朝夏まなと「背中をポンと押すような力を届けたい」〜進化を遂げたミュージカル『モダン・ミリー』2024年版がいよいよ開幕

レポート
舞台
2024.7.10

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ミュージカル『モダン・ミリー』がさらなる進化を遂げ、2024年7月10日(水)に日比谷シアタークリエで開幕する。

本作はジュリー・アンドリュース主演の同名ミュージカル映画(1967年公開)を原作とし、2002年にブロードウェイで誕生したミュージカル。日本では2020年に上演予定だったがコロナ禍の影響で開幕直前に全公演中止が決定し、2022年に待望のリベンジ上演が果たされた経緯がある。

2年ぶりの再演となる今回は小林香が演出・翻訳を引き続き務め、キャストは朝夏まなと、廣瀬友祐、一路真輝らが続投。そこに田代万里生、夢咲ねね、大山真志、土居裕子ら新キャストが新たに加わった。本公演は再演とはいえ脚本の一部変更や新曲の追加もあり、このバージョンでの上演は世界初演となる。

以下、初日前夜に行われた囲み取材とゲネプロの模様をレポートする。

ゲネプロの前に舞台上で囲み取材が行われ、朝夏まなと、田代万里生、廣瀬友祐、夢咲ねね、大山真志、 土居裕子、一路真輝、小林香(演出・翻訳)ら8名が登壇。開幕直前の意気込みを語った。

ーー今回の『モダン・ミリー』はどういうところが新しくなったのでしょうか?

小林:一番大きく変わりましたのは、どのようなお客様がご覧になってもみんなが等しく楽しめるように変わったというところかなと思っています。世界初演のブロードウェイバージョンが2002年に上演され、私たちが上演したのは2022年。既に20年の時が流れており、今回さらに2年のときが経っています。人種に関わる表現が時代と共に変わってきていますので、ブロードウェイのチームが2024年にふさわしいものをと、一路真輝さん演じるミセス・ミアーズを全く新しい役に書き直してくださいました。人種に関わる部分を心配することなく、どんな方も気持ちよく楽しんでいただけるような変更があったというのが大きなポイントです。

ーー朝夏さん、初日を前にしてのお気持ちはいかがでしょうか?

朝夏:再演とはいえど変更点もたくさんあって、新キャストのみなさんと新しい『モダン・ミリー』2024を作り上げようとお稽古をしてきました。今からゲネプロですが、まだ実感がわかないくらい本当にお稽古が楽しくて。明日にはお客様に観ていただけるので、今とても楽しみです。この気持ちが一番大きいです!

ーー特に観て欲しいところはありますか?

朝夏:見どころしかないのでどこを挙げるか迷うんですけれど、私自身とても好きなシーンはオープニング。ミリーがニューヨークに来て、モダンガールズやモダンボーイズと一緒に歌うナンバーがあるんです。そこのお衣装も新しくなっているので、その辺りも観ていただきたいなと思います。

ーー一路さんを中心に脚本に変更があったそうですが、いかがですか?

一路:再演の初日を迎える前の気持ちでは明らかになく、新作の初日を迎えるくらいの気持ちです。小林(香)さんから「すべてのみなさまに楽しんでいただける脚本に変わっている」ということを改めて伺い、すごく重大な役なのだなと思っているので、精一杯務めさせていただきたいと思います。

ーー具体的にはどういうところが変わったのでしょうか?

一路:全部です。元々は中国人のフリをしたアメリカ人だったんですけれど、国籍はアメリカ人のままです。運も才能もない売れなかったコーラスガールが夢を捨てきれず、虎視眈々と女優に復帰しようと考えている、という役になりました。

ーー今回から参加の土居さんは世界的歌手という役どころですが、いかがでしょう?

