小澤征爾80歳記念コンサート開催、アルゲリッチとともに力強い演奏を見せる
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photo by 大窪道治
小澤征爾の80歳の誕生日を記念し、9月1日に【マエストロ・オザワ 80歳バースデーコンサート】が開催され、マルタ・アルゲリッチやジェイムス・テイラーなど各地からアーティストが駆けつけた。
会場の入り口には、小澤が幼少期に弾いていたピアノやレコードジャケットが飾られ、来場者には王貞治氏や横尾忠則氏など各界からの祝賀メッセージが綴られた特別プログラムが配布されるなど、公演前から会場は祝賀ムードでいっぱいに。8月に腰の怪我をしオペラの指揮を降板するなど容体が心配されていた小澤だが、予定通り客席に姿を現すと会場からは大きな拍手が贈られた。
コンサートは、バーンスタインの「キャンディード序曲」で華やかに幕開け。曲と曲の合間には、小澤がどのように音楽と出会い、世界へと活躍の場を広げていったかをまとめた映像が流された。そして小澤が長きに渡って指導を続けている小澤国際室内楽アカデミー奥志賀と小澤征爾スイス国際アカデミーが登場し、メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲 変ホ長調」の第一楽章で初共演を果たした。また、映像では各地からのビデオメッセージも流され、チェリストのヨーヨー・マは「セイジは、出会う人全てに贈り物をくれる。これからは人生の美しさを楽しむ時間を見つけてください」とコメント。そして前半の締めくくりにはマーカス・ロバーツ・トリオが登場し、小澤との思い出の作品であるガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」の一部を披露するなど、ピアノの音色とともに感謝の気持ちを表現した。
第二部は、若手育成のために2000年からスタートした小澤音楽塾が紹介され、ナタリー・シュトゥッツマンの指揮と、若いソリスト達によって、色彩豊かなラヴェルの「子供と魔法」が生き生きと披露された。後半もビデオメッセージは続き、サイモン・ラトルの挨拶とともにベルリン・フィルがストラヴィンスキー編曲「ハッピー・バースデー」を演奏すると、会場からも思わず拍手が。また、小澤が30年近く音楽監督を務めたボストン交響楽団のメンバーやスタッフらもビデオメッセージに登場し、「あと100年は生きてね!」とお祝いのコメントを寄せた。第二部の後半には、5年振りの来日となるジェイムス・テイラーが登場し「You’ve Got a Friend」のカバーで、温かく会場を包みこんだ。さらに、小澤と出会うきっかけとなった妻、そして息子もステージに呼び込むと、合唱団とともに「Shower the People」を披露。小澤も思わず席から立ち上がり、会場中が手拍子で一体となった。最後は、ベートーヴェン「合唱幻想曲」。ピアノはマルタ・アルゲリッチが務め、力強い小澤の指揮とともに生命力あふれる演奏が届けられた。コンサートが終了すると、ステージには大きなバースデーケーキが登場し、さらに演奏家達も再度ステージに登場すると、「ハッピー・バースデー」の大合奏&大合唱が届けられた。小澤は「本当にみんなありがとう。サンキュー・ベリー・マッチ」と何度も感謝の言葉を述べ、小澤の軌跡を辿る約3時間にわたる公演は幕を閉じた。
◎公演情報
【マエストロ・オザワ80歳バースデー・コンサート】
日時:9月1日(火)開演 16:00 終演 19:00
会場:キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
主催:マエストロ・オザワ80歳を祝う会実行委員会
出演:
・マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・リディア・トイシャー(ソプラノ)
・三宅 理恵(ソプラノ)
・ヴィルジニー・ヴェレーズ(メゾ・ソプラノ)
・ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト)
・福井 敬(テノール)
・ジャン=ポール・フシェクール(テノール)
・マティアス・ゲルネ(バリトン)
・マーカス・ロバーツ・トリオ(ジャズトリオ)
・ジェイムス・テイラー(ヴォーカル・ギター)
・サイトウ・キネン・オーケストラ
・小澤征爾音楽塾オーケストラ
・小澤国際室内楽アカデミー奥志賀
・小澤征爾スイス国際アカデミー
・東京オペラシンガーズ
・OMF合唱団
指揮:
・ロバート・スパーノ
・ナタリー・シュトゥッツマン
・小澤 征爾
演出:デイヴィッド・ニース
photo by 大窪道治