山本一慶&和合真一「“祝福”と“希望”をお届けします」~舞台『夏の夜の夢』インタビュー

インタビュー
舞台
2021.12.14
(左から)山本一慶、和合真一

(左から)山本一慶、和合真一

画像を全て表示(7件)


シェイクスピアの名作をオールメールでおくる、舞台『夏の夜の夢』が2021年12月18日(土)、19日(日)名古屋市芸術創造センター、12月22日(水)~26日(日)東京芸術劇場シアターイーストにて上演される。本公演で、初の本格的な演劇演出に挑む山本一慶と、ディミートリアス役で出演する和合真一が稽古場に集合。かつて同作でハーミアとヘレナを演じた同士、役者としても交流のある二人が上演に向けた意気込みを語ってくれた。

ーーお二人が初めて会ったのは?

和合:舞台『夏の夜の夢』じゃない? 4年前の。

山本:そうだね。その前から存在は知ってましたけど……。

山本一慶

山本一慶

和合:うん、僕も。で、会ってみたら一慶くんは噂通り、変わり者だなって(笑)。馴れ合う感じとかはなくて、でも時間をかけて探っていくとどんどん打ち解けて面白味が深まっていく人。噛めば噛むほど味が出る“スルメイカ俳優”でしたね。

山本:スルメイカ俳優いただきましたっ。ありがとうございます(笑)。

ーーその時は和合さんがヘレナ役で、山本さんがハーミア役。

和合:はい。でもそのあともちょこちょこプライベートでも一緒になったりとかして……。

ーーどんどん好感度が上がっていった。

和合:いや、どんどん僕を好きにならせてました(笑)。

山本:んー、好きになってた感は……ありますね。ハハハッ(笑)。でも今「最初は変わり者」って和合くんに言われたのはちょっとよく分かんない。ずるい(笑)。むしろその言葉は彼にそのままお返ししたいなぁ。やっぱり誰よりも変わり者ですから、彼は。

和合:(爆笑)。

山本:変わり者というか、和合くんらしさ、自分らしさを常に失わず、役にもそこを常に投影していくお芝居ができる人。それって簡単なように見えてやはり難しいことだから、そこをすんなりやってのける“和合節”が僕は素敵だな、と思っています。

和合:最近ホントによく周囲のみなさんに言われるのが「和合くんは“俳優”じゃなくて“和合くん”だね」。だから僕、和合歴は誰にも負けません。そういう意味では大御所、プロフェッショナルですね(笑)。

和合真一

和合真一

ーー演出家としてはそこを見込んでまた一緒に、というところも。

山本:そうですね(笑)。あと前回同じ演目で共演してること、そしてヘレナを演じた和合くんが今回はヘレナの想い人のディミートリアスをやるっていう面白さも大きいです。ハーミア、ライサンダー、ディミートリアス、ヘレナの若い4人の中、そこに和合くんがいるだけでもうチーム感がどんどん締まっていくだろうなという期待もありますし、4人の絡みはやっぱり落ち着いてやり過ぎちゃうと面白くないので、和合くんのチャレンジ精神と和合節でぜひ、周囲の3人をかき回して欲しいですね。

和合:そうなると……むしろ相手が真面目であればあるほど僕は自由にできる、と(笑)。みなさんとしっかりチューニングしつつ、演劇としての良いバランスを見極めながらギリギリのところを狙いたいですね。

山本:大丈夫。いい感じになる匂いは僕の中ではもうすでにしてますから。

和合:そうなんだ〜。

ーー今回、山本さんが演出家として参加したのはどんなきっかけが?

山本:以前からずっと「将来的には演出をやってみたい」という思いはあって……たぶん、役者をやりながらも自然と自分の中に“演出家の目線”みたいなモノが芽生えてたんですよね。ただ今までそれは表に出していくモノではなかったので、今回はそうやって様々な現場で自分の中に蓄積されていたいろんなことを発散するチャンスを得た、実践できる場をいただけたんだと考えています。また、誰か特定の人に影響を受けてというよりも、今まで一緒にやらせていただいてきた演出家さんたちを見て、いい意味で「自分だったらこうするのにな」と思ったことを……「共感」よりも、僕の思考とかで生まれたクリエイティブを発揮してみたいとも思っています。役者としていい経験を得てきたなという実感もありますので、そこでの経験値を生かして取り組んでいきたいです。

ーー今作での演出目標、演出テーマはいかがでしょう。

山本:役者が思ってることを一番大事に考えてあげたい。自分もそれなりに長く役者としてやってきたからこそわかるところ、気づけるところはたくさんありますし、役者がやりにくいって少しでも思ったらそこに素早く対応していきたい。いつも役者とは近い演出家でいたいなと思います。舞台セットとしてはそんなに派手なことはしないんですけど、衣装をすごくきらびやかに作っていただいたので、目の楽しさをそこで大いに感じていただけたらいいですね。

(左から)和合真一、山本一慶

(左から)和合真一、山本一慶

ーーでは和合さんが期待する演出家としての山本さんは?