土居:私はこんなにバリバリのブロードウェイ・ミュージカルへの出演は、実はまだ3本目。すごい役をやらせていただけて光栄なんですけれども、心臓が飛び出るくらい緊張しています。でもまぁちゃん(朝夏まなと)をはじめカンパニーのみなさんがとても優しく温かく楽しく見守ってくださって稽古を進めることができたので、明日が楽しみです。

ーー田代さんも初参加ですが、今回のカンパニーや舞台をどのように感じていらっしゃいますか?

田代:まずシアタークリエでのミュージカル出演が11年ぶりなんです。コンサートはたくさんやらせていただきましたが、ミュージカルは2013年の『トゥモロー・モーニング』以来。クリエでブロードウェイ・ミュージカルを演じることも感慨深いですし、オールスターのようなキャストとご一緒できるのも本当に嬉しいです。まぁちゃんをはじめ本当に毎日の稽古が穏やかで。多幸感って言うんですかね? 演出の進め方も含めみんな穏やかに楽しんでいるのが実感としてあるので、お客様にぜひこれを届けたいなと思っています。

ーー廣瀬さんは前回と同じ役を演じられますが、今回はどのような感じでしょう?

廣瀬:キャストが半分以上変わっているので、自然と変わってくるところはあるんだろうなと思っています。ただ、セリフなど具体的なところはほぼ変わっていないんですよ。前回公演で初日を迎えたとき、オープニングでまぁちゃん演じるミリーが手拍子をした瞬間、お客様が手拍子をしてくれたんです。コロナ禍も相まってとても高揚した記憶があります。なので今回もまたお客様と一緒に楽しめたらいいなと思っています。 

ーーおすすめのシーンはありますか?

廣瀬:オープニングの「♪とびきりモダンなミリー」のシーンで、田舎から出てきたばかりのミリーがモダンガールの衣装でセンターから出てくる瞬間の、まぁちゃんの顔です。

朝夏:(そう言われると)すごい意識しちゃう(笑)。

ーー夢咲さんも今回初参加ですが、お好きなシーンはありますか。

夢咲:どの場面も本当に大好きで! 自分も出なきゃいけないのにどこも見逃したくないと思うくらいとてもハッピーで楽しくて、この世界観にずっといたいなと思うくらいなんです。被っちゃいますが、プロローグはなぜかグッときちゃいます。ミリーも発光しているんですけど、モダンガールとモダンボーイズのシルエットが見えてくると「ああ今から始まるんだ」と。それに音楽とみなさんの笑顔で一気に『モダン・ミリー』の世界に入れるので、プロローグは本当に好きですね。

あと個人的に、ミリーとジミーの二人の場面がキュンキュンしちゃうんですよね〜! キュンとしながら(舞台袖で)見ていて、でも自分も出なきゃいけないので「あ、だめだ役に戻らなきゃ」って思うんです。反対側でグレイドンさん(廣瀬友祐)もスタンバイしているんですけど、同じくらいニヤけて見守っていました(笑)。みなさんがキュンキュンしちゃうような素敵な場面になっていますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

田代に促され、劇中の某シーンでほっぺを膨らませるドロシーを実演する夢咲。

田代に促され、劇中の某シーンでほっぺを膨らませるドロシーを実演する夢咲。

稽古では、そんな夢咲ドロシーの表情を真似ることもあったという朝夏。

稽古では、そんな夢咲ドロシーの表情を真似ることもあったという朝夏。

ーー大山さんも初参加ですが、今回一番大変だったことは?

大山:ほぼ全編を広東語で喋らせていただいているのでそこが大変だったのはありますが、先生とディスカッションして楽しみながらやってこれました。あと、1曲丸々新しい曲が追加されています。これまでになかった曲を1から作るという段階を踏ませていただいたんです。ミセス・ミアーズ、チン・ホー、バン・フーの3人でその新曲を歌うので、前回公演を観た方にも新しく驚いてもらえるところなのではないかなと思います。

ーー朝夏さんはかなり高度なダンスをやっていらっしゃるとお聞きしました。

朝夏:タップが難しいですね。2年前よりもバージョンアップして難易度が増しています。タイプライターを打ちながらタップをするシーンなんですけれど、タップを踏む数が明らかに前回より増えています。闇練しました(笑)。

ーー今回新しいキャストの方々が入って感じる魅力は?

