“ミュージカル界のプリンス”井上芳雄、コンプレックスをバネに前進 「StarS」への思いも告白

川原 礫による大人気小説(「電撃文庫」刊)を映画化した『劇場版 ソードアート・オンライン −オーディナル・スケール−』(2月18日公開)で、ミュージカル俳優・井上芳雄が劇場版オリジナルキャラクターの謎の剣士役として登場。ミステリアスな雰囲気をたっぷりと振りまき、見事な存在感を発揮している。役柄への共感度を直撃すると、井上の意外なコンプレックスが明らかとなった。

TVアニメシリーズのその後を舞台に、主人公キリトたちが、AR(拡張現実)型ロールプレイングゲーム“オーディナル・スケール”に秘められた陰謀に挑む姿を描く本作。井上は、“オーディナル・スケール”内で高いランクを誇る謎の青年剣士・エイジ役を演じている。

エイジにどんな印象を持ったかと聞いてみると、「屈折した思いをバネに、燃えている人」と分析する。「負のエネルギーや悔しい思い、妬み嫉みなどあまりいい感情ではないとは思いますが、エイジのその思いはものすごくまっすぐ。不器用だけれど、彼の思いは純粋だと思っています」。

演じる上では、「過去の思いを糧として生きている人なので、そこを大事に演じました」とエイジの人となりを深く考察した。「ちょっとつつくと、『そこに触るな!』となる人だと思う。バランスが決していい人ではないので、急に燃え上がってしまうところなど、そのアンバランスさは大切だと思っていました」。

過去の思いを糧に生きているエイジだが、今の井上にとってバネとなった過去の経験はあるだろうか。「僕は歌を小さな頃からやっていたし、踊りも習っていたんですけど、お芝居はやったことがなかったんです。初舞台を踏んだ時もお芝居の経験がない状態でした。20代の頃はずっと、僕はお芝居ができないと思っていました。その時にできなかった、うまくいかなかったという思いは忘れていないですね」。

芝居ができないことがコンプレックスだったという井上。ひとつの転機となったのが、2009年の井上ひさしによる舞台「組曲虐殺」への出演だ。「『自分は芝居ができない』と思っていましたが、なかなかそれを口にすることも怖かった。そんな時、井上ひさしさんの作品に出させていただいて小林多喜二役をやったんです。体全体でぶつかっていかなくてはいけない役でした。そこで、お客様はきっと僕の芝居の上手い下手よりも、どれだけ汗をかいて、どれだけ声を出して、何かを伝えようとしているそのエネルギーを観に来てくださっているんだと思ったんです。芝居の上手い下手をあまり考えずに、とにかく一生懸命やろうと思うことができました」。

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」への出演や、バラエティ番組、アニメ声優などどんどんと活躍の場を広げている。エイジは主人公キリトのライバル的存在だが、井上にとってライバルのような刺激となる存在はいるだろうか?「3、4年前から、浦井健治くんと、山崎育三郎くんと『StarS』というユニットを組んでいて。僕は一応先輩なので、ライバルというのは少し違うかもしれないけれど、二人がどういう活動をしているのかは気になりますね」。

さらに「育三郎がテレビに出ているのをみたら、スケジュールちょっとキツいけど、僕もちょっとこのバラエティ出てみようかなとかね。そういう気持ちも正直ありますよ(笑)。ライバルというか頑張る力になっています」と告白。「何かをやる時には、ライバルって必要だと思うんです。自分ひとりで上へと登っていくのは難しいですから。こんなにすごい人がいるから、自分も頑張ろうと思える。お互いに切磋琢磨して、『StarS』として一緒にやる時には、その磨いてきたものが3倍以上のものになればいいなと思っています」。【取材・文/成田おり枝】
 

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