レア曲満載！　TOTALFATがファン投票BEST20をカウントダウン形式で披露した17周年記念ライブ

TOTALFAT 17th Anniversary "FAT CLUB REQUEST LIVE"　2017.4.6　下北沢GARDEN

結成17周年を祝した『TOTALFAT 17th Anniversary "FAT CLUB REQUEST LIVE"』が4月6日・下北沢GARDENで開催された。この日はファン投票で選ばれたTOTALFATの楽曲を、なんとカウントダウン形式で披露する前代未聞のスペシャルな内容となった。 

19時11分、Shun（Vo/B）によるメンバー4人のキャラを踏まえた自己紹介的ナレーションを挟むエンタメ性抜群のオープニングを経て、Jose（Vo/G）、Shun、Kuboty（G/Cho）、Bunta（Dr/Cho）がステージに揃う。すると、「20位から始めるぞ！」という言葉を合図に第20位「Summer Frequence」からショウはスタート！ ソールド・アウトで超満員の場内はハンドクラップに沸き、一発目からド派手なパーティー空間に様変わり。Kubotyはナイト・レンジャーばりのタコ足ピッキングで鮮やかに曲を色付けていく。「問題です、19位は？」と問いかけた後、すかさず第19位「Good Fight＆Promise You」にバトンを渡す。Buntaは疾走感抜群のビートで畳み掛け、フロアには激しいモッシュが起き、会場の温度も急上昇。「18位、まさかこの曲が来るとは」と一言挟んで第18位「Stable Heart」を披露。日本語がストレートに突き刺さってくる熱い曲調で、それが多くの人に指示された理由かもしれない。 

「サークル・モッシュしてるキミと交わり～♪」とJoseがアドリブを入れると、第17位「夏のトカゲ」が炸裂。鉄板のお祭り曲が早くも飛び出し、下北沢GARDENは歓喜に溢れ、恒例のタオル回しも勃発。Kubotyのキャップに付けた風車もグルングルン回っていた。「みんなの愛で選ばれた曲」と言うと、第16位「Call It Love」がピースフルな空気を運び、肩を組んで輪になってジャンプする観客の姿も見かけた。5曲をやり終え、「俺らセトリに「Stable Heart」は選ばないじゃん」とKubotyが笑いながら言うと、「俺らが一番アガッてる！」とShunも続き、ファン投票による選曲の意外性をメンバー自ら楽しんでいるようだった。

「ここから大変な曲順になってる」と前置して、第15位～第11位にランクインした楽曲を立て続けにプレイ。第15位「DA NA NA」、第14位「ONE FOR THE DREAMS」、第13位「Walls」、第12位「Room45」、第11位「Place to Try」と繋ぐ。確かにバンドの意志を汲むならば、あり得ないような濃厚な楽曲が続く。既にクライマックスのごとき活況を呈していた。メンバー４人を見ると、髪はびちょびちょ、汗だくのキラキラした表情を浮かべているではないか。この時点で、まだ半分しか終わっていない。たまらずJoseは「このセトリ辛いぞ！ （曲調が）高い、速い、難しい。みんなもキツイぞって、顔になってるから」と冗談交じりにこぼすと、会場は笑いに包まれた。

「ここはコンクリート・ジャングル、下北沢！」と雄叫びを上げると、第10位「Jungle Fever」に突入。図太いベース・ラインやスカ調リズムをアクセントに、底抜けのアッパー感でフロアを攻撃！ リフがかっこいい第9位「Angry Shotgun」を放った後、「大切な人に作った曲。今日はここにいる全員のために歌う……ラヴソングです」とJoseが言うと、第８位「All For You」を披露。演奏が終わると、「TOTALFAT、いい曲多いですね」とShunがしみじみと振り返っていたが、ここに集まった観客も心の中で深く頷いていたに違いない。 

ここで17年前の4月6日に八王子で結成したことを振り返り、今年3月23日にオフスプリングの名古屋公演で対バンしたことにも触れ、「この曲はまたリアリティが増した」と告げると、第７位「Dear My Empire」を披露。この曲は当時17歳だった彼らがオフスプリングのライブに衝撃を受け、その帰り道にバンドを組もうと決意したというリアル・ストーリーを刻みつけた楽曲だ。＜When I was just 17＞の歌詞が心の奥底に響き、これ以上なく明るい光りを放出していた。第6位「PARTY PARTY」、第7位「X-stream」とエネルギッシュな曲が続くと、「ここにこの曲が来るとは」という秦基博のカヴァー「ひまわりの約束」が第4位にランクイン。Shunの温かくもエモーショナルな歌声が映えていた。 

「いままでのワンマンで一番濃いセトリ、死ぬ前に全曲ライブやりたい！」というShunに、観客から早くやって！という声が上がり、「早くやらないと大変なことになるもんな」と返答していた。けれど、現時点で正式音源134曲あるというのだから、死ぬ前というより、死ぬ気でやらないと無理だろう（笑）。 「また大きなところで投票ライブやりたい。こういう曲を聴きたいとか、どんどん言ってほしい！」と言うと、聴き手と近い距離でTOTALFATの楽曲を育てていきたいと付け加えていた。「人生５本の指に入る曲」（Shun）と、第3位「Just Say Your Word」へ。肩車された男性が眼鏡を曇らせたまま、拳を握りしめ、顔をぐちゃぐちゃにさせて歌い上げている。そのリアクションこそが、この曲の熱量を象徴しているように感じた。  それから「まさかこの曲が来るとは……メンバー、スタッフどん引き（笑）」と言うと、第2位「Space Future」をプレイ。これはKubotyが手がけた楽曲で、ロマン溢れるストーリー性の高い曲調だ。Joseの伸びのある歌声も素晴しく、また、Kubotyのメタル調のギターソロも冴え渡り、聴かせどころも盛りだくさん。そして134曲の頂点に君臨し、堂々の1位に輝いた楽曲は……「Overdrive」だった。TOTALFATの持ち曲の中でも特にストーリー性の高いドラマティックなこの曲が多くのファンに支持されている事を改めて確認出来た。

全20曲をやり遂げるとステージから去ったが、オーディエンスの熱いアンコールに応え、再度ステージに登場。全国ワンマン・ツアー『FAST AND TIGHT tour 2017』の追加公演として10月29日の新木場STUDIO COASTが発表されると大きな歓声が上がった。そして、4月26日に出るニュー・アルバム『FAT』から「スクランブル」、「Delight!! feat.J-REXXX」（※ゲスト・ボーカルとしてニューアルバムに参加しているジャパニーズ・レゲエ・アーティスト・J-REXXXが登場！）、「Chase」、「晴天」と新曲オンリーで畳み掛ける！　特にラストとなる「晴天」を披露する前に「俺らはみんなの太陽になりたい。TOTALFATという太陽について来てくれ！」とShunが熱く叫ぶ姿が印象的だった。確かに今日のライブを観ても、今の彼らの表情、演奏、パフォーマンスは永遠の輝きに満ちた太陽のようなキラメキで聴く者を包み込んでいた。いままでも、これからも雨雲を蹴散らす圧倒的な光をファンを注ぎ続けてくれることだろう。いやあ、本当に思わず手をかざしたくなるほど眩しすぎる17周年ライブだった。

そして２年ぶり８枚目のフルアルバム『FAT』を引っ提げて6月6日の千葉LOOKからはじまる全国ワンマン・ツアーがどんな内容になるのか今からとても楽しみだ。

取材・文＝荒金良介　撮影＝Azusa Takada