大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)前田利家役・大東駿介も登壇 『百万石!加賀前田家』報道発表会レポート

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特別展『百万石!加賀前田家』広報アンバサダー・大東駿介さん

特別展『百万石!加賀前田家』広報アンバサダー・大東駿介さん

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2026年4月14日(火)から6月7日(日)まで、東京国立博物館 平成館にて特別展『百万石!加賀前田家』が開催される。

加賀藩・前田家といえば、金沢を本拠に「加賀百万石」の威信を誇った名門中の名門だ。初代・前田利家が北陸に領地を得て以来、歴代藩主は武芸のみならず、茶の湯や能楽、学問といった多彩な文化を庇護し、比類なき審美眼をもって優れた名品の数々を収集・継承してきた。本展は、前田家伝来の国宝や重要文化財を含む膨大なコレクションを展覧し、前田家が築き上げた歴史と、洗練を極めた美の真髄に迫るもの。戦国から江戸、そして現代へと受け継がれる名品をたっぷりと紹介する。

1月19日(月)には報道発表会が行われ、東京国立博物館 副館長の浅見龍介氏、前田家19代当主の前田利宜氏、研究員の福島修氏が登壇。さらに『豊臣兄弟!』にて前田利家役を演じ、本展の広報アンバサダーに就任した俳優の大東駿介が登場し、展覧会の見どころや作品に懸ける熱い思いを語った。

東京では60年ぶり、前田育徳会の収蔵品による大規模展

冒頭では展覧会の主催者を代表して、東京国立博物館 副館長の浅見龍介氏は「前田育徳会の収蔵品による大規模な展覧会は、東京では半世紀以上も行われておりません。貴重な機会となる本展で、百万石の城下で紡がれてきた技術と造形、知識と思想によって花開いた加賀文化の真髄をご堪能いただければ幸いです」と述べた。

東京国立博物館 副館長の浅見龍介氏

東京国立博物館 副館長の浅見龍介氏

前田育徳会とは、加賀前田家伝来の文化財を保存・公開する公益財団法人のことだ。16代・利為によって1926年2月26日に設立され、今年で創立100周年を迎える。

本展には、前田家19代当主の前田利宜氏が監修者として携わった。前田氏は2023年に家督を継承し、加賀百万石の歴史と文化を受け継ぎ、先祖伝来の文化財や精神を今に伝える活動をされている。

前田家 第19代当主の前田利宜氏

前田家 第19代当主の前田利宜氏

前田氏は「利為公には、“独自の博物館を開いて常に前田家の収蔵品を公開したい”という夢があったと聞いております。今回は約2ヶ月半の特別展が開催されるということで、利為公の夢が一部叶ったのではないかな、と思っております」と感慨の深さを表した。

そして、「これまで私どもの財団は、収蔵品をいかに長く残していくかを主な目的としていたことから、一般公開をあまり行いませんでした。今回はこの特別展を機に収蔵品を皆様に見ていただき、今まで以上に前田家というものを身近に感じていただければ、当主としてはこれほどの喜びはないと感じております」と挨拶を結んだ。

百万石の財力を背景とする、多彩な文化事業の成果がここに

ここからは、東京国立博物館 学芸研究部列品管理課貸与特別観覧室長の福島修氏による解説を交えながら、展覧会の見どころを厳選して紹介しよう。

第1章では、初代・利家をはじめとする歴代当主の甲冑や陣羽織が勢揃いし、来場者を出迎えてくれる。全体を通して見ると、長く伸び上がる兜や日輪に立波模様の陣羽織、そして加賀具足と呼ばれる装飾性に富む甲冑など、一族で継承される要素があったことが分かるという。

特に見逃せないのは、キービジュアルにも採用されている《金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用》だ。全体を金と白で統一したきらびやかな甲冑で、兜は熨斗烏帽子型の変わり兜という特徴的な造形をしている。天正12年の末森城の戦いの際に、利家が着用したとされるものだ。「前田家の成立に関わる象徴的な存在です」というこの甲冑の輝き、ぜひともこの目で見てみたくなる。

