【8月版】家族には『アベンジャーズ』に会える、おひとり様には大阪の歴史や美麗な曼荼羅を嗜める、夏の関西の展覧会5選を紹介
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夏真っ盛り、SPICE読者の皆さんはいかがお過ごしだろうか。夏バテはしていないだろうか。今月も関西で開催中の展覧会を5つピックアップする。家族でもおひとり様でも楽しめるものを選んだので、少しでも興味のある方は涼しい美術館に足を運び、そこでしかできない感動体験をしてほしい。
今回紹介する展示会はこちら
・中之島を拠点とした大阪の都心化の歴史がわかる『みんなのまち 大阪の肖像』
・8年越しの修理が完了! 『中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―』
・MARVELファン必見『アベンジャーズ展』
・Windows95の起動音も制作 『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』
・テレビシリーズ放送開始15周年記念 『ひつじのショーン展』
大阪中之島美術館開館記念展『みんなのまち 大阪の肖像』第2期/大阪中之島美術館
『みんなのまち 大阪の肖像』第2期
まず紹介するのは、8月6日(土)から10月2日(日)まで大阪中之島美術館にて開催中の『みんなのまち 大阪の肖像』第2期。同展覧会は、大阪中之島美術館の開館を記念して、「大阪」をテーマに、明治から現代へと時代の流れとともに変遷してきた、大阪の「肖像(かお)」を2期にわたり紹介するもの。
4月〜7月までは「第1期/「都市」への道標。明治・大正・昭和戦前」を実施。本館所在の中之島を起点に、明治維新とともに近代都市へと歩む大阪の表情を、約270点の絵画、写真、ポスターをはじめとする作品や資料によって振り返った。
前田藤四郎「盛場近し」1951年 大阪中之島美術館蔵
第2期では、戦後の焼野原から人々が力強く立ち上がった戦後復興期からの作品をピックアップ。1970年(昭和45)の『日本万国博覧会』、そして現代へと、新しい何かを求め、新しい何かに翻弄されながら、起伏の激しい時代を生きるまちの表情を全6章を通して観ることができる。
松下電器産業「ナショナルテレビ 嵯峨(TC-96G)」1965年 パナソニック ミュージアム蔵
高度経済成⾧期に誕生した家電や工業化住宅は、新しいライフスタイルを表現する憧れの的であり、モノが溢れだしたこの時代は、芸術活動もさらに活発化し、これまでにない新たな表現が次々と登場した。広告は華やかな競争の場となり、デザイナー同士で表現を高め合う場面もみられた。人々を熱狂の渦に巻き込んだ1970年の万博を経て、大阪は今もなお個性豊かな大都市としての歩みを続け、2025年には2度目の万博を迎える。その発展と変貌の軌跡を、約300点の絵画、ポスター、家電、実物大工業化住宅などによって紹介する。
やなぎみわ「案内嬢の部屋 B1」1997年 大阪中之島美術館蔵
万博のコーナーでは、関連する作品や当時の賑わいや熱気を伝える資料を、美術作品とデザイン作品の両方を有する大阪中之島美術館ならではの視点で紹介する。また、『みんなのまち 大阪の肖像』展のメインビジュアルは、『2025年大阪・関西万博』のロゴマーク最優秀作品を手掛けた、TEAM INARIのシマダタモツ代表(シマダデザイン)が担当する。
早川良雄「第11回秋の秀彩会」1953年 大阪中之島美術館蔵
戦後、経済成長を遂げた大阪の歩みを感じるとともに、2025年の万博にもつながる過去と未来をつなぐ展覧会。たっぷり時間をとって訪れてほしい。
貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展『中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―』/奈良国立博物館
貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展『中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―』
奈良国立博物館にて8月28日(日)まで開催されているのは、貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展『中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―』。
重要文化財 當麻曼荼羅(貞享本) 江戸時代 貞享3年(1686) 奈良・當麻寺
そもそも曼荼羅とは仏教、特に密教の教えを描いたもので、極楽浄土の様子が表されている。その中でも奈良の當麻寺の本尊で、およそ4m四方の巨大な織物である「綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら/国宝、8世紀、當麻寺蔵)」は、1250年前に現れた奇跡の曼荼羅として尊ばれてきた。そして同作の図様の写しが多数描かれ、総称を「當麻曼荼羅」と呼ぶようになる。
