中村歌之助と中村福之助、歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』第一部 『新選組』に向け、手塚治虫記念館を訪問

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2022.7.10
手塚治虫記念館・正面にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・正面にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

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2022(令和4)年8月歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』(2022年8月5日初日~30日千穐楽)第一部において、手塚治虫原作の漫画「新選組」が上演される。日本にとどまらず、世界中で愛される“漫画の神様”手塚治虫の作品を歌舞伎として上演するのは、今回が初めて。

歌舞伎座での『新選組』上演を来月に控え、主演の中村歌之助中村福之助の二人が、手塚治虫記念館(兵庫県宝塚市)を訪問。 “漫画の神様”の創作の原点や想いに触れ、二人は何を感じたのか――。

現在、父・中村芝翫や兄・中村橋之助と共に「松竹歌舞伎舞踊公演」(6月30日~7月31日)で全国を巡業している中村福之助と中村歌之助。二人は岡山、広島を巡る途上で、兵庫県宝塚市にある手塚治虫記念館を訪問した。

手塚治虫記念館・エントランスホールにて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・エントランスホールにて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

宝塚市立手塚治虫記念館は、その業績を記念し、手塚治虫が唱え続けた「自然への愛」「生命の尊さ」をテーマに青少年の夢と希望を未来へ広げていく施設として、手塚治虫没後5年の1994年に兵庫県宝塚市に設立されたミュージアム。外観は、ヨーロッパの古城をイメージしてデザインされ、 手塚治虫のエッセイ「ガラスの地球を救え」をモチーフにしたガラス製の地球がシンボルとなっている。

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村歌之助、中村福之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村歌之助、中村福之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

館内には、手塚治虫が5歳から24歳までを宝塚市で過ごした時期の写真や当時描いた漫画、その多彩な作品の変遷がわかる貴重な資料や原画、ゆかりの品々が展示されており、アニメやインタビュー映像などの上映などもあり、“漫画の神様”が作品に込めた想いやメッセージが詰まった施設だ。

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

二人は火の鳥のオブジェが立つ正面から館内へ入ると、「リボンの騎士」の王宮をイメージしたエントランスホールを通り、手塚治虫ゆかりの展示を時間の許す限りじっくりと見て回った。

ゆかりの品々や作品資料は「火の鳥(未来編)」に登場する生命維持装置をモチーフにした展示カプセル40本に入っており、1階の壁一面に展示された手塚治虫の年表では、時系列に並ぶその作品の数に驚きながら、同時期に漫画連載やアニメ放映が重なっている状況に「これ、同じ時期に連載しているってことですよね!すごいですね……」とその偉業に感嘆の表情を浮かべた。

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

上映室「アトムビジョン」で、手塚治虫の半生と作品を紹介する記念館オリジナル作品「手塚治虫伝」を見た二人は、「手塚治虫先生が作品に込めた想いや心、そのメッセージ性を知ることができました」と感銘を受けた様子。

手塚治虫記念館・上映室「アトムビジョン」にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・上映室「アトムビジョン」にて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

上映室の天井に手塚治虫が生み出した代表的なキャラクターが揃うなかに「新選組」の深草丘十郎の絵が……!歌之助はそれを発見すると、「今回僕が演じる深草丘十郎も描かれていて、すごく嬉しかった」と喜びを表した。

手塚治虫記念館・上映室「アトムビジョン」にて 中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・上映室「アトムビジョン」にて 中村歌之助 (C)松竹

2階の展示スペースでは、映像作品「手塚治虫伝」の中でも紹介されていた、手塚治虫が宝塚時代に描いた漫画が展示されており、「初めての連載が17歳のときで、その絵も展示されていて、拝見できたのは嬉しかった」と福之助。

手塚治虫作品のほとんどが揃ったライブラリーでは、書籍約2000冊が並び、英語や中国語、ハングルなどの外国語版や点字書籍も。様々な形で出版された「新選組」を手に取り、改めてその作品世界に浸った。

手塚治虫記念館・館内ライブラリーにて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内ライブラリーにて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