重要文化財《金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用》安土桃山時代・16世紀  前田育徳会蔵 通期展示

重要文化財《金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用》安土桃山時代・16世紀  前田育徳会蔵 通期展示

第2章では、百万石の財力を背景として収集された古筆や名画の数々がお目見えする。《アエネアス物語図毛綴壁掛》は、前田家が洋の東西や時代を問わず、優れた珍しいものを積極的に集めたことを窺わせる名品だ。3メートル超の巨大なタペストリーは圧巻だろう。

重要文化財《アエネアス物語図毛綴壁掛》ニカシウス・アエルツ作 ベルギー・16~17世紀 前田育徳会蔵 通期展示

重要文化財《アエネアス物語図毛綴壁掛》ニカシウス・アエルツ作 ベルギー・16~17世紀 前田育徳会蔵 通期展示

武人として、茶人としての前田利家

加賀前田家といえば、武家社会を象徴する刀剣と茶道具も見逃せない。前田家を護持する刀剣だという《太刀 銘 光世作(名物 大典太)》について、福島氏は「力強い反りと穏やかな刃文が神秘的な力を感じさせる刀」と表現する。同じく名物《刀 無銘 義弘(名物 富田江)》も前田家と徳川家を行き来した由緒を持つことから、「それだけ重視された刀剣であるということが窺えるかと思います」と、贈答を通じて政治的な関係が確認された点に触れながら解説した。

国宝《太刀 銘 光世作(名物 大典太)》平安時代・12世紀 前田育徳会蔵 通期展示

国宝《太刀 銘 光世作(名物 大典太)》平安時代・12世紀 前田育徳会蔵 通期展示

茶人としての前田利家の姿に想い馳せることができる、《大名物 唐物茄子茶入 銘 富士》も特別な作品の一つだ。最高位の評価を受けた茄子形の茶入の中でも、この「富士」の形の見事さは言語道断——つまり言葉では言い表せないほど——と評価されてきた。足利将軍家、信長、秀吉へと受け継がれてきた、まさに天下の名物である。

重要文化財《大名物 唐物茄子茶入 銘 富士》南宋時代・13世紀 前田育徳会蔵 通期展示

重要文化財《大名物 唐物茄子茶入 銘 富士》南宋時代・13世紀 前田育徳会蔵 通期展示

福島氏は「この茶入の優れた点として、付属の盆に乗せたときのバランスが完璧だと個人的に思っています」と自身の視点を交えつつ評した。この堆朱の盆は中国の元から明時代にかけて製作されたもので、日本では上の面に改造を施して独自の美意識を表現したそうだ。この盆を茶入に合わせたのは前田家に入ってからで、「数ある盆の中からこれを選んだ感覚には、非凡なものを感じる」と福島氏。歴代当主のセンスや審美眼といった美的感覚を知ることができそうだ。

なお、本展に「名物 大典太」、「名物 富田江」、そして《短刀 銘 吉光(名物 前田藤四郎)》が展示されることを記念して、人気オンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」の刀剣男士「大典太光世」、「富田江」、「前田藤四郎」3振とのコラボが決定した。特別企画としてパネル展示やグッズ販売も予定している。また、音声ガイドナビゲーターを務める浪川大輔と、ゲストナビゲーターの入江玲於奈は人気声優だ。二人からどのような展示解説が聞けるのかが楽しみだ。

重要文化財《短刀 銘 吉光(名物 前田藤四郎)》鎌倉時代・13世紀 前田育徳会蔵 通期展示

重要文化財《短刀 銘 吉光(名物 前田藤四郎)》鎌倉時代・13世紀 前田育徳会蔵 通期展示

「刀剣乱舞ONLINE」コラボレーションビジュアル (C)2015 EXNOA LLC/NITRO PLUS

「刀剣乱舞ONLINE」コラボレーションビジュアル (C)2015 EXNOA LLC/NITRO PLUS

展示の終盤にかけては、3代・利常の文化事業が孫の5代・綱紀に、そして16代・利為に引き継がれる系譜を示す。近代以降に本拠を金沢から東京に移し、侯爵家へと転身した前田家の伝来品を確実に後世へ存続させるべく、財団を立ち上げた歴史について学びを深められるだろう。東京・駒場にある旧前田家本邸洋館の室内に飾られていた品々として、フランソワ・ポンポン作《シロクマ》などが登場予定だ。

