絶賛上演中! 『キンキーブーツ』の“ヤバイ”ポイントを語る
ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』。中央が三浦春馬演じるローラ!
キャストもテーマも全てがヤバイ! リピート必至の傑作の鑑賞ポイント。
これはヤバイ! 東京公演では絶賛の嵐がものすごい勢いで吹き荒れ、現在大阪でも上演中のブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』の日本版。実際その目で観てみたら、もういろんな意味でヤバイことこの上ない舞台だった。そんな「ヤバポイント」を、観劇直後特有のテンションのノリでレポートしちゃうわよおおおー!(←ローラ風の語尾にしてみた)
1.全身全霊でローラに成りきった三浦春馬がヤバイ!
まずドラァグクイーンのローラを演じた三浦春馬がヤバイ。倒産寸前の紳士靴工場を継いだチャーリー(小池徹平)に「女装する男性用の婦人ブーツ」というヤバイ靴=キンキーブーツ生産のきっかけを与える役だけど、10cm強のピンヒール&ボディコンで踊りまくったり、目をむいたオーバー気味な表情がまさにドラァグクイーンそのものでヤバイ。さらにローラが男装(?)で現れるシーンは、見た目はTVで良く見る三浦春馬そのものなのにものすごい違和感があって、もう外観も内面も完全にローラに成りきってるんだと瞬間的に伝わって、ヤバイの通り越してゾッとした。ソロで熱唱する『HOLD ME IN YOUR HEART』にいたっては「尊い」というレベルで、もう一生ローラを演じ続けてくれと心から願ったよ。本当にヤバイ。
ローラ&ドラァグクイーンの「エンジェルス」のシーンは底抜けにゴージャス&セクシー!
2.チャーリーの複雑さを演じ切る小池徹平がヤバイ!
そしてついついローラに目が行きがちになるけど、チャーリーを演じる小池徹平も負けないぐらいヤバイ! NHK朝ドラ『あまちゃん』のヒロシを彷彿とさせるモラトリアム青年が、キンキーブーツ作りという新ビジネスに生きがいを見出してイキイキしたり、周囲の人を振り回してることに気づいてオタオタしたり、肝心な所でやらかしてシューンとしたりと感情のジェットコースター状態で、これはある意味ローラ以上に大変な役。それを数々の舞台で鍛えた豊かな表情と情感のこもった歌唱で、その時々のチャーリーの感情だけでなく、ローラを始めとする周囲の人々や工場の状況までも、鏡のように照らし出す役割を立派に担ってるんだから恐れ入る。本当にローラと最高のコンビ過ぎてヤバイ。萌える。
小池徹平演じるチャーリー。彼がローラとの出会いを通して成長していく姿が、物語のキーとなっている。
3.脇を支えるキャストたち、音楽、演出もヤバイ!
この2人だけでなく、周囲の人々もいいキャラクター過ぎてヤバイ。ヒロインとは思えないほどコミカルな言動で笑わせるローレン(ソニン)、お固いキャラかと思いきや意外とキンキーブーツ作りに一番ノリノリなのがおかしいジョージ(ひのあらた)、ローラへの偏見をむき出しにする敵役なのに妙に憎めないドン(勝矢)など、周りの人の動きにもまったく目が離せなくて、あと2つほど眼が欲しいですと本気で思わせるとかヤバイ。そして楽曲! あのシンディ・ローパーが作曲した音楽は、アゲアゲ系もバラード系もすごくメロディアスで、耳というか身体に素直に入っていく感触なのが気持ちいいのを通り越してヤバイ。『エリザベート』のトートダンサーズのごとく、ローラとワンセット状態のエンジェルスのご陽気な盛り上げ方もヤバイ。OK Goの名MV『Here It Goes Again』にインスパイアされたという一幕ラストの超絶演出もヤバイ。さっきからヤバイしか言えてないのヤバイ。
チャーリーに好意を抱き、何かと助言を与えるローレン(ソニン)。2人の恋の行方は?
4.舞台から伝わってくる大事なテーマがヤバイ!
でもこの舞台が一番ヤバイのは「自分が変われば、世界も変わる」という、今の世界にとって最も大事かもしれないテーマを、あくまでもショーアップされたエンターテインメントという形で見せきったことじゃないか。しかも様々な偏見や先入観を捨てることや、ありのままの自分になることの美しい理想だけを見せるのではなく、それは思った以上に険しい道であるということをキッチリ(しかも周囲からの反発&自分との葛藤という両面から)描いてる。でもその苦難を乗り越えたからこそ、こんなにも大きな成長と喜びを得られたのだから、あなたも変えてみる価値はあるんじゃない?…というそれぞれのキャラクターからのエールが、心底楽しそうなラストからヒシヒシと伝わってくるのだ。元気とか勇気を受身的にもらえる作品はよくあるけど「よし、私も変わるぞ!」と内面から能動的に奮い立たされる作品はなかなかお目にかかれない。もはや「みんなが『キンキーブーツ』を観たら、世界は平和になるんじゃないか?」って半分マジで考えたぐらいだよ。どんだけヤバイのこれ。
ローラを女性と思いこんで抱き寄せるドン(勝矢)。この2人の関係性の変化も重要なポイント!
5.リピート必至なぐらい夢中になりそうなのがヤバイ!
とにかく一度観れば、そんな様々な“ヤバさ”の虜になるだけでなく、舞台では直接語られない隠れたテーマや疑問を確認したいがために「ああ、もう一回観たい!」で頭が一色になりそうな…というかこれを書いてる私がすでにそうなっていて、この作品の一番のヤバポイントは、今あるお金と時間をこの作品に全力で注ぎ込んでしまいそうになることではないか、とまで思い始めているんだが。しかしその時間とお金を取り戻す勢いで働く気力も出るよってぐらい、観た人をポジティブに変えてくれる可能性が大きい『キンキーブーツ』。特に8月22日(月)まで続く大阪公演は、まだ前売が買える回もあるようなので、ちょっとでも興味が出たならすぐにお手配を。秋に行われる来日版の公演と合わせて、この世界的スケールのヤバさをぜひ体験するのよおおおー!
■日程・会場:
<東京>
2016年 7月21日(木)~8月6日(土) 新国立劇場 中劇場 (終了)
2016年 8月28日(日)~9月4日(日) 東急シアターオーブ
<大阪>
2016年 8月13日(土)~8月22日(月)オリックス劇場
■脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
■音楽・作詞:シンディ・ローパー
■演出:ジェリー・ミッチェル
■日本語版演出協力/上演台本:岸谷五朗
■訳詞:森雪之丞
■出演:
小池徹平/三浦春馬
ソニン/玉置成実/勝矢/ひのあらた/飯野めぐみ/白木美貴子/施鐘泰(JONTE) 他
■公式HP: http://www.kinkyboots.jp/
■日程・会場:
<東京>
2016年10月5日(水)~10月30日(日)東急シアターオーブ
<大阪>
2016年11月2日(水)~11月6日(日)オリックス劇場
◆音楽・作詞:シンディ・ローパー
◆演出・振付:ジェリー・ミッチェル
◆出演:来日ツアメンバー
◆公式HP: http://theatre-orb.com/lineup/16_kinkyboots/top.html