館内至るところに手塚治虫が生み出したキャラクターが顔を出している手塚治虫記念館を訪問し、二人は来月の『新選組』に向けて思いを新たにした。

手塚治虫記念館・館内ライブラリーにて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

手塚治虫記念館・館内ライブラリーにて(左より)中村福之助、中村歌之助 (C)松竹

中村歌之助 コメント

母親(三田寛子)が宝塚歌劇団を好きなので手塚治虫記念館の存在は知っていましたが、今月は父(中村芝翫)や兄たち(中村橋之助・中村福之助)と一緒に巡業公演に出ているため、伺うことができないものと思っていました。だから今回訪れることができ、とても嬉しかったです。
展示や映像を通じて、手塚治虫先生が作品に込めた想いや心、メッセージ性を知ることができました。上映室の天井に手塚治虫先生の代表的なキャラクターが描かれていて、その中に『新選組』の主人公として、今回僕が演じる深草丘十郎が描かれていたのは、すごく嬉しかったです。手塚治虫先生の作品に『新選組』があることを驚かれている方もいるようですので、漫画ファンの方には来月歌舞伎として上演することを知っていただきたいですし、歌舞伎ファンの方には是非漫画をお読みいただけたらさらに舞台を楽しんでいただけると思います。今回の訪問を、来月の舞台に繋げていきたいと思います!

中村福之助 コメント

僕自身、あまり漫画っ子ではなかったのですが、手塚治虫先生のことはもちろん存じ上げていましたし、今回映像を拝見させていただいて、「やっぱり偉大な人だ!」と改めて納得しました。特に、初めての連載が17歳のときで、その当時の絵も展示されているのを拝見できたのは嬉しかったです。才能はもちろんですが、作品の想い、メッセージ性に関わる人生を知ることで、演じる僕たちは熱量を上げていって、手塚治虫先生のファンの方々の期待に応えられるようにパワーアップしていきたいと思いました! これだけ多彩なジャンルの漫画やキャラクターを描かれた方は他にいないのではないかと思いますし、モブシーンで描かれる人物一人一人にも決して無駄な人物はいないということを知り、僕らがやる舞台にも通じることだなと思いました。

公演情報

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第一部 新作歌舞伎『新選組』
 
■公演日程:2022(令和4)年8月5日(金)初日~30日(火)千穐楽
■会 場:歌舞伎座
 
歌舞伎座の「八月納涼歌舞伎」は、1990(平成2)年から始まり、十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時 八十助)を中心に、花形が活躍する公演として人気を博してきました。この「納涼歌舞伎」によって、歌舞伎座では一年十二ヶ月を通じて歌舞伎興行が開かれるようになり、平成の歌舞伎の一大ブームを巻き起こすことに。2022(令和4)年8月、コロナ禍以降、実に3年ぶりに「八月納涼歌舞伎」が歌舞伎座に帰ってきます。

今回の歌舞伎版『新選組』では、父の仇を討つため「新選組」に入隊する深草丘十郎に中村歌之助、どこか謎を秘めた丘十郎の親友・鎌切大作に中村福之助。勘三郎、三津五郎と共に「納涼歌舞伎」を盛り上げてきた中村芝翫の三男である歌之助と次男の福之助が、手塚治虫が生み出した魅力的なキャラクターである深草丘十郎と鎌切大作という若いふたりの剣士を躍動的に勤めることに注目が集まります。

二人のいとこにあたる中村勘九郎と中村七之助が近藤勇と土方歳三を、坂東彌十郎が芹沢鴨、そして中村扇雀が坂本龍馬を演じ舞台を彩り、若い二人を支えます。


■原 作:手塚治虫
■脚本:日下部太郎
■出 演:中村歌之助(深草丘十郎)、中村福之助(鎌切大作)、中村勘九郎(近藤勇)、中村七之助(土方歳三)、中村橋之助(仏南無之介)、中村虎之介(沖田総司)、中村鶴松(娘八重)、片岡亀蔵(庄内半蔵)、坂東彌十郎(芹沢鴨)、中村扇雀(坂本龍馬)

■一般前売:7月14日(木)午前10時より電話予約・WEB受付開始
ホン松竹0570-000-489(午前10時~午後5時)/Web松竹(24時間受付)
■企画協力:手塚プロダクション
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