中将姫像 鎌倉時代(14世紀) 奈良・當麻寺中之坊
その中で最も精密で色鮮やかな写しとされるのが、貞享3年(1686年)に完成した重要文化財の「貞享本當麻曼荼羅(じょうきょうぼんたいままんだら/當麻寺蔵)」。同展では、「貞享本」の本格修理が完成したことを記念して、修理過程で新たに発見された資料とともに、約4m四方の巨大な當麻曼荼羅の美しい姿を公開する。
国宝 當麻曼荼羅厨子扉 鎌倉時代 仁治3年(1242) 奈良・當麻寺
また、極楽浄土の様子を表す曼荼羅の成立に深く関わったと伝承される、奈良時代の貴族の娘、中将姫(ちゅうじょうひめ)に注目。周辺の當麻曼荼羅信仰や、中将姫物語と連動する中将姫信仰の動向についても詳しく紹介する。
金春禅鳳自筆本「當麻」 室町時代(16世紀) 東京・野上記念法政大学能楽研究所般若窟文庫 半期展示
日本一の霊像として信仰され続けてきた「當麻曼荼羅」と、女人往生の主人公として長く愛されてきた中将姫が人々に尊ばれ、そして人々を救ってきた歴史に触れることのできる貴重な機会。奈良公園を散歩しながら、中将姫に想いを馳せてみるのもよいのではないだろうか。
『アベンジャーズ展』/京都市京セラ美術館
『アベンジャーズ展』 (c) MARVEL 2022
MARVELファンが見逃せないのは、京都市京セラ美術館 新館 東山キューブにて8月26日(金)まで開催中の『アベンジャーズ展』。
アイアンマンの歴代アーマーがずらりと展示「ホール・オブ・アーマー」 (c) MARVEL 2022
同展は2014年7月にニューヨークで開催され、パリやロンドン、ラスベガスなど、世界24都市(12か国・地域)を巡回してきた大人気の展覧会だ。25都市目の開催となる東京(2022年4月〜6月に森アーツセンターギャラリーで開催)および京都会場は、最新のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)フェーズ4の作品を含む、進化版『アベンジャーズ展』としてスケールアップ。
キャプテン・アメリカの秘密に迫るゾーン (c) MARVEL 2022
人類の危機に立ち向かう最強ヒーローたちが集結した究極のチーム・アベンジャーズ。同展では、アベンジャーズの世界観を魅力たっぷりに表現した展示を通じて、人類を守るために戦う最強ヒーローたちが活躍するMCUの世界に没入でき、アベンジャーズの頭脳や最先端技術に触れることで、ヒーローやヴィラン(悪役)をより深く知ることができる。
スカーレット・ウィッチ コスチューム (c) MARVEL 2022
さらにキャプテン・アメリカ、アイアンマン、キャプテン・マーベル、ブラックパンサー、ブラック・ウィドウ、ハルク、ソー、ホークアイといった、アベンジャーズのヒーローたちの各コーナーを用意。アイアンマンのアーマーの変遷を楽しむことができたり、ブルース・バナーのラボを探索し、ハルクの脳内を見ることができたり、キャプテン・アメリカの極秘ファイルにアクセスすることができたりと、まるで自分がMCUに入り込んだような体験をすることができる。
ミュージアムショップでは、ロゴTシャツやキャラハンガーなど、同展限定のオリジナルグッズも多数販売。家族皆で楽しむことができる展覧会なので、夏休みの思い出作りにもぴったりだ。
『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』/京都中央信用金庫 旧厚生センター
『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』
さらに京都で開催中なのは、ビジュアル・アートに革命をもたらしたイギリス出身のアーティスト、ブライアン・イーノによる国内最大規模の大展覧会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』。6月3日(金)のスタートから好評を博し、8月21日(日)までだった会期を9月3日(土)まで延長した。
ブライアン・イーノ
イーノはビジュアル・アートのパイオニアとしてのみならず、アンビエントの創始者であり、Windows95の起動音の制作、デヴィッド・ボウイやU2、コールドプレイといったミュージシャンのプロデュースも手がけていた。また環境問題をはじめとする社会活動にも携わるなど、実に多彩な活動を展開してきた。同展覧会では、イーノの代表作品『77 Million Paintings』、『The Ship』、『Light Boxes』の3作品全てが一堂に会することに加え、世界初公開作品の『Face to Face』が展示される。
1. ビジュアル・アートに革命をもたらしたイーノの空間芸術
『77 Million Paintings』ブライアン・イーノ Photo by So Hasegawa
「川のほとりに座っているような、絶え間ない変化と同時に不変の体験をしたかったのです」と言ったイーノ。彼は反復せず、途絶えることなく常に変化し続ける「ジェネレーティヴ・ミュージック」を提唱し、作品を発表してきた。その手法をヴィジュアル分野でも用い、音と光が途絶えることなく常に変化し続ける「ジェネレーティヴ・アート」という空間芸術をつくりあげた。
