ZOZOマリンで開催された“野球の授業” 『野球で学ぶ統計学入門』を体験してみた
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学生時代、もっと勉強しておけばよかったな。
多くの人はそう思う。正直、俺も少し思ってる。高校の授業では寝まくり、大学時代も高い学費を払っておきながら満足に教授の話すら聞いていなかった。今振り返ると、マジでもったいない。そんな後悔が人を大人になってから英会話教室や料理教室へと走らせるわけだ。不思議なことに、昔はあれだけ嫌いだった授業をお金と時間を費やして自ら受けに行きたくなるこの感じ。だったら今こそ「野球」の授業を受けてみたいな。もっと野球というスポーツを様々な角度から楽しみたい。そんな話を仕事の打ち合せでしていたら「こういうのありますよ」と薦められたのが今回紹介する『野球で学ぶ統計学入門』である。
4月5日、ZOZOマリンスタジアムのロッテvs日本ハム戦で開催の本イベント。ネットで検索すると「統計学を活用しながら野球にまつわる様々なデータをもとに、統計学者・鳥越規央先生が1試合を通じて様々な角度から野球とデータについてわかりやすく解説してくれる、楽しく、ためになる講演などのイベント付
さっそくイープラスのサイトで
プロ野球では珍しい平日デーゲーム、京葉線の中では鈴木大地と平沢大河のユニフォームを着た女子大生2人組がロッテの貧打解消スタメン案について熱く激論を交わしている。そう言えば今日のイベントは『学生歓迎ZOZOマリン春期課外講座』とサブタイトルがついていた。12時半過ぎに球場に着くとイベント受付を終え、しばしスタンドから日本ハムのフリー打撃見学。「でっけぇ〜」なんつって少年野球の子どもたちが大谷翔平のかっ飛ばす打球の飛距離に驚愕している。彼らは10年後に生で大谷を見られたことを自慢できるはずだ。
試合開始1時間前の13時には球場内のカンファレンスルームへ移動。ここで30分間にわたり、鳥越先生がゲストのお笑い芸人・石橋哲也さんとともに大型プロジェクターの前で講座を開く。しっかりA4プリント数枚分の資料も配布され、ガチで大学の授業のような雰囲気。「日本ハム西川選手の盗塁成功率はなんと89%。ちなみに昨年パリーグ盗塁王の元オリックス糸井選手は75%です」「大谷翔平はパ5球団の中でロッテ戦の対戦打率が最も低いんですよ」みたいな豆知識データをチラ見せしつつ、メインのセイバーメトリクスについての説明へ。コアな野球ファンの間ではすっかり定着した指標だが、「ライトセーバーは知っててもセイバーメトリクスは知らない」「マニアックすぎて敷居が高い……」なんて敬遠していた野球ライトユーザーにこそオススメの講義内容だった。
打者の指標OPS、守備の指標UZRはもちろん、例えば「先発投手が6イニング以上投げ、かつ自責点3以内に抑えたときに記録される投手の指標QS(クオリティスタート)」については、田中将大の持つ50試合連続QS達成の世界記録を紹介。すかさず「おぉ〜」なんてどよめきが上がり、斜め前に座っていた大学生同士のカップルはメモまでとって熱心に聞いている。その前の席はロッテユニフォーム姿の男子学生風3人組だ。そう言えば、室内を見渡すと意外と言ったら失礼かもしれないが、参加者が若い。
少し前から、プロ野球を報じるメディアも環状線の内側にマニアックに掘り下げるのではなく、外側に向かって分かりやすく発信していく勝負になりつつある。『野球で学ぶ統計学入門』が斬新なのは、そこにマニアの視点とライトファンの好奇心がしっかり共存していることではないだろうか。濃厚な30分の講義を終えるとスタンドへ移動。イヤホンシステムを使用しての試合中解説は堅苦しいものではなく、いい意味で「野球に詳しい、優しそうな学校の先生(鳥越先生)」と一緒に観戦しているかのような感覚を味わえた。
この企画は、6月の試合でも実施されるのが急遽決定したらしく、今季あと3回はZOZOマリンスタジアムのロッテ戦で開催されるそうだ。今後も続くということで、あえて気になった点を上げるとプリント配布された資料について。内容は読み応えあるだけに、できればカラーで、もう少しレイアウトデザインにも凝ってほしい。なぜなら、イベント参加者はその資料を今後も繰り返し見返すだろうから。完全保存版仕様ならなお嬉しい。
次回の『親子・カップルで楽しめる春のデータ観戦入門』は4月22日(土)オリックス戦で開催予定。
学んで楽しむ野球の授業、あなたもZOZOマリンスタジアムで受講してみてはいかがだろうか?
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