純米大吟醸酒「獺祭」桜井博志会長が、日本センチュリー交響楽団の理事長に就任
「獺祭」の桜井会長が、日本センチュリー交響楽団の理事長に就任。 (c)Masaharu Eguchi
大阪を代表する人気オーケストラのひとつ、日本センチュリー交響楽団(大阪府豊中市)の理事長に、人気の純米大吟醸酒「獺祭」で知られる旭酒造(山口県岩国市)の桜井博志会長が就任した。
左から望月正樹 楽団長、桜井博志 理事長、水野武夫 前理事長 (C)H.isojima
同楽団は、1989年に大阪センチュリー交響楽団として大阪府が設立したが、2011年に当時の橋下徹知事時代に府政改革の一環で大阪府より独立。日本センチュリー交響楽団となった。緻密なアンサンブルと華やかなサウンドで、オーケストラとしての実力は誰もが知るところだが、事あるごとに経営危機による存続不安説が囁かれていた。全てのオーケストラがコロナにより先行きが見通せなかった2020年度を、クラウドファンディングの目標額達成や、個人的な寄付、組織改編などで乗り越え、もしもの為に準備した日本政策金融公庫からの融資には手を付けることなく、3,300万円の黒字決算を果たした。
日本センチュリー交響楽団 (c)Masaharu Eguchi
それを受けて今年7月より、桜井新理事長の下、新たなスタートを切る事となった日本センチュリー交響楽団。先ごろ行われた新理事長就任会見の模様と、今年度の活動のポイントを整理したので、ご覧いただきたい。
日本センチュリー交響楽団 桜井博志理事長 (C)H.isojima
桜井博志理事長の挨拶は以下の通り。
「日本センチュリー交響楽団とは "獺祭プロジェクト※" などでご一緒してきましたが、理事長就任の話は、青天の霹靂でした。山口県の山奥の酒蔵のオヤジが、オーケストラの理事長など出来るのかと考えましたが、私に出来る事があるのならばお役に立とうと思うに至り、皆様のご支援を頂いて頑張ってまいります。
昨年度を黒字決算で終え、それなりの運転資金でスタートと、先ほど楽団より説明が有りましたが、依然として苦しい楽団運営が続くことは確かです。しかしこれは、日本中、いや世界中のオーケストラの多くが、コロナを受けて危機的状態にあるのではないでしょうか。ただ、私はこれまでの経験から、こういう時にこそ新しい飛躍のチャンスが生まれると確信しています。ピンチの裏にはチャンス在り。必ずや、今の状況をバネとして乗り越えて行けると思っています。
音楽とお酒は、共に必ずしも無ければならないものではありませんが、素敵な音楽、美味しいお酒は人生を楽しむ上で、明日も頑張って行こうと思える、人間には切り離せないものだと思います」
司会を務める小田弦也専務理事 写真提供:日本センチュリー交響楽団
楽団の小田弦也専務理事は、以下のように語った。
「望月楽団長、首席指揮者の飯森マエストロと共に、桜井会長に理事長就任をお願いに上がり、ご快諾いただき、日本センチュリー交響楽団の立て直しの陣頭指揮に立ってもらう事になりました。桜井会長が語られた「ピンチの裏にはチャンス在り」の言葉に、本当に救われてこれまで頑張って来ました。今後も課題である個人会員、法人会員のケアと、拡大を目指して、楽団が一枚岩となって頑張ります。今シーズンの活動の柱としましては、以下の三つが挙げられます。
一つは、今回の新理事長就任の話に結び付いた「獺祭コンサート」が大阪、山口に続き、東京公演として今年8月18日、東京の新高輪プリンスホテル「飛天の間」で開催される事。獺祭プロジェクトで誕生した「交響曲 獺祭〜磨(migaki)~」の演奏をお聴き頂いた後、アフターディナーを召し上がっていただき、「獺祭」をお持ち帰りいただきます。
「交響曲 獺祭〜磨migaki〜 五感で味わうコンサート」(21.2.豊中市立文化芸術センター) (c)Masaharu Eguchi
二つ目は、恒例の「星空ファミリーコンサート」を昨年同様、地元豊中市が実施する”ふるさと納税型クラウドファンディングによるご支援の下、開催いたします。
昨年の「星空ファミリーコンサート」(20.8.服部緑地野外音楽堂) 写真提供:日本センチュリー交響楽団
