SHE’S、地元大阪で一つになった原点回帰のライブハウスツアー終幕「SHE’Sという大事な居場所を与え続けてくれてありがとう」

レポート
音楽
18:00
SHE'S 撮影=オフィシャル提供(ハヤシマコ)

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『SHE'S Tour 2025 “The One”』2025.7.9(WED)大阪・BIGCAT

SHE’Sが7月9日(水)に大阪・BIGCATで全国ライブハウスツアー『SHE'S Tour 2025 “The One”』の最終公演を行った。

6月11日(水)の東京・LIQUIDROOM公演を皮切りに7大都市を巡った本ツアーは、2018年秋と同じ『The One』というタイトルが掲げられ、そこには「皆と心を一つに」「初心に帰る」といった意味が込められていることからも、原点回帰の思いが伝わってくる。地元大阪での千秋楽となったこの日のは見事にソールドアウト。端から端までびっしり埋まった会場で、冒頭の「Change」からいきなりシンガロングが巻き起こり、続く「I'm into You」~「Freedom」でも満場のクラップに乗り軽やかに駆け抜けていく。

その後も、「Masquerade」のエキゾチックなビートで瞬く間に祝祭空間を創出したかと思えば、壮大なミドルチューン「Cloud 9」を経由しブルージーなギターが冴えわたる「Ugly」へ。ライブを重ね変化し続けるアレンジは、現状維持に留まらず見せ場や焦点をアップデートする新たなアイデアに満ちており、楽曲が生き物のように成長していく過程をまざまざと見せつける。

「改めまして大阪SHE’Sです、『The One』ツアーファイナルへようこそ! 本当に最高のツアーで終わってほしくないんですけど、各会場で「心を一つに」をテーマに最高の思い出を作ってきたので、今日は地元大阪でファイナルだし、みんなで一つになりましょう!」(服部栞汰・Gt)

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「みんなもっともっと歌う準備はできてる? せっかく『The One』というタイトルでやってきたんで一つになって、楽しみまくって、笑って帰りましょう!」(井上竜馬・Vo.Key)

クールなダンスナンバー「Raided」でフロアに火をつければ、あとは高揚感という名のガソリンを注ぐのみ。まばゆき閃光を背にした「Unforgive」では音と光のスケールに圧倒され、ライブ映えするワイルドなロックサウンドに拳が上がった「Getting Mad」から一転、「Night Owl」では狂騒から一気に静寂へ。「One」でも静かに、だが力強く響きわたるメロディが、見る者の心を奮い立たせていく。

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「懐かしい曲もいっぱいやってるわけで、一曲目からインディーズの曲やから知らん人も多いやろなと思うのよ。ちらっと予習したぐらいでは分からん曲ばっかりやから(笑)。でも、『The One』はそういうツアーなんです。なかなか変なセットリストかもしれないけどライブで楽しめる曲をセレクトしてるんで、一緒に楽しんでいけたらと思ってます。それじゃあ、淀川の思い出の曲を」(井上)

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洗練された彼らの音楽性から「淀川」という大阪ローカルなワードは今となっては想像しがたいが(笑)、パワーポップな「Used To Be」をかき鳴らせば、10代より4人が積み重ねてきたかけがえのない時間がにじみ出る。そして、胸の奥底に深くゆっくり潜っていく「Be Here」、繊細なリズムと柔らかなピアノに包まれる「月は美しく」の心地良さに自ずと肩を揺らすオーディエンス……。そこから急浮上するかのごとくひときわドラマチックに聴かせた「Ghost」は圧巻で、エモーショナルなギターソロがBIGCATに炸裂! その余韻というエナジーにまみれた「Kick Out」では、観客と一体となって作り上げるライブの理想像がまさにそこにあった。

