カンパニー勢ぞろい、何でもありの旅がはじまる! 紅ゆずる主演『エニシング・ゴーズ』製作発表記者会見

レポート
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2021.7.4
ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』

ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』

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明治座にて、ブロードウェイ・​ミュージカル『エニシング・ゴーズ』が2021年8月1日(日)~29日(日)に上演される。『エニシング・ゴーズ』は名匠コール・ポーターの名作と名高いミュージカル・コメディ。明治座を皮切りに、御園座、新歌舞伎座、博多座と全国ツアーが予定されている。

宝塚歌劇団の座付き作家・原田諒を演出に迎え、宝塚歌劇団星組元トップスター紅ゆずるが主演を務める。紅は退団後初の本格ミュージカル出演となる。

7月2日、クルーズ船内にて製作会見が行われ、演出家の原田諒をはじめ、主演の紅ゆずる大野拓朗廣瀬友祐愛加あゆ一路真輝平野綾市川猿弥陣内孝則が出席した。

参加者が登壇後、まず、それぞれの挨拶があった。

演出・潤色 原田諒(宝塚歌劇団):(この作品は)1934年に上演された作品で、何度も再演されています。日本では東宝さん主催で行われ4度目の開演です。大恐慌から5年後が舞台となり、コロナ禍の空気を打破するようなパワーがある作品です。インタビューでいつかやりたいブロードウェイ・ミュージカルとして挙げた作品なので、10年ぶりに夢が叶いました、みなさんの期待に応えられるように頑張っていきます。

NYで一番のミュージカルスター リノ・スウィーニー役 紅ゆずる:退団後初ミュージカル。お話をいただいた時『私自身にとても近い、わたしの血を使ってやってくれたらいい』と、ものすごく推していただいた役です。これだけの豪華な共演者と舞台に立てることを喜びに、頑張りたいと思います。

指名手配中のギャング ムーンフェイス役 陣内孝則:ミュージカル俳優の陣内孝則です。ライバルは井上芳雄くんと山崎育三郎くんです。出来れば早いうちに、ご婦人たちにキャーキャー言われるミュージカルスターになりたいです、(一路が歓声を上げる)頑張ります。

ホープの母親役 イヴァンジェリン・ハーコート役 一路真輝:この作品は初演も再演も全部観させていただいて、自分のコンサートでも歌っているほど、楽曲が魅力的な作品。参加するのが楽しみです。そして、原田先生とははじめましてのお仕事になります。素晴らしい作品や世界を作られているという印象を持っています。共演者の方もとても豪華で、加われたことが嬉しいです。

ウォール街で働くビジネスマン ビリー・クロッカー役 大野拓朗:リノとビリーが一緒に歌う『You are the top』という歌が、とにかく大好きで、ずっとお互いに褒め合っているような曲なんです。観に来てくださったみなさまも、リノに褒めてもらっていると思うような元気が出る曲です。素敵な楽曲や、お芝居、ダンスが詰まった、明日の活力につながるような作品です。

ホープの婚約者 英国紳士 イヴリン・オークリー役 廣瀬友祐:素敵な作品を届けられるようにカンパニーの一員として頑張ります。(意気込みは?)頑張ります!

ムーンフェイスの仲間の情婦 アーマ役 平野綾:子どものころ、一番初めに憧れたのはブロードウェイの世界でした。アーマはトラブルメーカーの一面がある、この時代のアメリカを象徴している存在。コケティッシュに演じられたらと思っています。

社交界の華 ホープ・ハーコート役 愛加あゆ:古典ミュージカルといわれている作品に出演させていただけるということ、とても嬉しいです。個人的には原田先生の作品には宝塚時代に『ニジンスキー』という作品に出ています。またご一緒できる機会をいただけて嬉しいです。成長した姿をお客さまにもお届けできるように頑張ります。

ビリーの上司 エリーシャ・ホイットニー役 市川猿弥:歌舞伎界からやって来ました、市川猿弥です。少しでも爪痕を残して帰れるように頑張ります。

その後、代表質疑へ移った。

まず紅への質問、退団後初ミュージカルで女性を演じることについて。紅は「宝塚20年弱、男役を突き詰めてきた。女性を急に演じると「え?」となってしまう」と真面目なトーンで話し、「男役をやっていたことは置いといて、リノという役を演じながら、『リノが私か、私がリノか』っていうところまで突き詰めていきたい」と意気込んだ。

次に陣内へ、座長である紅へのイメージを尋ねた。陣内は真剣な様子で「まだ深い関係じゃないので、まだまだ分からない。ただ、あるNHKの女子アナからすごい人だと噂は聞いている」と話し、会場の笑いを誘った。また「自分は彼女とデュエットするシーンがある、でも、音符通り歌わないので舌打ちされてるかも……」と不安を打ち明け、紅が笑いながら「してない!」「してません!」と何度も否定する和やかなシーンも。

共に宝塚トップスターという前歴を持つ一路は紅について“ホン読みと歌の稽古2日のみ”しか実際に会っていないと打ち明けつつ、「役の印象と本人の性格が近い」と太鼓判を押す。「リノって役はミュージカルの主演女優の立ち位置と少し違い、全体を俯瞰して、全員に関わることが多い役。(組子を導いていた)宝塚のトップだったので、とてもやりやすいと思う」と語り、最後に紅と愛加を眺めながら「お二人から出てくる宝塚のオーラが懐かしい」と目を細めた。

演出の原田は、今ブロードウェイ・ミュージカルを行う意味について、力を込めた。アメリカでは新型コロナウイルス拡大に伴い、現在もブロードウェイが閉鎖されている(再開日は発表された)。「その状況で、ブロードウェイ・ミュージカルと銘打って上演することが出来るのはとてもすばらしいこと」「(舞台などのエンターテインメントは)不要不急であるというか、中止を余儀なくされることも多いですが、心が豊かになるような仕事は大事、肝に銘じて、お客様が『観れてよかったな』と思ってみられる作品であればいいな」と。

