家族の在り方を考えさせられる、KERA演出の傑作舞台「8月の家族たち」ゲネプロレポート

レポート
舞台
2016.5.7
「8月の家族たち」

「8月の家族たち」


舞台「8月の家族たち」が5月7日(土)からBunkamuraシアター・コクーンにて上演される。本作のゲネプロが前日となる6日(金)、同劇場にて公開された。

2007年にシカゴの劇場で初演された本作は、あっという間に話題となり、同年にはブロードウェイに進出、戯曲はピューリッツァー賞を受賞、作品はトニー賞最優秀作品賞の他4部門を受賞、さらには映画化もされ、こちらも各国の映画賞を受賞&ノミネートされた、「傑作」と評される作品である。今回、日本版の演出を務めるのはケラリーノ・サンドロヴィッチ。『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~』以来のシアターコクーン作品となる。

詩人でアル中の父ベバリーが突如、失踪する。その知らせを受け、8月のひどく暑いオクラホマ州の実家には、両親思いの次女アイビー、5年振りの訪問となる母方の叔母マティ・フェイと夫のチャーリー、そして長女バーバラと夫ビル、その娘ジーンが帰省してくる。
久しぶりに集まった家族が目の当たりにしたのは、夫の失踪と薬物の過剰摂取で半錯乱状態となった母バイオレットの姿。そしてある衝撃的な事件をきっかけに、三女のカレンが婚約者スティーブを連れて実家に戻ってくる。叔母の息子リトル・チャールズもあたふたと現れ、ようやく一族全員がそろってディナーを迎えるはずが、事態は思わぬ展開に…。

 
「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

血縁や婚姻関係など、何かしらのつながりを持っている大きな家族。その誰もが大きな声では言えない秘密を抱えている。一方、薬のせいもあるが、感情のおもむくまま、言いたい放題の母がいる。そんな母に耐えかねてぶつかる子の姿、さらには夫婦、きょうだいの姿を見ると、家族だからこそ愛も憎しみもすべてさらけ出せるのか、あるいは家族だからこそどうしても言えない何かがあるのか、そもそも家族とは…本当の愛情とは…いろいろ考えさせられる物語だった。

「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

麻実れい、秋山菜津子をはじめ、すべての役者の実力が拮抗しており、非常に緊張感あふれる舞台を作り上げていた。3幕まである長時間のステージだが、その時間の長さをまるで感じさせない、むしろもっとその先を観たいと感じるくらい、起伏の激しさとスピード感がある舞台。なによりこの家族一人ひとりの将来が気になって仕方がない作品だった。

「8月の家族たち」

「8月の家族たち」

公演情報
8月の家族たち August:Osage County​
 
<公演日程・会場>
 
東京公演:
■日程:2016/5/7(土)~5/29(日)
■会場:Bunkamuraシアターコクーン
 
大阪公演:
■日程:2016年6月2日(木)~5日(日)
■会場:森ノ宮ピロティホール

■作:トレイシー・レッツ
■翻訳:目黒条
■上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 
■出演:
麻実れい、秋山菜津子、常盤貴子、音月桂、
橋本さとし、犬山イヌコ、羽鳥名美子、中村靖日、藤田秀世、小野花梨、
村井國夫、木場勝己、生瀬勝久
 

 

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