大谷友右衛門ら一門が出席し、四世中村雀右衛門を偲ぶ 十三回忌追善狂言として、3月歌舞伎座で『傾城道成寺』を上演

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2024.2.21
(左より)大谷廣松、大谷廣太郎、中村雀右衛門、大谷友右衛門

(左より)大谷廣松、大谷廣太郎、中村雀右衛門、大谷友右衛門

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2024年3月3日(日)~3月26日(火)歌舞伎座にて『三月大歌舞伎』が行われる。昼の部にて四世中村雀右衛門十三回忌追善狂言として『傾城道成寺』が上演されるが、本日2月21日、四世中村雀右衛門の十三回忌追善法要が青山霊園で行われた。

四世雀右衛門の墓前に、四世雀右衛門の長男である大谷友右衛門、次男の当代・中村雀右衛門、四世雀右衛門の孫で友右衛門長男の大谷廣太郎、次男の大谷廣松や一門が出席し、故人を偲んだ。

■十三回忌を迎えた四世雀右衛門

四世雀右衛門の墓前で行われた本日の法要はあいにくの雨となったが、平成 24(2012)年2月23日に逝去した父・雀右衛門の葬儀を思い出しながら友右衛門が「12年前の父の葬儀は前日夜からの大雪でしたからね」と笑いながら話すと、集まった面々は往時を偲び和やかな雰囲気になった。

四世中村雀右衛門

四世中村雀右衛門

法要を終えて友右衛門は「早いもので十三回忌ですが、時々、父はまだまだ喋っているんじゃないかなと思う感覚もありますので、それほど遠くないように感じますね」と述べると、雀右衛門は「本当に12年というものは、あっという間に過ぎてしまったなという気がしております。廣太郎くん、廣松くんがこうして成長してきていますので、きっとお墓の中の父も喜んでいるんじゃないかと思います」と亡き父のことを思い出しながら語った。

祖父の四世雀右衛門が亡くなったときは共にまだ二十代だった廣太郎と廣松の兄弟。廣太郎は「叔父さんは成長していると言ってくれましたが、まだまだ全然そんなことはないので……。でも、こんなことを言うとお祖父ちゃんに怒られてしまうので、まずは一つひとつしっかりと芝居に向き合ってがんばっていきたいなと思っています」と言うと、廣松からは「お祖父ちゃんとは色々と話したかったこともありましたが、今となってはもう話せません。その分、舞台を通して、お祖父ちゃんが残してくれたものを大事にしていきたいと思います」と言葉に気持ちを込めた。

(左より)大谷廣松、大谷廣太郎、中村雀右衛門、大谷友右衛門

(左より)大谷廣松、大谷廣太郎、中村雀右衛門、大谷友右衛門

■追善狂言『傾城道成寺』に向けて

「道成寺物」の上演をライフワークとした四世雀右衛門。今回、十三回忌追善として上演される『傾城道成寺』は、昭和55(1980)年から平成4(1992)年まで毎年開催された自主公演『雀右衛門の会』でも上演された古風で雅やかな舞踊。『傾城道成寺』が上演された歌舞伎座での自主公演にも兄弟揃って出演している友右衛門は「父もよくさせていただいていた狂言を、今回は父の追善で雀右衛門がするということが、とても嬉しいです」と気持ちを伝えると、雀右衛門は「兄のところと、私のところが一丸となって父が残した大事な演目を、父の舞台をご覧いただいていた方にも、あ、そうだったなと思い出していただけるような舞台を勤めることができれば」と意気込んだ。

歌舞伎座『傾城道成寺』特別ビジュアル

歌舞伎座『傾城道成寺』特別ビジュアル

四世雀右衛門の七回忌追善狂言『男女道成寺』にも出演した廣太郎の「最近はこの四人で揃うことがなかなかありませんでしたので、そのことも楽しみです」という言葉に続けて、廣松は「お祖父ちゃんが大事にしていた演目を叔父さんがされて、そこに出演させていただけること、少しでも十三回忌の節目に力を添えられるような存在になれたのかなと思ってがんばりたい」と、追善の舞台に向け、改めて気を引き締めた。

(左より)大谷廣松、大谷廣太郎、中村雀右衛門、大谷友右衛門

(左より)大谷廣松、大谷廣太郎、中村雀右衛門、大谷友右衛門

 
四世中村雀右衛門十三回忌追善狂言『傾城道成寺』(あらすじ・解説)
紀伊国の古刹、道成寺。白無垢姿の傾城清川が忽然と現れると、僧の安珍と出会います。
安珍は実は平維盛の世を忍ぶ仮の姿で、二人はかつての恋人同士。清川は恋の妄執に苦しむと……。
紀州道成寺に伝わる安珍と清姫の伝説をもとにした「道成寺物」の中でも、『京鹿子娘道成寺』とは異なり、清姫の霊が傾城として登場する趣向の作品。古風で雅やかな舞踊をご堪能いただきます。この度は名女方の四世中村雀右衛門十三回忌追善狂言として、四世雀右衛門の次男で、父の名跡を五代目として継いだ当代・中村雀右衛門の傾城清川、長男・大谷友右衛門の妙碩、尾上松緑の安珍、四世雀右衛門の孫で友右衛門の長男・廣太郎の難波経胤、友右衛門の次男・廣松の真名辺三郎、そして尾上菊五郎の尊秀という配役、ゆかりの演目で名優を偲びます。

 

公演情報

『三月大歌舞伎』
日程:2024年3月3日(日)~26日(火)
会場:歌舞伎座
 
【休演】11日(月)、18日(月)

昼の部 午前11時~
 
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺子屋
 
松王丸:尾上菊之助
武部源蔵:片岡愛之助
戸浪:坂東新悟
千代:中村梅枝
園生の前:中村東蔵

四世中村雀右衛門十三回忌追善狂言
二、傾城道成寺(けいせいどうじょうじ)
 
傾城清川:中村雀右衛門
安珍:尾上松緑
妙碩:大谷友右衛門
尊秀:尾上菊五郎

真山青果 作
真山美保 演出

元禄忠臣蔵
三、御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)
徳川綱豊卿:片岡仁左衛門
富森助右衛門:松本幸四郎
中臈お喜世:中村梅枝
御祐筆江島:片岡孝太郎
新井勘解由:中村歌六
 
夜の部 午後4時15分~

通し狂言
一、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
相の山
宿屋
追駈け
地蔵前
二見ヶ浦
太々講
油屋
奥庭

福岡貢:松本幸四郎
今田万次郎:尾上菊之助
料理人喜助:片岡愛之助
正直正太夫:坂東彦三郎
叔母おみね:市川高麗蔵
油屋お鹿:坂東彌十郎
藤浪左膳:中村又五郎
油屋お紺:中村雀右衛門
仲居万野:中村魁春

六歌仙容彩
二、喜撰(きせん)
喜撰法師:尾上松緑
祇園のお梶:中村梅枝
 
 
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