和合:役者って誰でも第三者目線というか、演出家の目も持たなきゃいけないし、監督の目も持たなきゃいけないし、お客さんの目も持たなきゃいけないし。本当に視野が広くないとできない商売だと思うので、演出をやるってことについても常に可能性があるとは思います、誰にでも。ただ実際に挑戦する決断まで行く人は少ないと思うんです。その中でこうして実現させてるってことは、おそらく一慶くんは創るセンス、感性が備わった人なんだと思う。僕がまだ知らない演出家・山本一慶、その現場を通じて僕も逆にいろいろ勉強させてもらおうと思っています。彼がどういうところを見て、どういうところに対して物言いをして、創りたいものを創るためになにをしてどんな段階を踏んでいくのか。役者発信とはまた違うアイデアから生まれるものがとっても楽しみですね──って、僕、すごいいいこと言ったなぁ(笑)。

山本:言った言った(笑)。僕はこの『夏の夜の夢』という作品が持つそもそもの良さというものが、すごく今の時代に合っているなと思ってるんです。戯曲が書かれた当時は結構災害が多かったり世の中のみんなが不安な気持ちを抱えている時期だったらしくて。いろんな説がありますけど、そんな中で結婚式の余興として書かれたのがこの作品らしいんです。物語の最後は妖精たちが「結ばれたカップルの次の世代、次の世代、次の世代にも祝福あれ」と言って終わっていくわけなんですけど、それが、今の新型コロナ蔓延という生きづらい世の中を生きている僕たちの希望になる言葉でもあるんじゃないかなと思っていて。今回『夏の夜の夢』をやるにあたって、そういう作品の背景にある想いはお客様に訴えかけるひとつの大きなテーマ、僕らからみなさんに届けたいものでもあると強く感じています。

ーー災いを愉快な心で跳ね飛ばし、喜びを招き入れる「祝福」のオーラ。

山本:それをみなさんにも受け取っていただけるよう、ここに書かれている言葉、書かれている気持ちを大事にしていこうと思っています。

山本一慶

山本一慶

ーーシェイクスピアの喜劇に備わったパワーを真っ直ぐに届けていく。

和合:だから僕、今一番不安なのがヘレナというディミートリアスを追いかけ回す役をやらせていただいたが故に、ヘレナの気持ちが分かってしまうこと。やっぱりディミートリアスとしてあまりヘレナを無下にできないなという不安があるもので……もしかしたらお話が変わるかも、と。

山本:変えないでください! 頑張ってください、そこは(笑)。

和合:はい(笑)。でもヘレナって可哀想なんですよ、本当に。「こんなに一途に愛してるのに」という独白のシーンなんて涙なしには見れないというか….…みんなはちょっと笑ってたんですけどね。自分はもうヘレナのポジションで常に物事を考えるみたいなところがあったので、今回はそこを真逆で行く。わかるからこそいかにヘレナの切ない気持ちを引き出すか、ヘレナを惨めな気持ちにさせるための台詞まわしとは……ってところでちょっといろいろ挑戦していきたい。同じ作品で逆のパターンの役をやることなんて今までなかったので、面白い挑戦になりますね。ディミートリアス、思い入れの深い役になりそうです。

山本:シェイクスピア作品の魅力っていろいろあると思うけど、今回小田島(雄志)先生の訳のままでやらせていただくこともあり、やっぱり現代の人が聞いた時に耳馴染みがあまりない難しい言葉もたくさんあるんですよね。ただ文章を読んでると「うん?」ってなる文字の羅列も……その役の人物の気持ちだったり想いだったりをしっかり作って、役者が発すると、すごく伝わるものが多いんです。しかも、言葉が多すぎて追いきれずお客様が多少ロストしちゃったとしても、不思議と伝わるんですよ。これはやっぱり舞台ならではの魅力なんだろうなぁ。演技をしている人が目の前にいるから、その人の気持ちがなんか伝わってきちゃう。言葉が難しかったり理解が追い付かなかったとしても「でもこういう気持ちなんだろうな」って、僕自身もシェイクスピア作品では結構感じられることが多いので、そうさせるためにもやはり今回も気持ちを大事にし、役者同士の会話をしっかりと作っていきたい。だから……やはりシェイクスピアは役者の力がきっちり反映されてしまう戯曲なんです。

