A9×DIAURA それぞれが激しくぶつかり合いながらも各々の個性が浮き彫りになった一夜
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A9 撮影=MIKI FUJIWARA
A9 TOUR「BLACK PERIOD」
2017.1.19(THU)渋谷CLUB QUATTRO
A9の2017年は、ドレスコード有りで人気のライブシリーズ『BLACK PERIOD』ツアーで幕を開けた。本ツアーは昨年末、彼らが東京・ディファ有明にて“白服限定”のドレスコードをもうけて、ユニークな企画を交えながら穏やかで楽しいA9を見せたライブイベント『A9 White Christmas Live with A9 Channel』と対をなすもの。今回のツアーのドレスコードは“黒服限定”。テーマは、激しいA9だ。その激しさをさらに倍増させようと、今回彼らは東名阪のクラブクアトロで、A9単独でファンと激しく燃え上がるワンマンDAYに加え、以前から気になっていたというDEZERT(名古屋)、DIAURA(東京)、ペンタゴン(大阪)という若手3バンドを各会場ごとに招いてぶつかり合うツーマンDAYをプラスした2DAYSライブを開催。
ここでは、東京・渋谷クラブクアトロが2日間に渡って漆黒に染まったなかから、1月19日(木)に行なわれたDIAURAを迎えてのツーマンライブの様子をお届けしよう。
DIAURA 撮影=MIKI FUJIWARA
先攻はDIAURA。暗転した場内にSEが鳴り響く中、舞台にメンバーが登場。最後に出てきたyo-ka(Vo)が舞台中央にゆっくりと構えると、まわりの暗闇がどっしりと重みを増し、身体中にまとわりついてくる。フロアに響き渡る観客の絶叫を引き裂くように、翔也(B)と達也(Dr)のリズム隊が作り出すヘヴィグルーヴがじわじわとフロアでうごめきだし、ライブは独裁者が世の中を支配していく様を描いた「DICTATOR」でスタート。オーディエンスの髪の毛が暗闇の中で激しく左右に乱れる。ずっとお立ち台で構えるyo-kaは抜群のシャウトヴォイスと、この後披露した「倒錯症レジスタンス」でクラシカルなピアノの旋律とともに<ああ、いつまで人は装い続ける?>と観客をハッとさせるような歌詞を歌うクリーンな声、その2つを巧みに使い分けていく。3曲目の「赤い虚像」が始まると、拳、ヘドヴァンを観客たちが次々と繰り出しフロアは大暴れ。
その中でジャケットを脱ぎタンクトップ姿になったyo-kaの白い細マッチョな上半身が闇の中に浮かび上がる。左右にパーンと広げた手、フロアを凝視する顔、黒いレザーグローブ。見た目やパフォーマンスは攻撃的でありながらも、妖艶さを持った妖しいオーラで観客を扇動していく姿は若手ヴィジュアル系バンドのフロントマンの中でも随一。こうして、絶対的なオーラでステージに君臨しながらも、MCでは「A9の沙我(B)さんは福島県出身。俺も福島県出身。だから色が白いのか!(笑顔)」といったり、「DIAURAのファンは“愚民”、A9のファンは非公式ながら“九組”というらしいじゃないですか。愚民と九組、似てるじゃねぇかー!!」と話して観客を笑わせ、トークで両者のファンの心をしっかりとつかみとる。その後は「愚民ども、九組ども。ダークなもの、ハードなもの期待して今日来てるんだろ? これからくれてやるから頭振って答えろ!」とフロアをアジテートした直後に、めちゃくちゃハードなハイスピードチューン「blind message」を投下。曲中も「愚民も九組もお前ららしく頭振れー!!」と激しくフロアを煽りながら、yo-kaと佳衣(G)もフロントでヘドバンしながら観客に猛アピール。フロアは狂ったように暴れまくる。重くて深いダークゾーン、その沼底まで恐れることなく突っ込んでいった後、「black sheep under the shallow sleep」のイントロでギターが奏でる美しいメロディーが、すっと心をその沼底から救い上げていく。
