クラシックとジャズのはざまで。旬のアーティストたちによる一日限りのアンサンブルに注目~特集!『スタクラ 2025 in 横浜』【第3回】
『ガーシュウィン meets ラヴェル』
2018年に日本最大級の野外型クラシック音楽祭として横浜の地でスタートした『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL(スタクラフェス)』が2年ぶりに帰ってくる。
2025年10月4日(土)・5日(日)横浜みなとみらいホール 大ホールにて開催される『スタクラ 2025 in 横浜 ーSTAND UP! CLASSICー』は、同ホールの館長も務める構成作家の新井鴎子氏とともに、初年度から続く「クラシックを、もっと身近に、もっと自由に!」のコンセプトを受け継ぐ全5公演を展開。多世代の交流と新たな出会いの創出を掲げ、新進気鋭の若手アーティストを迎えてコンセプチュアルな公演を届ける。
SPICEでは、全5公演それぞれの魅力や聴きどころをお伝えする連載を掲載中。第3回は、フェスティバルのトリを飾る『ガーシュウィン meets ラヴェル』についてご紹介する。
ブロードウェイのヒットメーカー、ジョージ・ガーシュウィンとフランスを代表するクラシックの大作曲家、モーリス・ラヴェル。二人は、1928年にラヴェルがアメリカを訪れた際に、会っている。そのとき、ガーシュウィンはラヴェルに作曲の教えを請おうとしたが、ラヴェルは「あなたはすでに素晴らしいガーシュウィンなのに、なぜ二流のラヴェルになろうとするのですか?」と応えたといわれている。
ラヴェルはガーシュウィンのことをリスペクトしていたし、アメリカ音楽にも興味を持っていた。そのことは、彼がヴァイオリン・ソナタの第2楽章を「ブルース」と名付けたことやピアノ協奏曲のジャズ的な要素からもうかがえる。
一方、ガーシュウィンは、クラシック音楽に熟達したいと真剣に思っていた。1924年にジャズとクラシックを融合させた「ラプソディ・イン・ブルー」を発表。その後、1928年に本格的なオーケストラ曲「パリのアメリカ人」を、1935年にはオペラ「ポーギーとベス」を完成させた。
そんな二人の作曲家の作品を集めた『ガーシュウィンmeetsラヴェル』が、幅広いジャンルで活躍しYouTubeで人気を博す菊池亮太、エリザベート王妃国際音楽コンクールで第3位に入賞するなど国際的に注目される務川慧悟、神童としてデビューし、ますます進化を遂げるニュウニュウ、日本を代表するピアソラ弾きであるバンドネオンの三浦一馬、現在最も注目されているサクソフォン奏者の上野耕平、16歳の天才トランぺッター児玉隼人ら、まさに今が旬のアーティストたちによって開催される。
まずは、菊池が「『パリのアメリカ人』ほか」で即興に満ちたジャジーなピアノを聴かせてくれる。続いて、ニュウニュウ、三浦、児玉が、ピアノ、バンドネオン、トランペットという異色の三重奏で「ラプソディ・イン・ブルー」を披露する。三浦のアレンジにも注目だ。ニュウニュウと三浦の「ガーシュウィン・メドレー」も楽しみ。オペラ「ポーギーとベス」からは濃厚な愛の二重唱である「ベス、お前はおれのものだ」もピアノとバンドネオンのデュオで奏でられる。
ニュウニュウは、ガーシュウィンのミュージカル「ガール・クレイジー」からの一曲「君を抱いて(エンブレイサブル・ユー)」をアール・ワイルドがピアノ用に編曲したエチュードで華麗なるテクニックを披露するだろう。
続いて、務川慧悟が登場し、ガーシュウィンの「3つのプレリュード」から第1番を弾く。務川のジャズ的なピアノ演奏が興味津々だ。そして、前述のラヴェルのヴァイオリン・ソナタから第2楽章「ブルース」を上野耕平と務川が、サクソフォンとピアノで演奏。もともとサクソフォンを模して書かれたといわれるメロディ。上野がヴァイオリンで演奏する以上の”ブルース”を聴かせてくれることだろう。そして二人はラヴェルのスペイン風の「ハバネラの形式による小品」も演奏する。
今最も注目を集める早熟のトランぺッター、児玉隼人がラヴェルの名曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」でどんな歌心を聴かせてくれるのかも楽しみ。
ラヴェルの「ラ・ヴァルス」は、オーケストラ曲として人気が高いが、作曲者自身による2台ピアノ版があり、菊池とニュウニュウなら、一味違った演奏を聴かせてくれるに違いない。
幅広い音楽性を持つミュージシャンたちによるこの日限りのアンサンブルがガーシュウィンとラヴェルがクラシックとジャズのはざまで書いた名曲をどう演奏するのか、聴き逃せない。
トランペット・児玉隼人の出演が決定!
