展で荒牧は音声ガイドの声のほか、会場内の展示をアニメーションで解説する展覧会キャラクター「アヌビス」の声を務めている。アヌビスは古代エジプトにおいて冥界の案内人とされた犬顔の神、アヌビス神から生まれたキャラクターだ。このアニメーションで荒牧はモーションキャプチャーによるアヌビスの動きも担当し、楽しくかつ解りやすく訪れた人々を古代エジプトの世界に誘う役割を果たしている。

『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』で見られるアヌビスのアニメーション解説

『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』で見られるアヌビスのアニメーション解説

感染症対策が徹底される中、会場となった同館の大ホールには約300人の観客が来場した。この日はアヌビスが表紙に描かれた台本も全員に配られた。開演前には古代エジプト神話におけるすべての始まりの原点である原初の海「ヌン」を思わせるような波の音色が流れる。そして、開演を伝える雷鳴が響き渡るとアヌビスが映像で登場。原初の海から創造神アトゥムと原初の丘が自ずと出現し、そこに別の神々が生み出されて世界が構築されていく全体のプロローグが語られ、それに続いて荒牧が舞台に上がった。

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

この日語られたのは、古代エジプト神話の中でもとりわけ人気の高いオシリス神話をもとにした『オシリス・セト・ホルス~イシスの愛と執念~』という4章立てのストーリーだ。壇上で一礼し、温かい拍手を受けた荒牧は次のように語り始める。

「この朗読は展覧会を見た方にも楽しんでいただけるよう、展覧会ではあまり詳しくは語られていないオシリスとイシスにまつわる物語を読み解きます。この神話は今から五千年も前に生まれたもので、その当時の資料は断片的なものばかりです。それゆえ様々な捉え方をされています。今日お話しするのは、あくまでそのさまざまある節の中のひとつです。オシリスとイシス。先ほど流れた映像にも出てきた古代エジプト神話ではとても有名な神様です。二人は兄弟として生まれ夫婦となり、ホルスという子供を授かります。さらにこの二人にはセトとネフティスという弟と妹もいて、この二人も夫婦になります。今からお話しするのは、この神々が辿る長い長い物語です」

オシリス、イシス、セト……、荒牧が1人8役で演じる“神々の声”

いくつかの体系がある古代エジプトの創世神話のうち、広く知られている神話のひとつがヘリオポリス神話である。この神話の中では、創造神アトゥムとアトゥム神を祖先として生まれたオシリス神、イシス女神、セト神、ネフティス女神ら8つの神を合わせて「ヘリオポリスの9柱神」と呼んでいる。つまり今回の物語は、兄弟であり夫婦でもあった神々による複雑な愛憎劇なのである。エジプトの王(ファラオ)になったオシリスは正しい法で国を治め、名君として人々から深く敬愛されていた。だがしかし……。

「しかし、ただ一人だけオシリスを妬んでいるものがいた。それは弟のセトである。王位を自分のものとするため長男になろうと、女神ヌウトの脇腹を突き破って生まれたとも言われているセトは『いつか王の権力を我が者にしたい』と強く願っていた……」

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

そんな風に兄が邪魔だったセトは、オシリスを生きたまま棺の中に閉じ込めてナイル川に放ち、自らを新しい王だと宣言する。そこからオシリスの妻・イシスの夫を見つけ出す長い旅が始まるのである。

語り手の荒牧は複雑に関係が絡み合った神々の声を巧みに演じ方を変えながら伝えていく。例えばセトを演じる時は立ち上がって片手を広げながら体も使って禍々しさの混じった威光を表現し、イシスを演じる時は優しさの中に芯がある強い女性の声を聴かせる。この日は合わせて8役を演じ分けたが、アヌビスだけでなく、これだけ様々な荒牧の“神の声”が聴けただけでも、観客の満足感が満たされたことは間違いない。

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』

ストーリーの中にはアヌビス神の誕生の由来やオシリスが冥界の王になった成り行きなど、本展の世界観を理解する上でも重要なエピソードがふんだんに盛り込まれている。また、各章の合間には登場人物にまつわる本展の展示物が映し出され、古代エジプトの世界観に溶け込む演出も見られた。

その後、イシスの深い愛と苦難の甲斐あって復活を果たしたオシリスだったが、やがて間もなくして二人の間に息子のホルスを残し、冥界へと旅立っていく。そして物語はイシスの宿年の仇であるセトとたくましく成長したホルスとの80年近くに渡る長い戦いへと移り変わり、終盤に向かうごとに白熱さを増していく。荒牧の演技にも力が籠もっていく中で、二人のバトルは果たしてどういう終わりを迎えるのか。それはぜひ、ストリーミング配信で確認してほしい。

「古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会」は、2月7日の午前10時から2月10日の午後11時59分まで、日テレゼロチケ LIVE STREAMING、イープラス・Streaming+ほかでストリーミング配信。前売り券は現在発売中。古代エジプトの神々を演じ分ける荒牧の熱演は必見。もちろん“王子様キャラ”的な声もホルスの演技でしっかりたっぷり聴けるのでお見逃しなく!


文・写真(展示)=Sho Suzuki 写真(朗読会)=大橋祐希

イベント情報

『古代エジプト展 天地創造の神話開催記念 荒牧慶彦朗読会』
配信期間:2021年2月7日(日)10:00~2月10日(水)23:59(※Huluストアは、2月7日(日)10:00~2月10日(水)19:00)
配信プラットフォーム:streaming+、日テレゼロチケ LIVE STREAMING、PIA LIVE STREAM、ローチケ LIVE STREAMING、Huluストア
販売期間:2021年1月17日(日)12:00~2月10日(水)19:00(※Huluストアは、2月7日(日)10:00~2月10日(水)17:00)
販売価格:1,200円(税込)
※配信と一緒にお楽しみいただける朗読台本は公式通販ページにて販売中です。
※視聴・購入方法の詳細は各プラットフォームのページよりご確認ください。

展覧会情報

『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』
会期:2020年11月21日(土)~2021年4月4日(日) 
会場:東京都江戸東京博物館(〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、ベルリン国立博物館群エジプト博物館、朝日新聞社、日本テレビ放送網、東映
後援:ドイツ連邦共和国大使館
協力:ルフトハンザ カーゴ AG
協賛:野崎印刷紙業
公式サイト:https://egypt-ten2021.jp
お問い合わせ:03-3626-9974(東京都江戸東京博物館代表)
シェア / 保存先を選択