藤巻亮太、5年4ヵ月ぶりアルバム『Sunshine』がこれまでにない明るさを放つ理由とタイトルに込めた思い
いろんな価値観の中で生きている自分が、最後はどう生きるか?ということがとても大事だと思っていて。そこは自分にしか決められない。
――今言われた、人との関係性ということで言うと、アルバムで初めて聴ける新曲「ゆけ」の歌詞にある、世界で鳴ってるいろんな音、調和だったり不協和だったり、それを僕なりに引き受けていく、というようなフレーズにも重なると思うんですね。
僕の同世代の多くは、家庭を持ったり、いろんな意味で自分の価値観だけじゃ生きていけないし、周りの価値観に揺さぶられながらみんな生きていると思うんです。シンプルに生きたいなと思っても、人と関わっている以上、その価値観の中で自分も揺れるし、その価値観をどうにか自分の中に織り込んで生きていこうとする。だけど、自分も変化するし、相手も変化するし、社会も変化するし、これで決まったと思ったらまた変わっていく。その時その時でいろんな価値観を織り込みながら、でもシンプルに生きれたらなという願いを持ちながら生きていると思うんです。最大限、そういうふうに戦ってらっしゃる方々の応援歌になったらいいなと思って。
――そうですね。
いろんな価値観の中で生きている自分が、最後はどう生きるか?ということがとても大事だと思っていて。そこは自分にしか決められないので、その部分を応援したい気持ちが、この曲にはあると思います。
――リスナーとしては、あえて言うならば、かつてのように自分の中にたまったものを吐き出す時期は過ぎて、他者との関係性の中で、藤巻亮太が新しいフェーズに入ったというフレッシュな感じがすごくしています。
そうですね、そういう(吐き出すような)要素は『オオカミ青年』(2012年10月発売/ソロ1stアルバム)の中にはけっこうありましたし、2枚目、3枚目も、迷いの中から立ち上がって来るみたいな感じがちょっとあったので。人間ってやっぱり、自分を支える大事な価値観がないと、こういう変化する時代の中では生きていけないので。自分の価値観をすごく大事にしてほしいし、大きな流れの中で自分を守っていってほしいんですけど。でもやっぱり同時に、そうやって価値観が固定されていってしまうのも人間だと思うので。そこが固定されていることで社会のリアリティとずれていってしまうことは、すごく怖い部分でもあると思うんです。そこで、よすがにする部分と、時代の流れを見極めて自分を変えていける元気みたいなものも、両方大事なのかなと思っていて。時には自分の採用している価値観を壊して前に進めるぐらい、あなたはすごい存在なんだよということを、この『Sunshine』というアルバムで言えたらうれしいなと。光を見つけて進んでいってほしいなというアルバムです。
――そういう、いろんなものを背負いながら前に進むんだというメッセージ性の強い歌詞が多い中で、サウンドもそれに合わせるように、シンプルで力強いロックバンドのアレンジが多いですよね。ここ数年間はアコースティックライブの数も多かったので、そっちの方向に行くのかな?という予想もあったんですけど、結果的にガツンとロックなバンドサウンド中心になった。それは自然にそうなったわけですか。
自分がアレンジした曲ももちろんあるんですけど、そうじゃなくて、セッションでアレンジしたいと思ったので。そうなるとやっぱり、ドラムがいてベースがいてという、自分が一番わかりやすい形になって。主に、ドラムが片山タカズミくん、ベースは御供(信弘)くんか、宮田‘レフティ’(リョウ)くんが弾いてくれて、その中でセッションして、アレンジの方向性が見えていきました。確かに、(アコースティックにも)いこうと思えばいけたんでしょうけど、サウンド面は、わりと自分の原点に返って来た感じがあります。やっぱり、結局バンドサウンドが好きなんですよね。
――「千変万化」のように、珍しくファンキーでグルーヴィーな曲もありますし。
「千変万化」は16ビートっぽいリズムを取り入れて、あんまり今までにないようなサウンド感から入っていって。そこを面白がって言葉を突っ込んでいった、みたいな曲です。Aメロ、Bメロ、サビという構成なんだけど、Dメロ部分が書けたのがこの曲は面白くて、そこがすごくフックになってる曲じゃないかな?と思っています。この曲もレフティくんとタカズミくんのベースとドラムがすごくかっこよく響いてるので、そこで“もらった”という感じでしたね。
――いいアルバムです。老若男女、いろんな方にぜひ。
聴いていただけたらと思います。「この道どんな道」のように、“大丈夫と言ってもらえてうれしい”みたいな声を聞くことが、今はすごくうれしいんです。この世の中にあって不安になったり迷ったり、たくさんある時代じゃないですか。だからこそ、ポジティブなアルバムを作りたいなと思っていたし。音楽だけは元気があって、曇りの中に差し込む光のように届いてほしいなという願いも込めて、『Sunshine』というタイトルを付けたんです。
――ちなみにこのジャケット、この光はどんなイメージで?
これはね、プリズムを持っているんです。光をプリズムにかけると、いろんなグラデーションの光があって。12色(曲)の光が1つの光=『Sunshine』として届いてほしいなという意味で。
――リリースツアーもありますね。2月から3月にかけて、全部で9本。どんなライブになりそうですか。
4ピースバンドで回ります。久々に思い切りバンドサウンドを楽しんでいただけるツアーです。アルバムの世界観のように、ギターサウンドでゴリッといく部分も楽しんでもらえたらうれしいです。ものすごく前向きな曲が多いアルバムなので、そういうパワーを伝えるツアーにもしたいと思います。もちろん新曲以外にもいろんな曲をやりたいと思うので、遊びに来てほしいなと思います。
――そして2023年も、バリバリ活動してくれますか。
ライブもやろうと思ってますし、また『Mt.FUJIMAKI』に向けて準備していきたいとも思ってますので、精力的に活動できたらと思ってます。まずはツアーで、全国の方に会いに来てほしいなと思います。
取材・文=宮本英夫 撮影=菊池貴裕
リリース情報
2023年1月25日発売
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIZL-2145.html
〇通常盤(CDのみ) VICL-65771/ 3,000円(税抜き)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-65771.html
<収録曲>
DISC1(通常盤・初回限定盤共通)
01この道どんな道
02 Sunshine
03 裸のOh Summer
04 僕らの街
05 まほろば
06 ゆけ
07 オウエン歌
08 千変万化
09 Heroes (Album ver)
10 サヨナラ花束
11 花びらのメロディー
12 大地の歌
DISC2 ~ソロ10周年記念ベスト~(初回限定盤のみ)
02 ハロー流星群
03 月食
04 光をあつめて
05 名もなき道
06 指先
07 花になれたら
08 8分前の僕ら
09 日日是好日
10 Blue Jet
11 マスターキー
12 北極星
13 3月9日 (配信Sg/セルフカバー)
14 粉雪 (「RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010」/セルフカバー)
15 ウイスキーが、お好きでしょ
16 Summer Swing
ライブ情報
2月26日(日) 【東京】I’M A SHOW OPEN/START:15:15/16:00
3月5日(日) 【福岡】DRUM LOGOS OPEN/START:16:45/17:30
3月11日(土) 【広島】CLUB QUATTRO OPEN/START:16:15/17:00
3月21日(火・祝) 【山梨】甲府CONVICTION OPEN/START:16:00/16:30