和合:そうですね。僕は前回のヘレナで冒頭の長台詞が一瞬飛びそうになって真っ白になった苦い思い出がトラウマとして若干あるんですけど(笑)、一度そうなるとやっぱり他の作品と違って戻ってこれないんです、シェイクスピアの台詞は。その長台詞の中にいろんな感情、いろんな要素が詰まっているきれいな言葉がいっぱい連なっているので、一個でもちょっと飛ばしちゃったりすると辻褄が合わなくなる。全ての言葉があってこそひとつの台詞が成り立っているという怖さは、ホントに役者泣かせですよね。だからこそシェイクスピアは本当に演劇のスタンダード、ベース、テンプレートみたいな存在であり、クリエイターや訳者によって全然違うモノとして見せることができる魅力を秘めている。野村萬斎さんの『マクベス』や蜷川幸雄さんのシェイクスピアシリーズ、僕もいろいろ見てきましたけど、同じ戯曲でもカンパニーによってこんなにも変容するんだ! って思うと、今回も僕らの『夏の夜の夢』は最終的にどんなものに仕上がるのか、そして、僕が出た前作とはどう違うのか……って照らし合わせるのがすごく楽しみです。

和合真一

和合真一

山本:どんなポジションであれやっぱり僕はお芝居が好きですし、舞台が好き。でもまだまだ舞台を観に行くことってあまり日常的な習慣ではないところもありますよね。その中で僕たち2.5次元舞台を中心に活躍しているメンバー、エンタメ界で活躍している若い表現者たちが集まりシェイクスピアをやるということも、なかなかの挑戦でもあるなと思っていますし、そうやっていくことで舞台作品としてより多くのお客様に寄り添っていくことも可能なんじゃないかなとも思っていて。僕たちの発信で少しずつでもこの界隈を盛り上げることができたらいいし、自分自身、舞台の裾野を広げていけるような人間になりたいなとは常々思っています。

ーー本作は5月の上演予定が新型コロナ対策によって延期となっています。こうして再始動できた、という意味でも思いの深い公演になりそうですね。

山本:僕はダラダラせず短い時間でめちゃめちゃ集中して稽古する、というスタンスなんですけど、5月の現場もそのテンポに役者のみんながしっかりついてきてくれて、台詞も大変なのにちゃんと入れてきてくれたので、早い段階で通しまで行けちゃったんです。そうやって応えてくれたキャストたちと「全貌が見えた。さあここからだぞ」ってところまで一緒に頑張ってきたみんなの努力をお見せできなかったのは、やっぱりすごく悔しかった。あの経験はちゃんと僕の中で引き継いで……延期になって変更になったキャストの方もいますしね。そういう全部を悔しさで終わらせないためにも今回のこのキャストでしっかり完成させ、僕らの『夏の夜の夢』を改めてお客様に観ていただきたいです。

和合:そうだよね。シェイクスピアっていう誰もが知る古典作品、やる人によっていろんな色が出てくる作品。今回も絶対僕らにしか出せない色があります。そこには演出家・山本一慶の新しい一面もあります、山本一慶が操縦する新しい和合もいるかもしれません。そして、カンパニー全員が関わり合い様々な相乗効果があって、素敵な作品に仕上がっていくことでしょう。その僕らの『夏の夜の夢』を、“われわれの作品”を、ぜひみなさまのその目でご観劇ください。僕ら一同でお待ちしております。

山本:『夏の夜の夢』。僕がすごく好きで、今の時代だからこそみなさんに観ていただきたい、希望がある作品です。カンパニーもハーミア役の澤田(雅也)くん、ライサンダー役の松本(幸大)くんというジャニーズJr.の2人を始め、和合くんほか素敵な化学反応が起こる個性的なメンバーが揃いました。この新しい『夏の夜の夢』、そして今、新型コロナに打ち克とうという僕たちの思いをエンターテインメントに乗せ、お客様の心へと届いて行くのなら嬉しいです。

(左から)山本一慶、和合真一

(左から)山本一慶、和合真一

取材・文=横澤由香   撮影=池上夢貢

公演情報

舞台『夏の夜の夢』
 
■名古屋公演 
日程:2021年12月18日(土)、19日(日)名古屋市芸術創造センター
■東京公演
日程:2021年12月22日(水)~26日(日)東京芸術劇場シアターイースト


料金:S席 9,900円 A席 7,700円(税込み・全席指定)
原作:ウイリアム・シェイクスピア
演出:山本一慶

<キャスト>
ハーミア:澤田 雅也(関西ジャニーズJr.)
ヘレナ:安井 一真

ライサンダー:松本 幸大(ジャニーズJr.)
ディミートリアス:和合 真一

シーシュース&蜘蛛の糸の妖精:深澤 大河
ヒポリタ&豆の花の妖精:大崎 捺希

パック:谷水 力
オーベロン:八神 蓮
タイテーニア:KIMERU   ほか

企画・製作:アーティストジャパン 

公式HP:https://artistjapan.co.jp/a_midsummer_nights_dream_2021/
公式Twitter:@aj_amnd2021
シェア / 保存先を選択