ゲス、KANA-BOON、米津etc…『SWEET LOVE SHOWER 2015』1日目のアクトをレポート!
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11:25 SHISHAMO
昼前になり、雲も薄くなり始めたMt.FUJI STAGEにまずはサウンドチェックに現れたSHISHAMOの3人。チューニングを終えた宮崎(Vo,G)が「この後、あの、SHISHAMOです」と控えめに挨拶し、一旦袖へ。
しばらくして再びSEに乗ってふわふわっと登場した3人が「量産型彼氏」のイントロを奏でると突然、今の今までの所在なさそうな雰囲気とは打って変わって、歪んだギター、図太いベース、タイトなリズムでグルーヴを生み出す様は、まさにロックバンドそのもの。彼女達は心地よいスイング感もまじえながら、陽の差してきた会場を包んでいく。
かと思えばMCでは「おはようございます」を何回言うんだろう?というくらい繰り返したり、観客からの呼びかけに反応しておきながら「あ、そうすか」とそっけなく答えたり。このあたり、SHISHAMOらしさ全開で、今年も多くのフェスに参戦、経験を積んだ彼女達の立ち振る舞いからは安定感も感じられる。
新曲「熱帯夜」でのブラックミュージックのようなグルーヴとしっとり色気も含んだ歌声や、力強い四つ打ちのリズムに尖ったギター、うねるベースのアンサンブルが見事だった「僕、実は」などからは、バンドとして進化していることがはっきりと観て取れた。
後半戦は、異様に腰の低い松岡のMCによりタオルの準備を促された「タオル」で、シンプルなロックンロールとポップな歌詞と掛け声で盛り上げ、ラストはあまりにもこの場によく似合う「君と夏フェス」で締め。いつしか空には晴れ間が。
キュートでカッコイイ3人が展開した、タイトなロックステージは文句なしに最高だった。
13:05 THE ORAL CIGARETTES
いきなり「モンスターエフェクト」を投下され、Mt.FUJI STAGEはライブハウスのフロアと化す。
そのまま「STARGET」でさらに熱を上げて突っ走ったTHE ORAL CIGARETTESのステージは勢いと熱気に満ちたまま展開していく。
山中(Vo,G)は「2年前初めてオープニング・アクトで出た時は右も左も分からんくて、お客さんが入っているのかいないのかともよく分からなかったけど、今日のこの景色を観て、ああ…お客さん全然入っていなかったんだなぁ、と思いました」と素直な感慨を交えながらも会場を和ませ、続いてライブ会場限定で販売しているシングル「カンタンナコト」を披露した。うねるギターリフが印象的なロックナンバーは多くのオーディエンスを虜にしたに違いない。
山中をはじめ、メンバー達は動きや言葉で巧みに客席を煽っていくのは見事。観客も「起死回生ストーリー」のサビの入りで水ペットを打ち上げるなどして応え、大盛り上がりに。
それに対し「ありがとう!素晴らしい景色です」と感謝を述べた山中は、一呼吸おいてから語り始める。
「ポリープが出来ています」という告白、「すげぇ辛いコトもあったけどあなた達がいたからやってこれました」という感謝、「9月のライブを全て終えてから手術をします」「みなさんが勇気をくれたんです」「LAKESIDE(STAGE)行きたいからさ、それまで待っててください、宜しくお願いします」という今後に向けての決意と野望。
暖かい拍手に包まれた湖畔に響き渡った、ラストナンバー「エイミー」冒頭のアカペラは、必ず今よりも強く魅力的なTHE ORAL CIGARETTESが帰ってくることを予感させてくれた。
16:25 米津玄師
涼しい風が吹き始めた午後4時半少し前。
白く長めの衣装を身にまとった米津玄師がFOREST STAGEに登場すると、一時間以上前からステージ前を埋め尽くしていた観客達の大歓声が起きた。いつの間にか遥か後方まで詰めかけたオーディエンスの数から、彼の人気と知名度の高まりが実感できる。
一曲目から地面が揺れるほどのリアクションを前にしても、ギターを肩にかけ、飄々とした雰囲気。長身ゆえにその立ち姿が様になっている。
アップテンポなナンバーを中心にライブは続く。一聴して不穏さすら感じるような不協和音を見事にまとめ上げるソング・ライティングのセンスも、ときにコミカルにときに重厚に鳴らされる電子音とエッジの効いたバンドサウンドの融合も、「ハチ」名義でボカロ曲として世に出たナンバーのセルフカバーと近作で見せるポップセンスも……色々なものを混ぜこぜにした米津玄師流のステージは、詰めかけたオーディエンスの耳にしっかりと刻まれていったに違いない。
