佐津川愛美、芹那の舞台『野良女』公開! アラサ―女子の性欲も友情も過激に描く意欲作
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舞台『野良女』が、新宿・シアター・サンモールで4月5日(水)に開幕した。悩み多きアラサー女子にとって、なんでも話せる女友だちはかけがえのないもの。とはいえ「またこのメンバーで女子会か(苦笑)」「ちょっとは変化がほしいかも」と少しでも思うなら、この週末、ぜひ足を運んでほしいステージ。それが『野良女』だ。
9日(日)までの全8公演。宮木あやこのヒット小説を原作に、佐津川愛美、芹那、沢井美優、深谷美歩、菊地美香という、まさにアラサーの女優たちが下ネタ満載、本音炸裂のガールズトークを繰り広げることで公開前から話題を呼んでいた。開幕直前に公開された通し稽古(ゲネプロ)より見どころを紹介する。過激なトークは、想像(期待?)以上でそんなに言わなくてもというほどセックスセックスと連呼していた。それでもゲネプロを観劇したのち、頭から離れなかったのは「30代の女なんてさ、生きてるだけでえらいんだよ」という台詞だった。
女優人生をかけ飛び込んだ5人
ゲネプロに先だち行われた囲み取材では、キャスト5人がコメントをした。
佐津川愛美(鑓水清子役)は、「ここまでみんなでがんばってきたので、いいものができると思っています。不安なところもまだありますが、あとはチームワークで乗り切ろうと思っています。台詞を忘れたらかばいあおうって約束しています。エネルギー出して演じようと思います」と笑顔で意気込みを語った。
芹那(桶川慶子役)は、唇をかみ「うーん」と感慨深げに間をおいた後、「この役が決まってから今日まで、アラサ―女子の集いが何度かありましたが、舞台とかぶる部分があると思いました。2か月間の稽古を通して、ある意味自分たちのまま、30年生きてきた自分たちのまま今回の舞台をやりきれたらいいなと思います」と語った。
菊地美香(横山夏美役)は、「難しいテーマに、みんなで体当たりで、女優人生をかけて飛び込んだんですが、それでも初めは恥らいとかもありました。こんなに出していいのかと思うほどすべてをさらけだして稽古場に持ち込んで作ってきました」と真摯な表情をみせたが、続けて劇中で露出や着替えが多いことから「女優陣全員がTバックで挑む作品です」とアピールし笑いを誘った。
沢井美優(佐藤朝日役)は、「劇中の内容は本当にリアルでアラサ―ならでは。グサッと刺さったりがんばろうって思えたり、私自身も葛藤したり励まされたりした稽古期間でした。観にきてくださるお客さんにもそういった感情をもっていただけたらうれしい」と意気込みを語った。
深谷美歩(壺井頼子役)は、落ち着いた口調ながらも「パンチを効かせた芝居をしたいと思います。攻めて攻めて攻めまくります」作中では、女性5人と関わりのあるすべての男性を、トルソー(マネキン)と池田倫太朗が表現することから「それぞれの男性像が思い浮かぶようなお芝居をしたい」とも語った。
私、高望みしすぎ?!
【あらすじ】行きつけの大衆居酒屋に集まるいつものアラサ―独身女子5人。それぞれに悩みや不満を持っている。仕事の愚痴にはじまり不倫のヤリチンを「プリチン」と名付け笑ったり、DV彼氏を「そんな奴のどこがいいの?!」と怒ったり、泣いたり酔いつぶれたり。そんな中、鑓水清子(佐津川)には2年間彼氏がいない。劇中の言葉でいうなら、2年間、股間を使っていない。股間に苔が生えている。見た目はかわいい28歳の派遣社員、鑓水はマイクに吠える。
「私、高望みしすぎ?いやいやいや、年収いくらとかいわないよ?結婚してなくて、定職についていて、年の差20歳以下の人を恋人にしたいだけだよっ!!??」
そんな鑓水も、親友たちの手をかりて職場で出会った“やりたい男”鈴木大輔(トルソー、池田倫太朗)を計画通り酔いつぶし、無事(?!)鈴木のアパートへとなだれ込むのだが、いざというところで大きな問題が発生する。彼のモノが大きすぎて入らない…。
強く、たくましく、愛おしい
舞台は、ストリップ劇場を思わせる赤いカーペットに赤いカーテン、悪趣味な黄色電球。女性が“さらけだす”のにうってつけの場所だ。背景の映像は、花吹雪や占い師の目などが映しだされ、印象的なシーンにスパイスを加える。セットは必要最小限。居酒屋のテーブルが、男の部屋のベッドにもホテルの一室にもなる。その舞台転換をキャストたちの手で行うのだが、次のシーンをあつらえる姿が「友達のために。自分のために。自分たちの手で。」といった姿勢を象徴しているようにみえた。
友だちにほしい5人のアラサ―女子
佐津川愛美は、鑓水の口にするどんなセリフにも説得力を与えていた。後半の鈴木と向きあい、怒り、性欲、優しさが混在するシーンでは招待客の席からすすり泣く声も聞こえた。菊地美香が演じる横山には、透明感があり、“プリチン”と別れられない泥沼不倫にもかかわらず、それが純愛に思わせられハッとした。
男にもお金にも困らない朝日先輩を演じるには、もって生まれた美貌+演技力が求められたに違いないが、沢井美優は余裕をもってのびのびとその役を果たしていた。
壺井を演じる深谷美歩は、安定の演技で芝居全体が生々しくなりすぎないよう、笑いどころをきっちりおさえる。壺井が歌い踊るシーンは必見。
芹那はDV彼氏をもつ、静かに、しかし誰より歪んだアラサ―女子・桶川を体当たりで演じる。後半に進むにつれキレが増していく姿に壮快感を覚えた。
取材・文・撮影=塚田史香
日程:2017年4月5日(水)~9日(日)
会場:新宿シアターサンモール
原作:宮木あや子
演出:稲葉賀恵(文学座)
脚本:オノマリコ(趣向)
音楽:オレノグラフィティ(劇団鹿殺し)
出演:佐津川愛美、芹那、沢井美優、深谷美歩、菊地美香 ほか