DIAURA 撮影=MIKI FUJIWARA
青いライティングで目の前が青白く輝き始めると、yo-kaの声も艶っぽい色気を増していく。その世界がさらに鮮やかに弾けていったのが「CRIMINAL BEAST」。サビの四つ打ちパートではフロアに軽快なハンドクラップ&ジャンプが広がり、間奏に差し掛かるとグルーヴィーなスラップベースに合わせてドラムもパーカッシブなリズムを叩き出し、これまでにない艶やかな音空間を描き出していった。そうして音も気分も弾けだしたところでyo-kaが「俺たちと一緒に死ぬ気で狂ってくれ!」と叫んだ後に「Mr.Isolation」が始まり、オーディエンスが再び大暴れしていると、突然A9のNao(Dr)がハンドマイクを持ってステージに乱入!! これにはDIAURAのメンバーもびっくりしてyo-kaは「本当に来た!」と思わずつぶやき、観客からは驚きの悲鳴が上がる。そして白いグラサンをフロアにかっこよく投げ込んだNaoは、yo-kaと一緒にお立ち台に立ち並び、肩を組んで、手の甲にびっしりマジックで書いた歌詞をこっそりチラ見しながら(微笑)この曲を熱唱。それを見つめ、yo-kaも嬉しそうな笑顔を浮かべる。
そして、最後はおなじみの「お前たちのMASTERは誰だ?」というyo-kaの叫び声から「MASTER」へ。その瞬間、場内に緊張感が走り、空気が凝縮。「この後A9があるけど、体力温存しないで頭振り回せー!!」というyo-kaの言葉を合図に、フロアが一丸となって激しい肉弾戦を繰り返し、限界まで暴れ狂った後に会場全員で行なうシンガロングで観客みんなに心地よい達成感を与えていった。こうして、彼らは限界すれすれまで突き進んでいく激しくて勇ましいDIAURAならではの漆黒のパフォーマンスを見せ、ステージを去った。
A9 撮影=MIKI FUJIWARA
次にA9がステージに登場すると、場内の雰囲気は見事に一転。フロアでは観客たちが腕につけたブレスレットの光を灯し、華やかで美しいイルミネーションの海を作って、メンバーを迎え入れる。ナポレオンジャケットを着た5人は、まるで闇の貴公子。ステージに揃った瞬間、12年のキャリアから生まれ出る貫禄、長身でイケメンという恵まれたルックス、そしてA9ならではのキラキラした存在感でバンドの個性を見せつける。「始めっからとばしていくぞ!」。将(Vo)がいつものエレガントな雰囲気とは違うワイルドなトーンの声で叫び、オープニングから「九龍」で勢いよく畳み掛けていく。間髪入れずに1曲目と同じ初期ナンバーの「ヴェルベット」を披露すると、イントロだけでフロアからは悲鳴が上がる。観客たちは威勢よくライトが輝く拳を振り上げ、DIAURAの愚民たちに負けないぐらい、ここでは九組も大声で場内にoiコールを響かせる。曲間、将が「お前ら、今日はいろんなもの吐き出しに来たんだろ? かかってこい!」と叫び、ラストに<そっと 照らして>と歌い上げる。こうして、暗闇の歌にもかならず最後に光を灯もしていく包容力とやさしさ。それが、A9の描く暗闇の在り方なのだ。
この後は将が「今日、俺たちが欲しいのは本気のぶつかり合いだ。俺たちとお前たちの闘い」といった後、一拍置いて「開戦前夜」とタイトルコールを告げて観客のテンションを爆発させ、ベテランならではライブ運びのうまさを見せつける。この曲で、ヘドバンや逆ダイがない激しくソリッドでモダンなサウンドでも、カッコよくアクトすればオーディエンスを熱狂させられることを証明した後、次の「G3」では逆にハードなナンバーに古きよきヴィジュアル系ならではの細やかな手の動きをフィーチャーしたパフォーマンスで華麗に観客を魅了。こうして、A9ならではバラエティー豊かな楽曲で場内を激しく熱狂させていった彼ら。
A9 撮影=MIKI FUJIWARA
