田中樹主演、舞台『ぼくらの七日間戦争2025』が開幕 ゲネプロ&囲み取材レポート
舞台『ぼくらの七日間戦争』
SixTONESの田中樹が単独で初主演する舞台『ぼくらの七日間戦争2025』が2025年8月24日(日)に、東京建物 Brillia HALLで初日を迎えた。SPICEでは同所で行われた公開稽古と、田中らが登壇した囲み取材の様子をレポートする。公演は同所で9月2日(火)まで。以降、大阪、京都、愛知、熊本を巡った後、11月7日(金)~9日(日)に同所で凱旋公演を開催する。
原作は宗田理による小説「ぼくらの七日間戦争」。1985年に出版され、88年には実写映画化。2019年にアニメーションで映画化もされた。人気シリーズをもとにした舞台は、大人たちの理不尽な管理や押しつけに反発した中学1年生の生徒たちが、廃工場に立てこもり声を上げる物語。田中は同級生のリーダー的な存在・菊地英治を演じる。
開演前の会場には蝉の鳴き声が響き渡っていた。開演時刻が近づくと学校の「キーンコーンカーンコーン」というチャイムが鳴り、「保健室からのお知らせ」とキャストによる場内アナウンスが流れてきた。ユニークな仕掛けに始まる前から客席には笑顔が広がっていた。
視野が広がり自立心が芽生える中学時代は「子供と青年の狭間」。田中演じる菊池は「大人の言いなりになるのはイヤだ」と反発心を抱え、そして「でもそれ以上に何も出来ない自分自身がイヤだ!」とやり場のない思いを抱えていた。クラスメートに胸の内を明かすと、意外なことに周囲も賛同。夏休み初日にクラスの男子生徒全員で姿を消すことを決め、決行した。立てこもったのは廃工場。「大人への反乱」を掲げるとコミュニティラジオの電波を使って「解放区」を宣言し、大人と向き合い始めた。
籠城生活初日は「DAY1」として進行していく。生徒達は自分たちの意思を大人に示した初日と意気揚々としている。その中で集まってくるはずの仲間の姿が見えない。立てこもり生活で孤立しないように、外の様子を教えてとクラスの女子生徒(佐野ひなこ)に伝えていた田中たちは、男子生徒1人が何者かに誘拐されていたことが分かり仰天する。
「DAY2」では田中らが廃工場の中を探検する途中で、謎のおじいさん(風間トオル/野々村真のWキャスト)と対面。大人は信用できないと身構えるが、外の世界とつながる秘密の抜け道を教えてもらうなど、徐々に距離が近くなっていく。仲間らに紹介すると反発する生徒もいたが、おじいさんから「私は大人の落ちこぼれだから、君と同じ気持ちになれるんだよ」と打ち明けられ敵視することをやめたのだった。
親たちは集団誘拐かもしれないと騒ぎ、学校では「さながら昔の学生運動のようだ」と生徒を危険視。騒動を聞きつけたマスコミが報道を始めると、警察も巻き込んだ騒動に発展してしまう。
次々に起こる困難を解決しようとする姿には胸を打たれる。劇中で誘拐されたクラスメートから居場所を知らせる暗号文書が届いた場面では、樹と実兄の田中彪(クラスメートの安永宏役で出演)が頬を近づけて手紙を読むなど仲睦まじい姿を見せている。
田中樹(中央)と田中彪(右)
物語の最終章「DAY7」では、田中樹が「オレ、一生忘れない!!」と充実した表情で叫ぶシーンがある。信頼し合える仲間とだからたどり着くことができた思いを、その成長を劇場で見届けてほしい。
公開稽古前に行われた囲み取材には、田中樹と、同級生の相原徹役を務める上遠野太洸、ヒロインの佐野ひなこが登場。田中は初の舞台単独主演を務めるが「SixTONESのメンバーの中では、格段と芝居の場が少ない」といい「座長は名ばかり」と恐縮しきりだった。
左から上遠野太洸、田中樹、佐野ひなこ
廃工場を舞台に同級生達と〝大人への反乱〟を掲げる物語。田中は「共演者に頼りながら気負わずに楽しめている」といい、全力でぶつかってくる共演者の演技を間近で見ることは「学びになっている」と真摯に語っていた。
6月に30歳の誕生日を迎えた。田中は「前髪を下ろすヘアメークで〝若作り〟としている」と苦笑い。オールバックにしていることが多いため「すっごい邪魔です!!」と慣れないよう。自分でセットをしたら「オールバックにしちゃう!!!」と笑っていた。
取材・文・撮影=翡翠