市川はミュージカル初挑戦。「歌舞伎界からは(尾上)松也くんとか(ミュージカルに)進出しているけれども、自分は何で呼ばれたのかと驚いた」と明かし、「ミュージカルは大好きなので、この作品に呼ばれてよかった、楽しみにしております。みんなの足を引っ張らないように頑張ります」と笑顔で期待を語った。

また全国ツアーの大千穐楽は陣内の地元にある博多座で行われる。そのことについて感想を求められた陣内は「芝居小屋的な劇場のお客さまは目が肥えている方が多い、満足させないといけないという使命感がある」と表情を引き締めた。その上で「感染対策、万全の準備をします、でも……出待ちの方と触れ合えない。井上くんみたいに触れ合いたかったんですけど……申し訳ないです」と続けた。

最後、登壇者全員にタイトルである『エニシング・ゴーズ』の和訳である「なんでもあり」について、「あなたにとっての『なんでもあり』は?」と質問があった。

市川:歌舞伎界はなんでもあり。

愛加:タイ旅行中に入った市場のマッサージ店、施術中、気持ち良くて眠ってしまったら、勝手に前髪を編み込みにされていて驚いた。

平野:今年に入ってからギャングの情婦役しかやっていないので、愛人を極めたい。

廣瀬:自分の部屋、家の中って誰もいない、誰にも見られていないひとりの時間。

大野:南極に行った時。漁船を改造した船でスタッフを含め移動した。全員が揺れに船酔いしてダウンしている中、ひとりだけワインを飲みながら揺れを楽しんでいた。トイレも揺れで噴射したけど、半日で慣れた(笑)。

一路:平野綾ちゃんが情婦役ばっかりだってことでしたが、私は色んな役をやらせてもらってたなぁと……これからも『なんでもあり』で色んな役をやりたい。

陣内:映画『超高速!参勤交代』の撮影で京都に行った時、ジャージで行ったら「浴衣じゃないの?」って何日にも渡って尋ねられ、東京で伊勢丹で浴衣を買って戻った。その後、市川猿之助さんがウエスタンシャツ、デニムにブーツで現れ、「浴衣じゃないんですか?」と尋ねたら、和服が嫌いと言われた。(猿弥が「すみませんでした、4代目(猿之助)こそが“エニシング・ゴーズ”』です」と声をかける一幕も)。

:私自身。在団当時、劇団放し飼いと呼ばれていた。自分の個性を出せるときは、突拍子のない行動、セリフ回し、ショーで突然出て来てみるとかだと思っている。自分で自分に制限はかけない、人生一度きり、なんでもやってみよう精神。

とそれぞれ「自分の思う“エニシング・ゴーズ”」について語った。

最後に紅は、「みなさま、コロナで大変窮屈な思いをしてらっしゃると思います。『エニシング・ゴーズ』をご観劇いただいている間だけは、心を解放していただいて。いつかコロナの禍から立ち直らないといけない。いつか絶対に楽しい時代が来る。いつ通りの暮らしが出来る日がくる。前向きに頑張ろう、(公演も)楽しんで行こうと思っています」とメッセージを送った。

質問のあと、歌唱披露が行われた。

ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』

ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』

披露されたのはタイトルナンバー『エニシング・ゴーズ』。紅が歌唱、メンバーがコーラスを務める。パワフルでご機嫌なナンバーは、まさに『エニシング・ゴーズ(なんでもあり)』なカンパニーを予感させた。

稽古開始から数日しか経っていないとは思えないほど、和気あいあいとしたカンパニー。このカンパニーを乗せた『エニシング・ゴーズ』の公演ツアーは、8月、明治座より出航予定となっている。

公演情報

ブロードウェイ・ミュージカル 『エニシング・ゴーズ』
【作詞・作曲】コール・ポーター
【オリジナル脚本】P.G.ウドハウス&ガイ・ボルトン、ハワード・リンゼイ&ラッセル・クラウス
【新脚本】ティモシー・クラウス&ジョン・ワイドマン
【翻訳・訳詞】青井陽治
【演出・潤色】原田 諒(宝塚歌劇団)
【製作】東宝
 
【出演】
紅 ゆずる/大野拓朗  廣瀬友祐  愛加あゆ/一路真輝/平野 綾  市川猿弥/陣内孝則

手塚秀彰 さけもとあきら 加賀谷真聡 佐々木 崇
岡崎大樹 神澤直也 坂元宏旬 常住富大 福永悠二 堀江慎也 丸山泰右 山名孝幸 横山達夫
石原絵里 伊藤典子 岩﨑亜希子 織 里織 神谷玲花 輝生かなで 小山侑紀 豊田由佳乃 樋口 綾 柳本奈都子
 
【公演期間】 2021年8月1日(日)~29日(日)明治座
【開演時間】 12:00/13:00/17:00/18:00
【料金】 S席(1・2階席) 13,500円/A席(3階席) 6,500円
※6歳以上有料/5歳以下のお子様のご入場はご遠慮ください。
※車いすスペースのご予約は明治座センターにて承ります。
 
【会場】明治座
9月~10月上旬、[名古屋]御園座・[大阪]新歌舞伎座・[福岡]博多座 全国四大都市にて上演
 
【お問い合わせ】 
明治座センター:03-3666-6666(10:00~17:00)
グループ観劇(10名以上)のお問い合わせ:03-3660-3941(営業部団体課)

明治座HP: https://www.meijiza.co.jp/info/2021/8/
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