それがもっとも顕著だったのは、「マトリョシカ」から「アイネクライネ」の流れだ。
ボカロ曲を聴かないオーディエンスも少なくないはずだが、バンド編成で投下された「マトリョシカ」はダイナミズム溢れる凶悪なロックナンバーへと生まれ変わっており、大合唱が起きる。一転、「アイネクライネ」では優しく暖かな歌声とサウンドで、少し肌寒くなった会場を包んだ。美しいサビのメロディを高らかに歌い上げる姿には思わず胸が熱くなる。
ライブ後半には、10月にアルバム『Bremen』がリリースされることを明らかにした米津玄師。
「楽しい思い出を作って帰ろうと思います」との言葉通り、充実のステージで観客をも楽しませ、晴れやかに去っていった。来年はさらに大きなステージで歌う彼も観てみたい。
18:35 KANA-BOON
初日、Mt.FUJI STAGEのトリを務めるのはKANA-BOON。今日一番の大勢のオーディエンスを集め、LAKESIDE STAGEからの入場が困難になる程だ。
昼間とは打って変わっての肌寒さに身構えていたオーディエンスも、サウンドチェックの段階から彼らが姿をあらわすや否やあっという間に晴れやかな顔。
一曲目の「タイムアウト」ですっかり温まった会場は、谷口鮪(Vo,G)の「KANA-BOONです、どうぞよろしく」という挨拶に続いて演奏された「ウォーリーヒーロー」でいっそう盛り上がりを見せた。
周囲からは「ヤバい、めっちゃ楽しい」そんな声が聞こえてくる中、谷口鮪(Vo,G)は「まだまだ体力残ってますか?みんなの楽しい顔もっと見せてもらっていいですか?なんでもねだっちゃっていいですか?」と問いかけ、それにジャンプの4つ打ちで答えるオーディエンス。「なんでもねだり」の時間だ。
踊る踊る揺れる揺れる、トリということもあり、残りの体力を惜しむことなく出し切っていく。
「なんでもねだり」に続いては「ないものねだり」が演奏され、会場全体を照らす照明にはしっかりと一人一人の楽しそうな笑顔が並ぶ。
再びMCをはさんだ後には、新曲「ダイバー」を披露。谷口は、「今日は本当に楽しい。こうやっていい景色を見られるのも、地道にやってきたからかなと思います。そんな歌をやります」と述べ、真っ直ぐ、伸びやかに歌い出した。歌い出しの一瞬の息遣いにオーディエンスは息を飲み、感嘆の声が漏れる。
そして最後はKANA-BOONのアンセムといっても過言ではない「シルエット」で、徹底的に楽しく、踊れるステージを締めくくった。「いい達成感」に満ち、初日のMt.FUJI STAGEは幕を下ろした。
19:25 ゲスの極み乙女。
はるか後方まで人で埋め尽くされたLAKE STAGE。いよいよゲスの極み乙女。の登場だ。
現れるや否や「キラーボールで踊りませんか!」川谷絵音(Vo,G)の一言でスタートしたゲスの極み乙女。のステージ。初っ端からファンキーなグルーヴに会場が揺れる。ちゃんMARIの流麗なピアノに合わせてメンバーも踊り、飛び跳ね歌うオーディエンスの一体感は半端じゃない。言いようのないハッピーな空気が会場を包んでいった。
「SWEET LOVE SHOWER、最高だ!」感慨深げに叫ぶ川谷には、「オオオー」という大歓声が沸き起こった。
すっかりキラーチューンとして定着した感のある「私以外私じゃないの」、「ロマンスがありあまる」と繋いだ中盤戦、テクニックでもって徹底的に横に揺さぶってくるファンクネスとスイング感がたまらなく気持ち良い。
ちゃんMARIによる唐突な「コポゥ!」からMCコーナーとなり、川谷はトリを務めることへの感慨や、最初に『SLS』に出た時、休日課長(B)のベースの音が出なかったエピソードなどを語って沸かせ、ちゃんMARIの「コポゥ!」のせいで咽せたといういこか様からは「みんなありがとう!」のありがたいお言葉をいただいた。
続いて今日リリースされたばかりの新曲「無垢な季節」、休日課長による「ドレスを」「脱げ」のコール&レスポンスからラストの「ドレスを脱げ」へとなだれ込む。ハイテンポの楽曲に合わせ、オーディエンスの盛り上がりも最高潮。
鳴り止まない歓声に再び登場した4人は、「キラーボール」の新バージョンを披露。デジタリックなサウンドが追加されハウスっぽい雰囲気になっており、「何回でも繰り返す」「たった今わかったんだ」のリフレインが心地よい陶酔感を生む。それをシューゲイザーばりのノイジーなギターがかき消し、再びサビのフレーズへーーという展開がおしゃれで心憎い演出である。
最後は川谷の「最高!!」で1日目を締めくくった。
※2日目の模様はこちら
文=風間大洋(SHISHAMO/THE ORAL CIGARETTES/米津玄師/ゲスの極み乙女。)、シマザキ(KANA-BOON)