朝夏:その方が持っているものが透けて見えるお役になっています。みんな愛すべきキャラクターなんですけれど、それにプラスして御本人の魅力がその役をさらに魅力的にしているなと、すごく感じています。

ーー最後にみなさまから一言ずつメッセージをお願いします。

大山:生きていると、幸せってなんだろうなあと考えるんです。この作品を観たらそのヒントが見つかるんじゃないかなと思います。劇場で楽しんだあとに「あ、私も頑張ろうかな」という気持ちを感じさせてくれる作品でもあるので、みなさんぜひ観に来てください。

夢咲:プロローグから観ていてすごく笑顔になれて、ハッピーで幸せな気持ちに包まれる作品なんです。底抜けに明るい作品なんですけれど心に響くところもちゃんとあって、すごく考えさせられるような内容で。でも最後は誰もがおめでとうと思える幸せなエンディングなので、最初から最後まで楽しんでいただけるのではないかなと思います。何度でも観に来ていただけたら嬉しいです。

廣瀬:前回公演ではお客様からのエネルギーでさらにキャストの温度が上がった印象があるので、今回は前回以上にお客様と一体になって楽しい作品になればいいなと思っています。ぜひ劇場へお越しください。

田代:比較的新しい作品なんですけれど、原作がミュージカル映画ということで程よいオールド感もありつつ、まさにザ・ブロードウェイ・ミュージカル、そして個人的には「ザ・東宝ミュージカルとはこれだ!」と痛感しております。キャストそれぞれが自然体で演じていながらも、役柄なのか本人なのかわからないくらいの色が出ながら、お客様にとってこれだけ肩が凝らないで観ることができるミュージカルも少ないんじゃないかなと思います。ご観劇いただいたあとに「楽しかったね〜」と感想を言いながらクリエの階段を登っていただけることを願って、頑張っていきたいなと思っております。

土居:ここに並んでいるみなさん、そしてこの場にはいないたくさんの若い出演者やスタッフの方々などカンパニー全員で汗をダラダラかきながらお稽古しているんですね。いざ舞台稽古が始まるとみんなカーンと明るく事もなげにやっているんですけれど、本当に一生懸命タップを踏んで歌を歌っていて「これで13,000円は安い!」と思いました。絶対にお得です!(笑)

一路:ブロードウェイの作品でありながら、この日本が世界初演になる今回のバージョンなので、ぜひ見逃さないでいただきたいと思っております。どうぞ劇場に足をお運びください。お待ちしています。

小林:2年前の初演のとき、初日にお客様がお腹の底からドカーンと笑ってくださって、その景色を見て「あ、私演劇やっていて本当によかったな」と心の底から思ったんです。今回はキャストも新しい方が集まってくださり、馴染みのキャストも再結集して、2年分、腕に腕を磨きまくってお客様を楽しませようという気持ち満タンで挑みます。ミュージカルの素晴らしさをギュッと詰め込んだこの作品を観て、人の優しさや夢見る気持ちの素晴らしさに触れていただき、心軽やかに劇場をあとにしていただけたらなと思っております。お客様がご来場されてようやく完成する作品ですので、心の底からお待ち申し上げております。

朝夏:ミリーはニューヨークでいろんな人に出会って成長していきます。私はお稽古も含めて3度目のミリーになるんですけれど、私自身も素晴らしい共演者のみなさまと出会い、新しい気付きや発見などがありまして、新しいミリー像を作ってきました。もっともっとこの作品を舞台上で膨らませて、それにはお客様のお力をお借りして、“シン・モダン・ミリー”をますます成長させていきたいなと思います。みなさんの背中をポンと押すような力を私たちから届けたいなと思っているので、『モダン・ミリー』2024をどうぞよろしくお願いいたします!

>(NEXT)ゲネプロレポート

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