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ここで木村雅人(Dr)がステージ前方へと歩み寄り、このツアー中に父親になったと何とも幸せなご報告。場内から大きな拍手が送られ、「いや~すごいな、真夏にマクドナルドの前で分厚い革ジャンを着て、汗だくで顔がテカッてた15歳が今やパパか(笑)。そんなキム(=木村)の人生に、今日は俺たちで「追い風」を送ろうぜ!」と井上。後半戦は、有言実行のアンセム「追い風」を起点に疾走感溢れる「遠くまで」へとつなげ、そのまま「Grow Old With Me」~「Dance With Me」とハッピー極まりない2連発! 音楽が人生にもたらす幸福感を思い出させてくれる、それがSHE’Sの真髄だったと改めて細胞が騒ぎ出す。

「自分にとってSHE’Sはただの友達でも家族でもない。それでも、この4人でいろんな人と出会って、チームが出来て、ここまで旅をしてきて……俺の人生はほぼSHE’Sで埋まってる。今もなおSHE’Sとして活動できていることには、計り知れない感謝があって。その感謝は、自然と水が流れていくように、風が吹くように、目の前の名前も知らないあなたに向いていきます。SHE’Sという大事な居場所を与え続けてくれてありがとう。混じりっ気ないその気持ちを歌って終わりにします。ツアー楽しかったわ、ファイナルが大阪で良かった!」(井上)

井上のそんな言葉を形にした新曲「Four」が、SHE’Sとともに生きる全ての人にささぐファンファーレのように、ホームの地で優しく鳴り響く……。

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まだまだ興奮冷めやらない観衆から早々に呼び戻されたアンコールでは、「来年は僕らの15周年、そしてキムの子どもの1周年です(笑)。どちらもよろしくお願いします」(広瀬臣吾・Ba)、「7年ぶりに『The One』をやって、「こんなに楽しかったんや」と思い出して。またできるように頑張っていきます!」(服部)、「BIGCATでは上京を発表したり、今回は子どもが生まれたと報告したり(笑)、思い出深い一日がまた増えました」(木村)と思い思いに心情を伝え、「Over You」~「The Everglow」の至高のリレーで大いに盛り上がる!

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それでもやまない手拍子に再び登場した4人は、にぎやかに終わるか感動的に締めるか、決められずに両方欲しがるどん欲な声に応え躍動感たっぷりに「Un-science」を届け、「BIGCATでみんなの顔を見ながら歌えるのが久しぶりでうれしかったわ。マジでありがとう!」(井上)と、ダメ押しの「Curtain Call」を披露。アウトロでは「今日はこの曲をやってるとき、みんなが寂しそうに涙を流してるんじゃなくて、ずっと笑ってた。それがうれしい。少しずつ、少しずつ、俺たちは強くなってきたよな!」と叫んだ井上。キャリアの節目を前に、今一度ファンとともに現在地を確かめた万感のフィナーレとなった。

なお、今後のSHE’Sは各地のフェスやイベントに出演後、管弦楽団を従えた約2年半ぶりのホール公演『Sinfonia “Chronicle” #4』を、9月20日(土)に大阪・大阪国際会議場グランキューブ大阪メインホール、10月1日(水)、2日(木)に東京・昭和女子大学 人見記念講堂で開催する。

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取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=オフィシャル提供(ハヤシマコ)

セットリスト

『SHE'S Tour 2025 “The One”』セットリスト
1.Change
2.I’m into You
3.Freedom
4.Masquerade
5.Cloud 9
6.Ugly
7.Raided
8.Unforgive
9.Getting Mad
10.Night Owl
11.One
12.Used To Be
13.Be here
14.月は美しく
15.Ghost
16.Kick Out
17.追い風
18.遠くまで
19.Grow Old With Me
20.Dance With Me
21.Four
 
EN1.Over You
EN2.The Everglow

EN3.Un-science
EN4.Curtain Call

ツアー情報

『Sinfonia “Chronicle” #4』
▼日程・会場
9月20日(土) グランキューブ大阪
開場 17:00 / 開演 18:00
問い合わせ:SOUND CREATOR 06‐6357‐4400
10月1日(水) 昭和女子大学 人見記念講堂
開場 17:30 / 開演 18:30
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
10月2日(木) 昭和女子大学 人見記念講堂
開場 17:30 / 開演 18:30
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
 
料金:全席指定 ¥7,200(税込)
プレイガイド4時先行受付期間:~7月21日(月・祝)23:59
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