そして、将が「このツーマンライブを企画してよかった」と話し、今日のゲストであるDIAURAの話になった。「yo-ka君は透き通るような美しい肌なんだよ」と将がいうと、沙我が「彼は同じ福島出身で、俺はもう他人とは思えない(微笑)」といい「福島にこんなカッコいいボーカルがいたんだって。福島のスターだよ! 福島のスターは西田敏行さんかyo-kaさん!! 思わず一緒に写真撮っちゃいました」とはしゃいでみせた。そうして「この日のために作ったといっても過言ではない」という沙我の曲紹介から、2月28日に発売する、A9になって以降初のシングル曲「MEMENTO」をプレイ。部分ごとに曲調が次々と移り変わっていくこの曲は、そのなかでも2番にしか出てこないとびきりせつないBメロが、この曲のドラマ性をググッと引き立てて見せる。そのドラマ性を引き継ぐように、次は「Scalet」をパフォーマンス。ダウンテンポでそこはかとなく広がるダークネスな世界観を作り上げていくこの曲は、Naoと沙我のリズム隊が絡み合いながらうねりのあるグルーヴを生み出し、曲をリードしていくナンバーだ。ベースラインと同じように、ローを這うように抑揚を抑えて歌う将のボーカル。間奏ではヒロト(G)と虎(G)がアプローチの違うリードをそれぞれ奏でるなど、ここでは5人のプレイヤーそれぞれが持つダークサイドが音に反映されて、見事に浮き彫りになっていった。静かに曲に聴き入っていたオーディエンスたちは、次に「ANIMUS」が始まると、頭上に手を掲げて軽快にハンドクラップを開始。そして、サビではブレスレットのライトを一斉にキラキラと点滅させながら、ジャンプを繰り返し、コズミックな空間を生み出していく。こうして、この曲で暗闇から覚醒していった観客たちが、その彼方に見たのは「RAINBOWS」という美しい展開。この日1番の一体感あるジャンプで空中へと跳び上がり、自らの意思で希望の光をつかんで笑顔になっていった。
そしてこの後は「僕らはヴィジュアル系でも怖くないお兄さんなんだってことを愚民のみなさんにも知ってもらおう」という将の提案で、メンバーのトークコーナーがスタート。ここではまず最初に「DIAURAのメンバーがOKしたのでライブ中に乱入したら“本当にきたー!”とステージでyo-kaにリアルに驚かれた」というエピソードを話したNaoが「愚民のみなさんも九組のみなさんもこれを受け止めて帰って下さい」といって、サンシャイン池崎ならぬ“サンシャインNao”に変身。「空前絶後のー!」とものすごいはじけっぷりで自己紹介をした後、メンバー紹介をし始め、将は「FF(ファイナルファンタジー)を愛しFFに溺れた男」、虎は「渋谷を愛し渋谷に愛された男」、ヒロトは「モグ(=愛犬)を愛しモグに愛されない男」、沙我は「今日ワインを飲んでワインに溺れた男」と解説。最後に、自らを「愚民と九組を愛し、愚民と九組に愛された男」といい、「ジャスティス!!」と大声でいい放つと、呆れかえっていたメンバーをよそにフロアは大爆笑に包まれていった。そして将が、ワンマンツアー中にも関わらず今回のツーマンを引き受けてくれたDIAURAは「本当にいい人たち」と評し、沙我は「俺、全員にチューしたいよ」ととびきりの笑顔で感謝の度合いを表わした。虎はDIAURAのファンが愚民と呼ばれていることを知らずに楽屋の小さなモニターでライブを見ていて「背中に“民“って文字が見えるから、なんで(居酒屋の)魚民のTシャツ着た人間がこんなにいるんだろうと思ったら、愚民の皆さんでした」といって笑いをとった。ヒロトは「もっとみんなの汗をくれ~! 次の曲が最後です」とエモーショナルに叫んだ後「あっ! いま、小さな嘘をつきました」とメンバーも驚くようなボケを披露。こうして、お茶目で気さくなA9が全開となったところで「こういうバンドです(笑)」と笑いながら将がトークコーナーを締めくくった。
A9 撮影=MIKI FUJIWARA