務川慧悟とラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を演奏予定
児玉隼人(C)Yuji Ueno
出演者動画コメントが到着!
【上野耕平】 スタクラ 2025 in 横浜
【菊池亮太】スタクラ 2025 in 横浜
【務川慧悟】スタクラ 2025 in 横浜
文=山田治生
公演情報
開催日程:2025年10月4日(土)・5日(日)
会場: 横浜みなとみらいホール 大ホール(横浜市西区みなとみらい2-3-6)
◆各公演券(一般発売日より販売)
10月4日(土)「ちさ子と琢磨のなるほどクラシック入門」
10月4日(土)「あなたの思い出リクエスト 〜アニメ・シネマ名曲コンサート」
各公演 全席指定 5,500円(税込)
10月5日(日)「ピアノの森 Special」
10月5日(日)「務川慧悟 ALL CHOPIN(オール ショパン)」
10月5日(日)「ガーシュウィン meets ラヴェル」
各公演 全席指定 4,500円(税込)
◆各公演詳細
『ちさ子と琢磨のなるほどクラシック入門』
日程:10月4日(土)13:00開演(約90分)
出演:石井琢磨(ピアノ、MC)、高嶋ちさ子(ヴァイオリン、MC)、12人のヴァイオリニスト
演奏予定曲目:
ロッシーニ:「ウィリアム・テル」序曲
ベートーヴェン:「運命」「エリーゼのために」
モーツァルト:「きらきら星変奏曲」「トルコ行進曲」
ショパン:「英雄ポロネーズ」「子犬のワルツ」 他
『あなたの思い出リクエスト 〜アニメ・シネマ名曲コンサート』
日程:10月4日(土)17:00開演(約90分)
出演:菊池亮太(ピアノ)、紀平凱成(ピアノ)、12人のヴァイオリニスト、野々村綾乃(ソプラノ)、高嶋ちさ子(トークゲスト)、石井琢磨(MC)
演奏予定曲目:
ディズニー「アラジン」メドレー
ジブリメドレー
シネマ名曲リクエストコーナー 他 ※リクエスト詳細は後日発表予定
『ピアノの森 Special』
日程:10月5日(日)11:00開演(約80分)
出演:髙木竜馬(ピアノ)、ニュウニュウ(ピアノ)、東亮汰(ヴァイオリン)、橘和美優(ヴァイオリン)、 川本嘉子(ヴィオラ)、矢部優典(チェロ)、吉田秀(コントラバス)
ナビゲーター:naco(厳選クラシックちゃんねる)
演奏予定曲目:
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21(ピアノ:高木竜馬)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 (ピアノ:ニュウニュウ)
茶色の小瓶(ピアノ連弾:髙木竜馬、ニュウニュウ、弦楽五重奏)
『務川慧悟 ALL CHOPIN(オール ショパン)』
日程:10月5日(日)14:40開演(約60分)
出演:務川慧悟(ピアノ)
演奏予定曲目:
ショパン(1842):3つのマズルカ Op.50
即興曲 第3番 変ト長調 Op.51
バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
ポロネーズ 第6番 変イ長調「英雄」Op.53
スケルツォ 第4番 ホ長調 Op.54
『ガーシュウィン meets ラヴェル』
日程:10月5日(日)18:40開演(約80分)
出演:上野耕平(サクソフォン)、菊池亮太(ピアノ)、務川慧悟(ピアノ)、ニュウニュウ(ピアノ)、三浦一馬(バンドネオン)、児玉隼人(トランペット)
演奏予定曲目:
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
ガーシュウィン:ザ・マン・アイラブ
ガーシュウィン:エチュード第4番「君を抱いて」(ワイルド編)
ガーシュウィン:3つのプレリュード より
ラヴェル:ヴァイオリンソナタ 第2楽章「ブルース」
ラヴェル:ハバネラ形式による小品 ト短調
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ほか(予定)
※未就学児のご入場はご遠慮願います。
※当日は、撮影用のカメラが入る可能性がございます。
※客席内での飲食はご遠慮ください。
※やむを得ない事情により、曲目等が変更となる場合がございます。
主催・企画制作:イープラス
協力:横浜みなとみらいホール(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
公式サイト: https://standupclassicfes.jp/
お問い合わせ:stacla-info@eplus.co.jp