『アートフェア東京』初めて行く人に知ってほしい「楽しみ方」と「大事なこと」
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アートフェア東京2016の様子 撮影=岩下宗利
2005年にはじまり、今年で12回目を迎える『アートフェア東京』。2016年は3日間で5万6300人を動員し、2017年は全150軒の画廊・ギャラリーが出展する日本最大級のアートの見本市です。
しかし、「見本市」という言葉の響きのせいか「業界人向けぽい」「ハードルが高そう」といったイメージをもち、存在は知っていても行ったことはない。そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アートフェア東京2016の様子 撮影=岩下 宗利
本コラム執筆のきっかけは、自他ともに認める”アート女子”な友人の一言でした。彼女は、話題の企画展は欠かさずチェック、六本木アートナイトも毎年朝まで満喫、地方のトリエンナーレにも足を運ぶ筋金入り。筆者も美術館好きとして、彼女のバイタリティに憧れたり、うらやましいなと思ったりしました。そんな彼女が、会話の中で唯一「それ行った」と言わなかったのが『アートフェア東京』でした。
「行ったことないの? 楽しいのに!」と筆者(ドヤ顔)。
「展示即売会でしょ? 私、買いたいわけじゃないし」と彼女(笑顔)。
彼女の笑顔がまぶしくて、つい反駁しそびれてしまいましたが、『アートフェア東京』は買う買わないにかかわらず、アートファンなら心躍るイベントなのです。
今回のコラムでは「初めて行くアートフェア東京の楽しみ方」を紹介いたします。資産運用を視野に入れた富裕層の方向けではなく、最新アート動向を探る業界の方向けでもなく、美術鑑賞がわりと好きな平均的生活レベルの方に向けて書きます。「今年はいってみようかな」と思っていただければ幸いです。
2017年展示予定昨品 artist: Pe Lang title: Color | nº10 2016年
2017年展示予定昨品 近藤亜樹 Sleepy Dog 2016 the artist courtesy of ShugoArts
雰囲気は“アートファン感謝祭”
たしかに展示即売もされていますが、決してアート関係者だけの内輪のイベントではありません。毎年会場となっている東京国際フォーラムには、ギャラリスト、コレクター、アーティスト(ご本人含む)、美術系っぽい学生さん、業界人、そして一般の来場者と、さまざまな人がそれぞれの思いで集まります。“アートファン感謝祭”といった雰囲気です。
アートフェア東京の楽しみ方
(1)自分が気に入るアートを直感でジャッジ
『アートフェア東京』では、自分の好みの新たな一面に気付かされます。かつて「自分探しの旅」が流行った時代もありましたが、『アートフェア東京』なら東京駅・有楽町駅から数分で、自分を再発見できるのです。
2017年展示予定昨品 FUMA Contemporary Tokyo | 文京アート 金巻芳俊 春巡ヴァニタス 2016年
そんな体験ができるのも、『アートフェア東京』のキュレーションの幅広さ、そしてオープンな展示方法のおかげ。古美術、工芸、日本画、近代美術、現代アート、平成生まれのアーティストからレオナール・フジタのような巨匠までが、扉のないブースで展示されています。あまり馴染みがないジャンルのアートも、じゃんじゃん視界に飛び込んでくる環境。気づけば、作者でも価格でも能書きでもなく、第一印象だけで作品の「好き」「嫌い」をジャッジしている自分がいます。美術館での鑑賞には使わない神経がフル稼働するらしく、観終る頃にはヘトヘトになると同時に、充足感に満たされます。
(2)一目惚れしたアートを「買う」高揚感
運命の出会いとか一目惚れは、そうあるものではありません。しかし2009年、筆者は初めての『アートフェア東京』で、初めての一目惚れを経験しました。
有楽町での所用を終え東京国際フォーラムを横切った時でした。ガラス棟の渡り廊下から展示ホールを見下ろすと、華やかな光景が広がっています。人の賑わいに学園祭かアイドルイベントを疑いましたが、よくみればそこには無数のアート。その中の一作品に、目を奪われました。
木漏れ日に色彩を滲ませたような、カラフルな風景画。水彩にも写真にも見えるパネルでした。「もっと近くで観たい」という衝動に駆られ、案内板をチェック。「『アートフェア東京』というイベントらしい。
今日の自分の格好が、イマイチなことに気付いたのです。
十年もののダッフルコートに、斜め掛けバッグ。ニット帽とマスク(花粉対策)。ブースの雰囲気にそぐわない格好であることは明らかで、思わず気おくれ。それでも作品からは離れがたく、スタッフの方の目を盗んで近づこうとするものだから、かえって怪しさが増幅。「今わたし、完全に警戒されてる!」という被害妄想にやられ、涙目で退散……。一目惚れも、アートへの失恋も、これが初めての経験でした。
美術館でも、作品に一目惚れする機会はあります。でも、もともと手の届かない国や個人が所蔵する傑作を鑑賞するのと、「自分の部屋にあうかな?」と想像しながら鑑賞できるのとでは、高揚感が違います。美術館に慣れている方にこそ、その違いを楽しんでいただけるのが『アートフェア東京』です。
ちなみに価格帯は、数万円から数千万円まで様々です。値札がついていたり、スタッフの方がこっそり(名刺の裏にメモったりして)教えてくださいます。押し売りをされるような場では決してありませんのでご安心ください。
知っておきたい大事なこと
最後に、知っておいていただきたい大切なことをお伝えします。『アートフェア東京』は、前売
ぜひ、『アートフェア東京2017』で、今までにないアート体験を。