窪塚洋介、観客に熱烈メッセージ!「重い映画が僕らを導いてくれることもある」
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巨匠マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の小説を映画化した『沈黙-サイレンス-』の初日舞台挨拶が1月21日にTOHOシネマズスカラ座で開催され、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈が登壇。窪塚がスコセッシ監督の演出術を明かすとともに、観客に熱烈メッセージを送った。
本作はキリシタン弾圧下の長崎を舞台に、長崎に潜入した若き司祭が目撃する日本人信徒の苦悩を通して、人間にとって本当に大切なものは何かと問う歴史大作。窪塚はユダになぞらえられる裏切り者のキチジローを演じている。
窪塚は、初めて完成作を観た時には「仲間たちの芝居に誇らしい気持ちになって、関係のないところでも涙が出てきた」と感無量の面持ち。さらにもう一度観た時には「ハッとしたことがあった」と言い、「キチジローを“イノセント”に演じることを、スコセッシ監督は気に入ってくれていると思っていた。でもピュアに見えるシーンや慟哭するようなシーンは、あえて使われていなかった」と話す。
「ハリウッドで、『自分の演技をアピールするチャンスだ』という感覚になっていた部分もあったと思う」と“スケベ心”もあった。しかし、スコセッシ監督は「そういうものは一切カットしていた」そうで、「『グレイト、ワンダフル』と乗せられて、あの人の手のひらで踊らされて帰ってきたけれど、やり過ぎだとは一言も言わなかった。ダメでも『ワンダフル、もう一回』。役者を乗せることが骨身に染み付いている。驚愕と同時に、偉大さを感じました」とその演出術に驚くことしきりだ。
「自分と同世代の若い人たちに観ていただいたらうれしい」とアピールしたのが小松。「自分も明るいものやハッピーなものを観たいと思ったりするけれど、(本作は)考えさせられる映画。言葉にできない、感じたことがすごくある。映画館に行って体感してほしい」と力を込めた。
窪塚は「弱者に目を向けない」と現代社会の問題を激しく語り、「神が沈黙しているならば、自分自身の心のなかにある答えを見つけて、進んで生きていかなければいけない。僕もハッピーな映画が大好き。でも重い映画が僕らを導いてくれることもある。この時代に必要な映画」と訴えていた。【取材・文/成田おり枝】