そうして、この後はラストスパート。「the Arc」、「Dice」と激しいヘドバンチューンを続けた後、最後に「闇二散ル桜」が始まると、「お前らの生き様を表現してみせろー!」という将の声を合図に、ファンがフロア前方に向かって突進を繰り返し、激しいテンションで燃え尽き、A9のライブは終幕を迎えた。
お互い初顔合わせ。闇のオーラを纏いながらどこまでも激しく突進していったDIAURAと、どんな暗闇であってもキラキラとした華麗さ、やさしさを失うことのないA9。それぞれが激しくぶつかり合いながらも、各々の個性が浮き彫りになったライブとなった。
取材・文=東條祥恵 撮影=MIKI FUJIWARA
2017.1.19(THU)渋谷CLUB QUATTRO
◆DIAURA
01. DICTATOR
02. 倒錯症レジスタンス
03. 赤い虚像
04. deadly number
05. blind message
06. black sheep under the shallow sleep
07. CRIMINAL BEAST
08. The abyss
09. Mr.Isolation(with:Nao[A9])
10. MASTER
◆A9
01. 九龍
02. ヴェルベット
03. 開戦前夜
04. G3
05. MEMENTO
06. Scalet
07. ANIMUS
08. RAINBOWS
09. the Arc
10. Dice
11. 闇ニ散ル桜
『Dictatorial Garden Nakano-beyond the resistance-』
2月18日(土)中野サンプラザホール
OPEN 17:15/START 18:00
前売り ¥4,860-(税込)
当日 ¥5,400-(税込)
ミニアルバム『MY RESISTANCE』
2016年11月16日(水)発売
【A TYPE】(CD+DVD)AINS-30 ¥3,024(tax in)
<CD収録曲>
1.SE-MY RESISTANCE-
2.白と蒼の境界
3.The abyss
4.倒錯症レジスタンス
5.Linkage
6.Mr.Isolation
7.CRIMINAL BEAST
倒錯症レジスタンス
+
メイキング映像
【B TYPE】(CD+写真集)AINS-31 ¥3,024(tax in)
<CD収録曲>
1.-MY RESISTANCE-
2.白と蒼の境界
3.The abyss
4.倒錯症レジスタンス
5.Linkage
6.Mr.Isolation
7.Daybreaker
2017年2月28日(火)発売
【初回限定盤A】 (CD+DVD)NINE-0004 ¥2,000+税
※豪華ブックレット仕様
<CD収録曲>
MEMENTO-inst-
<DVD>
MEMENTO MV
PRISMATIC 〝LIVE AT DIFA ARIAKE 2016.12.24〟
<CD収録曲>
MEMENTO-inst-
<DVD>
SHILVER 〝LIVE AT DIFA ARIAKE 2016.12.24〟
Spiegel 〝LIVE AT DIFA ARIAKE 2016.12.24〟
MEMENTO MV OFF SHOT
4月12日(水) 新宿ReNY 18:30/19:00
4月14日(金) 福岡DRUM Be1 18:30/19:00
<大阪>指定席 ¥5,300(税込・ドリンク別)
<東京>指定席 ¥5,300(ドリンク別) 整理番号順入場
【当日券】 全公演¥500UP
①【FC先行】(Aチケ)
受付期間:2016/12/29(木)19:00~2017/1/10(火)23:59
※1公演4枚まで
②【オフィシャルHP先行】(Bチケ)
受付期間:2017/1/12(木)12:00~2017/1/29(日)23:59
※1公演につき4枚まで
受付URL 未定
③各プレイガイド先行(Cチケ)
受付URL 未定
<一般販売> 2017/2/25(土)より 各プレイガイドにて(Dチケ)