《シロクマ》フランソワ・ポンポン作 フランス・1930年 前田育徳会蔵 通期展示

《シロクマ》フランソワ・ポンポン作 フランス・1930年 前田育徳会蔵 通期展示

『豊臣兄弟!』前田利家役・大東駿介が登壇

本展では、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)で前田利家とその妻・まつを演じる、大東駿介と菅井友香が広報アンバサダーとして展覧会の魅力を伝える。報道発表会では大東が登壇した。「前田育徳会が100周年、そして大規模展示が60年ぶりというタイミングで前田利家公を演じさせていただくご縁に本当に感謝しています」とアンバサダー就任の喜びを伝え、「実は昨日も金沢を訪れ、前田利家公のお墓にご挨拶に行ってきたところです」と意気込みを見せた。

広報アンバサダー 大東駿介

広報アンバサダー 大東駿介

楽しみにしている作品は?という質問には「全てです!」と答えつつ、「ちょうど大河ドラマ撮影中で、これから陣羽織をどうしていこうかというお話があったので、陣羽織にはすごく興味があります」と出演者ならではの視点で語った。

重要文化財《陣羽織 淡茶縬地菊鍾馗図 前田利家所用》安土桃山時代・16世紀 前田育徳会蔵 通期展示

重要文化財《陣羽織 淡茶縬地菊鍾馗図 前田利家所用》安土桃山時代・16世紀 前田育徳会蔵 通期展示

また、利家所用と伝わる品の中には、日本最高級といわれる算盤がある。利家はこの算盤で、当主自ら兵に必要な米などを管理していたそうだ。大東は「僕が今回、前田利家公を演じさせてもらう中で、これをベースに役作りしていきたいなと最初に思ったのがこの算盤だったんですよね。前田利家は力で己の存在を示す一方、家系を守るために自らお金の管理をしており、その多面性や責任感の強さがこの算盤に表れていると思っています。『豊臣兄弟!』の作中でもどこかで算盤を出せたらいいな、と今相談している最中ですので、展覧会ではぜひ生で見てみたいですね」と期待を寄せた。

(左から)東京国立博物館 福島修研究員、大東駿介(俳優)、前田家19代当主 前田利宜氏

(左から)東京国立博物館 福島修研究員、大東駿介(俳優)、前田家19代当主 前田利宜氏

国宝28点、重要文化財46点を含む、前田家だからこそ集まった稀代の名物をお披露目する本展。4月17日からは本館の特別5室に能舞台を作り、「東博能」を上演する。前田家と宝生流は深い結びつきがあり、宝生会所蔵の貴重な能面「本面」をつけて行う、加賀宝生の能の特別公演『生きる国宝』も予定している。これらの興味深いプログラムもあわせて、文化財・美術品の魅力を余すところなく楽しみたい。

特別展『百万石!加賀前田家』は、東京国立博物館 平成館にて、2026年4月14日(火)から6月7日(日)まで開催予定。

文・写真(発表会の様子)=さつま瑠璃、広報画像=オフィシャル提供

イベント情報

前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」
◆会期:2026年4月14日[火]~6月7日[日] ※会期中、展示替えあり
◆休館日:月曜日(ただし4月27日、5月4日は開館)
◆開館時間:午前9時30分~午後5時
※入館は閉館の30分前まで
※毎週金・土曜日および、5月3日[日]~5月5日[火]は午後8時まで開館
◆会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
◆主催:東京国立博物館、
公益財団法人前田育徳会、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
◆特別協力:文化庁
◆協力:
内田洋行、TOPPANクロレ
◆お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
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