『The Ship』 ブライアン・イーノ
イーノが生み出した「アンビエント・ミュージック」は、興味深く耳を傾けることも、ただ聞き流すことも、無視することもできる、リスナー主体の音楽の聞き方を受容するものだ。イーノは展覧会においても、観客のあらゆる接し方を受容する空間を作り上げた。絶え間なく変化し続ける音と光がシンクロする空間において、その人が訪れた時間や滞在した場所によって、1人ひとりの鑑賞者が異なる体験をすることができる。
日本初公開となる『The Lighthouse』 ブライアン・イーノ
同展はコロナ禍におけるイーノの初めての大規模インスタレーション。芸術家としての活動のみならず、環境問題など社会活動にも取り組んできた彼が、世界的な文化都市の京都で、どのようなメッセージを発するのか。築90年の京都中央信用金庫 旧厚生センターが、建物丸ごとイーノのアートで彩られる。
会期中会場にオープンするENOSHOPは、イーノの関連作品を取り扱った専門ストア。展覧会オフィシャル・グッズの図録、Tシャツ、トートバッグ、和菓子をはじめ、イーノが70年代に考案したクリエイターズ必携アイテム『オブリーク・ストラテジーズ』、限定アート・プリント、LP、CD、DVDまで、幅広いアイテムを取り扱う。
京都の老舗和菓子店・鍵善良房による特製和菓子
図録にはイーノ書き下ろしのエッセイ、アート・スクールから現在に至るまでのビジュアル・アーティストとしての軌跡を収めたもの。Tシャツとトートバッグには本展覧会のキー・ヴィジュアルを大胆にプリントした。また、京都の老舗和菓子店・鍵善良房による人気の特製和菓子も販売される(売り切れ必至)。
10月には22枚目のアルバム『FOREVERANDEVERNOMORE』)がリリースされる。現在、先行シングルとして「There Were Bells」の配信がスタートし、PVが公開中だ。五感を使って体いっぱいにイーノの空間芸術を享受できる貴重な展覧会。ぜひ足を運んでみてほしい。
『ひつじのショーン展』/美術館「えき」KYOTO
『ひつじのショーン展』 (c) and TM Aardman Animations Ltd. 2022
美術館「えき」KYOTOでは、イギリス発クレイ・アニメーション『ひつじのショーン』のテレビシリーズ放送開始15周年記念展が9月4日(日)まで開催中だ。『ひつじのショーン』の世界観を堪能できる展覧会となっている。
(c)and TM Aardman Animations Ltd. 2022
ショーンは、発明家のウォレスと忠犬のグルミットによる大ヒットコメディー『ウォレスとグルミット 危機一髪!』 (1995年)に初登場したひつじのキャラクター。ショーンと仲間たちが繰り広げるドタバタコメディである同作品は、母国のイギリスを飛び出して、世界170ヶ国で愛されている。
(c)and TM Aardman Animations Ltd. 2022
同展では、撮影やプロモーション用に制作されたアニメーションセットやパペット、ストーリーボードなどの展示を通して、『ひつじのショーン』の作品が出来るまでの制作過程を明らかにする。1人のアニメーターが1週間で撮影できるアニメーションの長さは平均20秒(最新シリーズの撮影時)なのだそう。そんな気の遠くなりそうな緻密な作業と情熱を注いで創られる、制作の舞台裏を目撃できる。
映画『Shaun the Sheep: The Flight Before Christmas』からの一コマ (c) Aardman Animations Ltd 2021
なお、今年の12月には約3年ぶりとなる新作映画の公開が決定。同展では、12月公開作品の一篇であり、クリスマスが舞台となる新作映画『Shaun the Sheep: The Flight Before Christmas』のジオラマも初展示。公開前にして、一足先に新作映画の世界観に入り込める。
また、オリジナルアートTシャツやトートバッグなど、ここでしか買えない約200種類もの限定グッズを多数販売する。『ひつじのショーン展』は、京都を皮切りに全国を巡回予定。現在Netflixでも配信中なので、作品を観てから展覧会に行くと、より世界観を楽しむことができるだろう。
他にも関西では、『瀬戸内国際芸術祭2022』の夏会期が9月4日(日)まで、『連載完結記念 ゴールデンカムイ展』が京都文化博物館にて9月11日(日)まで開催されていたり、8月27日(土)からは『六甲ミーツ・アート 芸術散歩2022』も開催される。まだまだ話題の展示が目白押し。見逃さないように注意しよう。
文=ERI KUBOTA
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展覧会情報
会期:2022年8月6日(土)〜10月2日(日)
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)※月曜日休館(9月19日を除く)
※災害などにより臨時で休館となる場合あり。
