劇団四季の飯田達郎&岡村美南がミュージカル『ノートルダムの鐘』京都公演に向け、高台寺で成功祈願!
京都・高台寺で『ノートルダムの鐘』成功祈願を行った飯田達郎と岡村美南(撮影/石橋法子)
2016年末に東京で開幕した、劇団四季の新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』。15世紀末のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住むカジモドらが辿る、悲哀に満ちた人間ドラマを描き出す。ビクトル・ユゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」を原作に、「愛と希望が明日への活力となる!」という普遍的なテーマを内包した、大人のためのミュージカルだ。現在上演中の東京公演に続き、7月から京都公演が開幕する。4月17日、カジモド役の飯田達郎とエスメラルダ役の岡村美南が成功祈願のため京都・高台寺を訪れ、梵鐘撞きなどを行った。囲み会見の模様と併せてレポートする。
カジモド役の飯田達郎、エスメラルダ役の岡村美南
高台寺・利生堂で、涅槃図を前に成功祈願
当日の関西地方の天気予報は「春の嵐」だったが、午前中は何とか曇り空にとどまっていた。定刻となり飯田達郎、岡村美南ら公演関係者が利生堂に集まり、住職による成功祈願が執り行われた。
高台寺・利生堂で成功を祈願する岡村美南
堂内に一歩入ると、天井や壁面に張り巡らされた涅槃図が視界いっぱいに広がり、厳かな空気感に包まれる。涅槃図は寺に伝わる南北朝期の作品の複製で、正面に横たわる釈迦を取り囲むように、弟子や動物たちの姿が描かれている。天井には釈迦の母摩耶夫人や飛天のお姿も。
高台寺・利生堂
鐘楼前で歌の奉納を
続いて、屋外にある鐘楼前で歌の奉納が行われた。予報通り降り始めた雨も一時的に雨足を弱め、一般観覧者が見守る中、飯田達郎がカジモドの劇中ナンバー「陽ざしの中へ」を情感たっぷりに熱唱した。
劇中歌「陽ざしの中へ」を熱唱する飯田達郎
歌の奉納を終えると、飯田達郎と岡村美南が鐘楼を撞いて成功を祈願した。ちなみに、鐘楼は近年400年ぶり(!)に新調されたもの。それまでの鐘楼は創建当時の慶長11(1606)年製で、重要文化財に指定されている。
梵鐘を撞く飯田達郎と岡村美南
出演者を囲んでの会見レポート
「『他者を受け入れる』という今日的なテーマが描かれた、意義のある作品です」(岡村)
ーー先程は、飯田さんによる劇中歌「陽ざしの中へ」の歌唱が圧倒的でした。やはり、数ある楽曲の中でも思い入れの強いナンバーのひとつだと思います。
飯田達郎(以下、飯田) そうですね。カジモドの外の世界への強い憧れを表現した物語の軸となる曲でもあり、とても大切に歌わせて頂いております。
ーー心情的には、どのようなお気持ちでしょう。
飯田 ワクワク感もあるのですが、一番は神様にお祈りするような気持ちが強いです。たった一日でも人と触れあうことができたら、外の空気を吸ってみんなと一緒に歩けたらいいな、という思いを歌った曲なので。望みを叶えて欲しいという、祈るような気持ちがたくさんありますね。
カジモド役の飯田達郎
ーー関西にいても東京公演の盛況ぶりが聞こえてきますが、お二人が感じる作品の魅力とは?
飯田 音楽になぞって物語が進んでいくミュージカルなので、やはりアラン・メンケンさんによる重厚な音楽です。今日ここに来る道すがらもずっと、本作のサウンドトラックを聴いて来ました。さまざまな場面で同じ旋律が繰り返されいてるので、そこも楽しみに聴いて頂ければと思います。
岡村美南(以下、岡村) すごく時代に合ったテーマがあると思います。今は他者を排除するような動きになって来ていると思うのですが、本作でも「他者をいかに受け入れるか」という部分が描かれます。今の時代に劇団四季で上演できることを、とても意義のあることだと感じています。また、重厚な音楽とテーマを持った作品ですが、演出はすごくシンプルで想像力を掻き立てる作りになっています。京都公演ではどのようにお客様に受け入れられるのか、すごく楽しみですね。
「カジモドは架空の人物ですが、僕の中では日々リアリティが増しています」(飯田)
ーー本番を重ねる中で、開幕当時と変わって来た部分などはありますか?
飯田 僕にしてもカジモドにしても、人間というのは多面的なものだと思うんです。そういう意味では、本読みから立ち稽古に入って、人物像が少しずつ立体化していったように、今も毎日演じるたびに発見があります。架空の人物ですが、自分の中ではカジモドという存在のリアリティが増していて、役に入り込んでいる感覚です。京都公演でもさらに良いものをお観せできればと思います。
岡村 今回は演出のスコット・シュワルツさんが、「あなた自身の中に嘘がなければ、それで良い」と、役の解釈から場面の立ち上げ方まで、可能な限り自由にさせて下さいました。同じ役でも俳優一人ひとりに演技を委ねる方なので、俳優にとっても挑戦でしたね。
エスメラルダ役の岡村美南
ーーそれは劇団としても、新たな挑戦と言えそうですね。
飯田 そうですね。より生っぽいというか、リアリティがあると思います。
岡村 同時に、俳優自身が自分の想像力をフル活用して挑まないと、なかなか手強いなと感じる部分もありました。「この役はどういう役なんだろう?」ともちろん自分自身でも考えますが、舞台上で起こる俳優同士の化学反応から学ぶこともたくさんありました。本作はひと役に2、3人がキャスティングされていますが、組み合わせによっては違う作品にも思えるほど、色んな楽しみ方ができる作品だなと感じています。京都公演でも成長できれば良いなと思います。
ーー改めて、飯田さんからお誘いのメッセージを。
飯田 普段はノートルダムの大聖堂の鐘ですが、本日は和製の鐘を撞かせて頂くという、貴重な体験をさせて頂きました。とてもありがたく思っております。昨年12月に開幕いたしまして、連日たくさんのお客様に足を運んで頂いております。初の関西でのお披露目となる7月の京都公演に向けて、カンパニー一同身を引き締めて稽古に励んで参ります。ぜひ劇場に足をお運びください。
飯田達郎と岡村美南
■作詞:スティーヴン・シュワルツ
■脚本:ピーター・パーネル
■演出:スコット・シュワルツ
2016年12月11日(日)~2017年6月25日(日)
会場:四季劇場[秋]
2017年7月23日(日)~9月28日(木)
会場:京都劇場
料金:S席11,880、A席8,640円、B席6,480円、C席3,240円
◎一般発売日:2017年4月22日 午前10時より
2018年4月開幕
会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
劇団四季公式サイト:https://www.shiki.jp/