SHISHAMO『RUSH BALL 2023』ライブレポートーー「本当に特別なフェス」スリーピースバンドが見せたライブの真髄

レポート
音楽
2023.8.27
SHISHAMO 撮影=河上良

SHISHAMO 撮影=河上良

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『RUSH BALL 2023』SHISHAMO

サウンドチェックで「タオル」を演奏し、本番前から盛り上げていたのは今年CDデビュー10周年のSHISHAMO。宮崎朝子(Vo.Gt)が「『RUSH BALL』! 25周年おめでとうございます!」と両腕を上げて挨拶し、「恋する」を疾走感たっぷりに響かせる。松岡彩(Ba)と吉川美冴貴(Dr)のパワフルなビートに乗っかるクリアな宮崎の歌声が気持ち良く、遠く後方までしっかり手が挙がる。「君と夏フェス」の<夏の日差しで焼け焦げそう>がまさにリアルで、曲中のストーリーが実際に『RUSH BALL』でも起きているのでは? と思えるほどの夏フェス日和。頭上で輝く太陽、もくもくとそびえ立つ入道雲が目に眩しい。そこに吉川のオレンジ色の髪がよく映えていた。

SHISHAMO

SHISHAMO

宮崎が片手でピアノを奏でるイントロの「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」。スリーピースと思えないほどの骨太重厚感と、スリーピースならではの生感の共存がSHISHAMOの魅力だなと観るたびに思う。間奏の宮崎のギターソロの存在感たるや、すさまじくカッコ良かった。

MCではあまりの暑さに宮崎は「これはヤバいね。こんなに日差しが強いって聞いてない!」と言いつつも「『RUSH BALL』はSHISHAMOにとって本当に特別なフェスでね、今のSHISHAMOはこのフェスがなかったら存在しえないと思っています。この人(松岡)を『RUSH BALL』でナンパしたんですよ」と、当時専門学生だった松岡が加入することになったキッカケを話す。そして「CDデビュー10周年で『RUSH BALL』25周年という記念の年にまたこのステージに立てて嬉しいです」と喜び、3人で深々とお辞儀した。

SHISHAMO

SHISHAMO

後半戦、6月にリリースされた新曲「夏恋注意報」を披露。嬉しいことにこの曲のみ撮影OKとのアナウンス。観客は大喜びで夏の思い出をスマホに閉じ込めていた。続く「明日も」はスクリーンに手書きの歌詞が出るのが定番となっているが、宮崎の背中越しの景色が映し出され、人の波が観客の目にも露わになる。学校に仕事、それぞれの日々を生き抜いてこの場所に辿り着いたことを肯定する歌詞が染み渡る。ラストチューンは「明日はない」。心の深層にグッと入り込む、最高にロックな演奏で締め括ったSHISHAMOだった。

取材・文=久保田瑛理 撮影=河上良

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