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
観覧料(税込):一般1200円(1000円)/高大生800円(600円)/小中生無料
*()内は20名以上の団体料金。
主催:大阪中之島美術館、NHK大阪放送局
特別協力:積水ハウス
協力:BXティアール、DIC デコール、TOTO、朝日ウッドテック、王建工業、キョーライト、クリナップ、シャープ、積水ホームテクノ、象印マホービン、ハウテック、パナソニックグループ、不二サッシ(アルファベット順・50音順)
VR協力:Uttzs ウツス by Panasonic
助成:三菱UFJ信託地域文化財団、ユニオン造形文化財団
ホームページ:https://nakka-art.jp/exhibition-post/osaka-portrait-2022/
展覧会情報
会期:2022年7月16日(土)~8月28日(日)
会場:奈良国立博物館 西新館
休館日:毎週月曜日
開館時間:9:30~18:00(毎週土曜日は19:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
※会期・開館時間は今後の諸事情により変更する場合あり。
※同時開催の『名品展』(なら仏像館・青銅器館)とは休館日・開館時間が異なる。
観覧料金:一般1,600円/高大生1,000円/小中生500円
主催:奈良国立博物館、當麻寺、読売新聞社、NHK奈良放送局
協賛:清水建設、大和ハウス工業
協力:日本香堂、仏教美術協会
公式HP:https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202207_chujo/
展覧会情報
会期:2022年7月8日(金)~8月26日(金)
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
※休館日 月曜日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
観覧料(税込): 一般2,400(2,200)円/中高生1,600(1,400)円/小学生900(700)円/オリジナルTシャツ付き
※( )内は20名以上の団体料金。
※未就学児は無料。18歳以上の保護者1名につき2名まで来場可能。
※障害者手帳等を提示の方は本人及び介護者1名は無料
※事前予約(日時指定)推奨
主催:読売新聞社、読売テレビ、キョードー関西、京都市
企画制作:シティニオン、ビクトリーヒル エキジビジョンズ
問い合わせ:ハローダイヤル 050-5542-8600(全日9:00〜20:00)
公式HP:https://avengersstation.jp
公式ツイッター:https://twitter.com/AVGSTATION_JP
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/avengersstationjapan
公式Facebook:https://www.facebook.com/AvengersStationJapan/
展覧会情報
会場:京都中央信用金庫 旧厚生センター
住所:京都市下京区中居町七条通烏丸西入113
会期:2022年6月3日(金)〜9月3日(土)
開館時間:平日 11:00~21:00/土日祝 10:00~21:00(展示会入場は閉館の30分前まで)
休館日:なし
土日祝一般(大人)2,200円/専・大学生1,700円/中高生1,200円
*小学生以下無料
主催:AMBIENT KYOTO実行委員会(TOW、京都新聞)
企画・制作:TOW、Traffic
協力:α-station FM KYOTO、京都METRO、CCCアートラボ
後援:京都府、京都市, ブリティッシュ・カウンシル、FM COCOLO
機材協賛:Genelec Japan、Bose、Magnux、静科、SONOS
特別協力:Beatink、京都中央信用金庫
公式ホームページ:http://ambientkyoto.com
Twitter:https://twitter.com/ambientkyoto
Instagram:https://www.instagram.com/ambientkyoto
Facebook:https://www.facebook.com/ambientkyoto
展覧会情報
会期:2022年7月30日(土)~9月4日(日)
開館時間:10:00~19:30(入館締切は閉館30分前まで)
入館料:一般900円/高大生700円/小中生500円
※「障害者手帳」提示の本人と同伴者1名は当日料金より各200円割引。
主催:美術館「えき」KYOTO、京都新聞
後援:ブリティッシュ・カウンシル
協力:株式会社東北新社
特別協力:アードマン・アニメーションズ
企画制作:東映株式会社
美術館「えき」KYOTO 公式ホームページ:https://Kyoto.wjr isetan.co.jp/museum/
美術館「えき」KYOTO 公式Twitter:@ekimuseum