LILI LIMIT、初の全国ワンマンツアー・ファイナル極上の音のミストに空間が包まれた至福の瞬間
LILI LIMIT Photo by MASANORI FUJIKAWA
『LILI LIMIT ONE MAN TOUR Good Bye Velvet』 2016.12.9 代官山UNIT
2016年10月26日(水)にファースト・フル・アルバム『a.k.a』をリリースしたLILI LIMITが、初の全国ワンマンツアーの東京公演を代官山UNITでおこなった。ソールドアウトした会場には、男女比3:7な雰囲気のなか、アンテナ感度の高い音楽ファンが集まった。
LILI LIMIT Photo by MASANORI FUJIKAWA
山口県で結成され福岡を経由して東京へやってきた牧野純平(Vo)、土器大洋(G)、黒瀬莉世(Ba)、志水美日(Key)、丸谷誠二(Ds)による男女5人組音楽集団、LILI LIMIT。スーパーカー、サカナクション、SEKAI NO OWARIはもちろん、海外ではPassion Pit、TEAM ME、Mewなど、様々なバンドの良質なエッセンスを感じさせる新しい才能だ。LILI LIMITの特徴は、躍動感溢れるビートにシンセポップなサウンドスケープが重なる魔法めいたアレンジのチカラ、言葉によって彩られる映像が浮かぶにサウンドに心を奪われる。メンバー全員がコーラスに参加する重厚な至福感も魅力的だ。時折はさまれる朴訥としたMCが、いい意味で親近感あるギャップをあたえてくれるから面白い。
LILI LIMIT Photo by MASANORI FUJIKAWA
1曲目は、クールなたたずまいのなか最新作のリードトラック「A Short Film」が奏でられた。日常と非日常が交差する特異点を醸し出すドラマティックな世界観。続いて新作アルバムとシンクロするように、疾走感に溢れたナンバー「Wink,Blink」、ポップ濃度120%の超キャッチーな「Kitchen」、そして女性コーラスがポップで鮮やかな「h.e.w」など人気チューンがくりひろげられていく。バンドの魅力のひとつである緻密な音作りが、ライブではメンバーの手によって目の前でサンプラーやシンセサイザー、パーカッション、電子ドラムなど様々な楽器を持ち替え可視化されていく。まるで“答え合わせ”を楽しませてくれるかのような発見の連続が嬉しい。
LILI LIMIT Photo by MASANORI FUJIKAWA
LILI LIMITが生み出す音像、牧野純平(Vo)の存在感には、“狂気”を感じさせる不穏な空気感を含んでいることにも注目してほしい。そんな魅力を伝えてくれるのがダンス・ロック・チューン「Observe」や、80’s風なリフやユニゾン風な女性コーラスが切なくもポップな「N_tower」、そして記号めいたリリックが謎めいた物語性を演出する「On The Knees」だ。アイディア満載、聴きどころの多い機智に富んだポップセンスに驚かされる。
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「ありがとう! ツアーで全国いろんな土地を旅してきました。結成4年目にして、ようやくライブで自分たちのサウンドを表現できるようになってきました。山口県からやってきたので、東京でのワンマンにこんなに集まってくれるなんて嬉しいです。」と、MCで牧野が感謝を伝える。そして“挑戦的な曲を!”と奏でられたのがサンプリングを多用した土器が主体によるインタールード的なナンバー「Space R」と、牧野が主体によるシンプルかつフォーキーな「Space L」だ。故郷に想いを馳せた「A Few Incisive Mornings」、サイケデリックな「Naked」という快楽ポイントの高い楽曲構築力の素晴らしさが続き、ラスト3曲での盛り上がりがヤバかった。メジャー・デビュー作となった代表曲「Living Room」での空を突き抜けるかのように心躍るナンバーのプレイ。続く「Girls like Chagall」では、イントロで黒瀬がオーディエンスにハンドクラップを煽り、そのままベースでスラップ奏法を決め、高まるピアノ・リフに感情を支配されるがままに魔法のリリック“アニュマニデイズ♪”のフレーズでシンガロングが巻き起こったのだ。とどめは本編ラスト、疾走感溢れる「Self Portrait」での昂揚感ある、ファンタスティックなビートで大団円をむかえる超満員のフロア。まさに極上の音のミストに空間が包まれた至福の瞬間だ。
LILI LIMIT Photo by MASANORI FUJIKAWA
アンコール後、土器が「ツアーで訪れる土地土地でお客さんが家族のように迎えてくれたことが嬉しかった。帰りたくなる土地が増えています。」と喜びを伝え、家族に向けて歌われたという「Suite Room」を披露。そして、満を持してラストに奏でられたのはシンフォニックかつ至福なポップソング「Festa」。ロックバンドとしてのたたずまいを超えた、芸術性とポピュラリティーを合わせ持つ極上のアンセムがフロアに鳴り響いたのだ。
LILI LIMIT Photo by MASANORI FUJIKAWA
2017年も、ポップミュージックを次世代にアップデートする5人のクリエイティビティの高さに注目していきたい。ポップアートを“今の時代の空気感”で昇華するLILI LIMITの真骨頂を堪能できた全18曲、あっという間に100分が過ぎていった全国ツアー・ファイナル、感無量な最高のワンマン・ライブだった。
取材・文=ふくりゅう 撮影=MASANORI FUJIKAWA
LILI LIMIT Photo by Photo by MASANORI FUJIKAWA
※初回掲出時にクレジット表記に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。
2. Wink, Blink
3. Kitchen
4. h.e.w
5. Unit Bath
6. Observe
7. N_tower
8. On The Knees
9. Neighborhood
(Space R)
10. Space L
11. A Few Incisive Mornings
12. Naked
13. Living Room
14. Girls like Chagall
15. Self Portrait
[ENCORE]
17. Suite Room
18. Festa