一緒に笑って感動した、あの感情にみんなで戻ろう! 『テイルズウィーバー』コンサート、ネクソン担当者と演奏者のプロフェッショナルな仕事を深堀り~楽曲アレンジ情報はファン必読!
クラシックの視点でも「レア」なことだらけ!? 特別な体験がもりだくさん
ゲーム音楽のコンサートでは、通常のオーケストラ編成にドラムが入ることが多いが、今回の公演ではドラム以外にも珍しい楽器がオーケストラに加わる。そのひとつが、キービジュアルにも登場しているサックスだ。
(庄司)「サックスはメロディを担当することも多く、花形と言えます。いるだけで絵になるし、音も大きく、音色が映えるので、1本あるだけで、オーケストラに新しい絵の具が入ったような感覚になると思います。音色の組み合わせが増やせるのがすごくありがたいですし、楽しみでもあります。今回はクラシック系のサックス奏者と聞いているので、ジャジーなものとは違う、サックスの魅力を味わっていただけると思いますよ」
サックスと並んで珍しいのが、チェレスタだ。チェレスタとは、鉄琴のような音色の鍵盤楽器で、映画『ハリー・ポッター』のメインテーマ冒頭や、バレエ『くるみ割り人形』の「金平糖の踊り」に使用されているものだという。「聴けばきっと知っていると思う」と話す山中が、その演奏を担当する。
(山中)「チェレスタは、可愛いけどちょっと怪しい雰囲気の音がする素敵な楽器です。鉄琴とは似て非なるもので、独特の浮遊感があって、初めて聴く方にとってはすごく不思議な音だと思います」
実はチェレスタは、経済上の理由からクラシックコンサートでも滅多にお目にかかれない楽器だという。それだけでも特別感が増すが、山中は、音響やマイク、会場の広さなどについても触れ、今回の公演がどれだけ珍しく滅多にない体験の機会であることを語る。
(山中)「今回の会場である第一生命ホールって、通常は小規模編成の室内楽公演が多い、コンパクトなホールなんですよね。そこにフルオーケストラやピアノ、サックスも入って――っていうのは、クラシックの視点から見てもかなり特殊な空間。舞台と客席が近いので、密着度や臨場感は自然と生まれてくるんじゃないかなと思います。あとは、今回マイクを立てず、アコースティックの音だけだと聞いています。それもレアですよね」
(庄司)「通常は、音響スタッフが入って、各楽器のバランスを見てミキサーで調整して音を届けますからね。今回ピアノ、オーケストラ、ドラム、サックスと色々な楽器がある中で(ミキサーが)入らないとなると、編曲においてもいつも以上にバランス感を取っていく必要があって、難しくて……僕の譜面でなんともならなかったところは、きっと演奏者のみなさんが頑張ってくれることでしょう!(笑)」
一緒に笑って感動した、あの時の感情をみんなで
2023年開催『MapleStory Concert:終わらない冒険』来場者の声
曲を聴いて何かを思い出すのはユーザーに限った話ではなく、ゲームに関わった人たち全てにそれぞれの思い出がある。『テイルズウィーバー』では、作曲は韓国の開発のサウンドチームが手掛けており、個人ではなくチームで作っている。人気曲ランキングも以前行われていたが、その傾向はというと――
(呉)「やはりピアノの曲が多いのですが、中でもピアノとギターという組み合わせの曲が上位にきますね。とはいえ、音楽的な面だけでなく、ストーリーや背景が印象的だった曲でもあるようです。例えば「レミニセンス」はいつも上位人気曲に入っています。
ちなみに、サウンドチームにお気に入りの曲を聞いてみたのですが、「サードラン」だと返答がきました。ユーザーからも「セカンドラン」と「レミ二センス」と同じぐらい好評な曲ではあるんですが、サウンドチーム的にはすごく力を入れて作った曲だそうです。当時の開発メンバーがTVアニメーションなどを考慮して準備したもので、多くのプロモーションが浮かび上がってくるそうです」
ちなみに、演奏者それぞれの好きな曲、気になる一曲とは?
(庄司)「僕はボサノバっぽいあの曲――「オータムリーブス」ですね。あえてピアノを半分くらい「使わないで」アレンジしました。原曲とは全く違うテイストですし、オーケストラになることによって楽しんでいただけるんじゃないかとは思っています」
(米田)「先程挙がった「レミニセンス」が、素敵な曲だなって目に留まりました。『テイルズウィーバー』の世界観がすごく出ている曲だなと、光るものを感じています」
最後にオーケストラでゲーム音楽を聴く魅力とともに、開催を心待ちにしているファンへメッセージをいただいた。
(米田)「楽器の音や呼吸、空気の揺れ、音が持つ振動――それらを身体で味わうのがオーケストラで聴く一番の魅力だと思います。オーケストラっていいなとか、他の音楽も聴いてみようかななどと少しでも思ってくださったら嬉しいです。生でしか味わえないコンサート公演の雰囲気を体感しに来てください」
(庄司)「音楽は“瞬間芸術”でもあります。たくさん聞いた曲のはずなのに、新鮮に感じたり、まさにそこでしか味わえない、感じられないものを体感していただける機会になると思います。『テイルズウィーバー』関連では、「BGMが好き」というコメントをよく見ます。そういった方々の心に刺さるような演奏ができたらいいなと思っていますので、迷ってる方はぜひ!」
(山中)「ゲームは非日常やファンタジーを求めてプレイされている人が多いのではと思いますが、コンサートホールで、生の人間が演奏しているのを見ながら空気の振動を身体で感じるというのは、画面ごしとは違う質感で、五感を刺激してくれると思います。ホールでぜひ一緒に体験したいです」
(呉)「昨年の『メイプルストーリー』コンサートの映像はYouTubeでも公開していますが、日本のみならず世界中のユーザーからいろんな言語でコメントが書かれているのを見ると、音楽の力ってすごいなと感じます。20年という期間の中でゲーム自体も発展し続けていますが、ユーザーの皆様も、年齢や社会的な地位など様々に変わってきていると思います。だからこそ、今回のコンサートでは、みんな一緒に笑って感動したあの時の感情に戻れる、そんな期待を込めてご来場いただけたらと思います。みんなで思い出を共有しましょう!」
PC向けオンラインRPG『テイルズウィーバー』のオーケストラコンサート『TalesWeaver Concert Ep:Anniversary Rhapsody』は、2025年1月19日(日)第一生命ホールにて開催される。
取材・文:松本裕美
公演情報
昼公演 12:45開場 / 14:00開演
夜公演 16:45開場 / 18:00開演
東京都中央区晴海1丁目8番地9号(晴海トリトンスクエア内)
■出演:
<指揮>米田覚士
<ピアノ>山中惇史
<管弦楽>グランドフィルハーモニック東京
<コンサートマスター>西江辰郎
<編曲>海沼みきな、葛西竜之介、湖東ひとみ、庄司燦 (五十音順)
■制作・運営:株式会社アーツイノベーター・ジャパン
■協力:株式会社イープラス、日本コロムビア株式会社、グランドフィルハーモニック東京
※全ての券種に来場特典が付きます。詳しくは特設ページをご確認ください。