そして三つ目は、今シーズンから首席客演指揮者に就任した久石譲氏が指揮する演奏会です。スタジオジブリ作品の音楽で知られる久石氏は、著名な現代音楽の作曲家であると共に、指揮者としての活動も精力的にこなしており、日本センチュリー交響楽団とは数多く共演しています。9月の定期演奏会は、首席客演指揮者就任披露の演奏会です。改めて、この機会に久石譲と日本センチュリー交響楽団との関係を、広く皆様に知って頂こうと思っています」
「4オケの4大シンフォニー2021」(21.4.フェスティバルホール)カーテンコールの久石譲 写真提供:大阪国際フェスティバル、森口ミツル撮影
今回の桜井理事長就任は、あくまで理事長人事の話であって、「獺祭」の旭酒造が、日本センチュリー交響楽団の支援会社となる話ではないそうだ。しかし、トップが替われば、組織は変わるもの。「獺祭」を日本有数のお酒の人気ブランドに成長させた手腕は、オーケストラでどのように発揮されるのか。新生日本センチュリー交響楽団の活動に注目していきたい。
これからも日本センチュリー交響楽団をよろしくお願いします。 (c)Masaharu Eguchi
※ "獺祭プロジェクト"
取材・文=磯島浩彰
公演情報
「交響曲 獺祭~磨migaki~五感で味わうコンサート」東京公演
■会場:グランドプリンスホテル新高輪 飛天
■指揮:飯森範親
■管弦楽:日本センチュリー交響楽団
■曲目:
スメタナ:連作交響詩「我が祖国」より“モルダウ”
和田 薫:交響曲 獺祭~磨migaki~(委嘱作品)
■料金:15,000円(アフターディナー付き/税込)
※はお一人1枚必要です。(コンサートとアフターディナー付き)
※お席は円卓(4名がけ)に着席いただきます。
※テーブル番号のみ指定です。各テーブルでのお席は自由となっております。
当日お越しいただいた順番にお座りください。
※東京都の緊急事態宣言により、アフターディナーでのお酒類の提供はございません。
※ 「交響曲 獺祭 ~磨migaki~」720mlボトルのお土産つき。
■問合せ:センチュリーサービス 06-6848-3311
■公式サイト:https://dassai-migaki.jp/
「星空ファミリーコンサート2021」
■会場:服部緑地野外音楽堂(大阪府豊中市服部緑地1-7)
■指揮・司会:中田延亮
■管弦楽:日本センチュリー交響楽団
■共演:センチュリー・ユースオーケストラ
■曲目:
【第1夜】
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲(センチュリー・ユースオーケストラ単独)
サン=サーンス/交響詩「死の舞踏」
シュトラウスⅡ/トリッチ・トラッチ・ポルカ
《指揮者体験コーナー》ブラームス/ハンガリー舞曲第5番より
ヒメネス/歌劇「ルイス・アロンソの結婚」間奏曲
ビゼー/「アルルの女」よりアダージェット
ベルリオーズ/幻想交響曲より第4楽章、第5楽章
カバレフスキー/組曲「道化師」 全曲
《指揮者体験コーナー》ブラームス/ハンガリー舞曲第5番より
エロール/歌劇「ザンパ」序曲
ドビュッシー/「小組曲」より小舟にて
ベルリオーズ/幻想交響曲より第4楽章、第5楽章
■料金/入場無料
■クラウドファンディング応援ページ https://toyonaka-kifu.jp/
■問合せ:センチュリー・サービス 06-6848-3311
■会場:ザ・シンフォニーホール
■指揮:久石譲
■チェロ:佐藤晴真
■管弦楽:日本センチュリー交響楽団
■曲目:
久石譲/Encounter for String Orchestra
スメラ/チェロ協奏曲
ベートーヴェン/交響曲 第7番 イ長調 作品92
■料金:A席6,500円 B席5,000円 C席3,500円 D席1,500円
■問合せ:センチュリー・サービス 06-6848-3311
■会場:京都コンサートホール 大ホール
■指揮:久石 譲
■管弦楽:日本センチュリー交響楽団
■曲目:
メンデルスゾーン/交響曲 第4番 イ長調 作品90「イタリア」
久石譲/Symphonic Suite Castle in the Sky 他
■料金:S席7,000円 A席6,000円 B席5,000円
■問合せ:センチュリー・サービス 06-6848-3311
■公式サイト:https://www.century-orchestra.jp/