バイラルヒットをリアルで体感ーーAyllton、AKASAKI、友成空、紫 今が『YOUNG POP CLUB vol.14』で競演

レポート
音楽
2025.7.12

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2025年6月15日(日)に『YOUNG POP CLUB vol.14』が大阪・心斎橋Music Club JANUSにて開催された。2017年から続くイベント『YOUNG POP CLUB』には、過去にカネコアヤノ、Mega Shinnosuke、Chilli Beans.、Laura day romance、Bialystocks、muque、luvといった面々も出演しており、毎回早耳の音楽ファンを満足させるラインナップで注目を集める。そして第14弾となる今回は、今SNSで話題をさらうAyllton、AKASAKI、友成空、紫 今が集結。4組の個性が光るパフォーマンスで梅雨の大阪を真夏へと変えた一夜を紹介する。

■Ayllton

トップバッターは昨年『SUMMER SONIC』にも出演を果たしたAyllton。「大正解」と「ジャンキー」の軽快なギターや耳なじみいいメロディ、インパクトを残す“Oh!”のコーラスでスタートダッシュをかければ、フロアには早くも拍手と歓声が。本人も笑顔を浮かべ、MCではリラックスした様子だ。

そして「僕は長崎の五島列島の出身。親父が漁師だったり、家から出たら3歩で海だったりするような所の人間で……」と出自を口にし、上京した時に書いたという「カモメと軽トラ」、さらに「バッドベイビー」を。歌謡曲のノスタルジーや不敵な歌声などを混ぜつつ旅立ちを描き、<どうして>のリフレインを焼きつけ、サポートバンドとともに弾けて会場をリード。

そしてひと息置くと語るようなボーカルから<不完全さえ愛したい>と轟かせるバラードで急激に集中を高め、2度目のMCタイムへ。すると「弦が切れちゃって」というハプニングの報告があるも、紫 今のサポートにギターを貸りてリカバー。舞台裏の雰囲気の良さもうかがわせながら、最終盤は「ダメね」&「鯔背」でポップに。観客のクラップと体の動きが明らかに大きくなり、ラストは高音のロングトーンを響かせてアッパーに飾った。

■友成空

闇のなか登場すると、足音のSEからすぐに<幕が上がる>と始まる「ACTOR」になだれ込み、畳みかけるボーカルや自由な展開であやしげなショータイムへ。さらに続く2つの人気曲では、和の旋律の中毒性、疾走感、言葉の棘、ストロボなどで曲の世界をより濃くし、たくさんの手を揺らす。

そして「僕、よく作ってる曲と生身の印象が違うって言われるんですけど、自分でもそう思うんですよね(笑)。作ってる時は別人格なんで、それが音楽のおもしろいところだと思います。別人格も、こういう普通の人格も今日は楽しんでいってもらえたら……」と和やかな一面を見せ、「コーヒーを飲んでリラックスしながら、失恋した友達を励ませないかなって思って作った曲です」と弾き語りを。

いっきに空気が変わり、目を閉じて届ける声と美しく重厚なピアノでファンを釘づけに。ブレスもせつなくもれる。しかし次はおしゃれなダンスチューンでクラブの様相に。音もミラーボールもキラキラさせれば観客はワイパーで一つになるが、最後はヒットナンバー「鬼ノ宴」のダメ押しで、再び和のテイストでゴール。直後の大きな拍手と歓声は、多彩な人格を感じさせる見ごたえ十分のアクトが引き出したに違いない。

■AKASAKI 

手を振りながら姿を現すとフロアには「かわいい!」の声。心なしか増員した会場をまずは「今夜は君と」と「Bunny Girl」で加熱する。昭和歌謡とDTMを絶妙に融合するサウンドは実にキャッチー。シャウトが轟きファンはダンス。熱狂する海外の人の姿もある。

そこに「ルーツ」をつなげて「踊れ!」とギアアップ。せつなくも華やかな音像にクラップはやまないが、間をあけず甘酸っぱい夏を切り取るセンチメンタルな「真実」から、すぐにスピードを上げて気分よく体を突き動かす「徘徊」へ。歓声のなか両手を広げ歌う姿はカリスマ性もたっぷりだ。

するとここでこの日の4日前に発表したばかりの「全身前礼」を。呪文にも似たリリックや熱も色気も感じる歌声にだれもが体を委ね、最後部ではAylltonも大きく揺れて新曲を満喫する。そして迎えた唯一のMCでは「今年の夏は僕の夏になると思うんで」と頼もしい宣言が飛び出し、「ご唱和ください!」と「爆速論理ness」でついにラストスパートに。

舞台を走り回り、バンドもパワーを増し、観客はタオルを回して全員で爆走。高揚感に包まれて全7曲を終えた。去り際に「次、ここら辺(会場中央)行くからしゃべりかけて」とひと言。このゼロ距離にも人気の理由を見たり。

■紫 今

トリを務める紫 今は「合法パンチ」で咆哮を上げ、緊張感も漂う幕開け。急加速やラップでオーディエンスも前のめりになりコールが起こると「いい顔してんね!」のほめ言葉が。さらにダンサブルな「Server Down」に艶っぽい声をまとわせて揺さぶると、新曲の「ウワサのあの子」へ。髪を振り乱して放つボーカルはもっと絡みつき、サビでは急上昇。一人残らず跳ねさせる。

また「曲を聴いている3分間だけでもいいから、救われる人がいたらいいなと思って作った曲です。つらい過去だったり、大変な毎日を懸命に生きているあなたに向けて歌います」と思いを込めた「ギンモクセイ」では、大サビのアカペラがエモーショナル。クレッシェンドしてロングトーンを聴かせれば、その壮大さに人々は思わず動きを止める。

しかし後半戦は 「魔性の女A」の和のロックからで、踊り子のように手を伸ばして発する鬼気迫る声と赤い照明に異世界感も漂い、次の「メロイズム」ではリバーブで惑わせつつ美しい高音で切り裂く。観客はタオルのスピン、手拍子、ジャンプで呼応。そして「おいで、おいで。ぐちゃぐちゃになろうぜ!」と、とどめには大コールを起こす「凡人様」をセレクトし、強いラップでも攻撃して躍動感も満点なうえ、大合唱にハイトーンを重ねてフィニッシュ。華々しく14回目の『YOUNG POP CLUB』を締めくくった。

早くも『YOUNG POP CLUB vol.15 & 16』が10月16日(木)・ 17日(金)に大阪・心斎橋Pangeaにて2days開催が決定。ラインナップなど詳細は後日発表となるので、公式SNSを要チェック。 

取材・文=服田昌子 撮影=ハヤシマコ

ライブ情報

『YOUNG POP CLUB vol.15 & 16』
日程:2025年10月16日(木)・ 17日(金)
会場:大阪・心斎橋Pangea

X:@YOUNG_POP_CLUB
Instagram:@young_pop_club
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