渋谷円山町で仮面パーティー!? 分岐型演劇JUNCTION『スパイスアップ・ナイトパレード』体験レポート
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4月29日、演劇プロデュースユニット“Love Revolution No.3”の『スパイスアップ・ナイトパレード』が開幕した。作・演出を手がけるのは、佐川秀人。出演者は【ノワール】【ルージュ】の2組に分かれ、総勢26人にのぼる。その中にはテラスハウス出演の俳優・宮城大樹、特捜戦隊デカレンジャーで注目を浴びた俳優で歌手の伊藤陽佑、「さくら学院」卒業生の飯田來麗をはじめ、「劇団ハーベスト」「劇団番町ボーイズ☆」「プレステージ」、さらには三宅裕司率いる「劇団スーパー・エキセントリック・シアター」のメンバーなど多彩な顔ぶれがそろった。
分岐型演劇? ステージレス演劇!?
分岐型演劇「JUNCTION」という名のとおり、物語は複数のフロアで同時に進行する。劇中のパーティの会場となるのは、東京渋谷・ドクタージーカンズ。観客は劇中のパーティーの参加者(登場人物)として迎えられ、話の分岐点(JUNCTION)になると、1人ひとりがそのフロアに残るか、別のフロアに移動するか選択を迫られる。キャストたちはステージだけでなく会場を自在に移動し、ドラマが展開する。360度、身も心も劇の中という、日本では馴染みのない演劇を体験できる。
<あらすじ>
少女失踪の謎を解くために、刑事・私立探偵・少女の家族それぞれが、渋谷・ドクタージーカンズで開かれているパーティ「ナイトパレード」に潜入する。そこでは、参加者全員が仮面で顔を隠し戯れる光景が広がっていた。それぞれ別のアプローチで謎を追う登場人物たち。誰の推理を見るかによって、事件の様相が異なって見える分岐型演劇が展開される。
渋谷円山町で仮面パーティー
この通路を抜けて、右手のエレベーターで会場へ。
渋谷駅から道玄坂を徒歩5分。会場のあるビルのエレベーターで受付へ。そこで渡されるのが怪しい仮面! JUNCTIONの来場者は、劇中のパーティー『ナイトパレード』の参加者だ。あらすじに「参加者全員が仮面で顔を隠し戯れる」とあるとおり、物語の設定上、来場者は仮面をつけて参加することになる。思い起こせば、ここに到着するまでのクラブ、ライブハウス、ラブホテルといった街並みさえ、パーティーの始まりに向けた演出に思えてくる。受け取った仮面に一瞬戸惑うが、会場に足を踏み入れてしまえばみんな仮面。素顔の方が気恥ずかしい。
JUNCTION第1弾『スパイスアップ・ナイトパレード』
役者と観客、ステージと客席
『ナイトパレード』のオープニングは、ご機嫌なMC。自虐ネタで笑いを誘ったかと思えば、オールスタンディングのフロアに降りて来場者に絡んだり……。安定感のある司会進行に緊張がほぐれたところで、スタイリッシュな映像、音楽、パフォーマーたちが登場しダンスで盛り上げる。ステージがない分、役者との距離が近い! さらに来場者だと思っていた人がキャストだったり、キャストだと思っていた人が来場者だったりするので気が抜けない。
(左から)お客さん、キャストの大竹浩一(劇団SET)
初めてのJUNCTION体験!
物語が進み、イリュージョン!?というような演出もあり、いよいよJUNCTION(分岐)の時がやってくる。会場のスクリーンに【JUNCTION】の文字。そして【STAY or UP】や【STAY or DOWN】と選択を迫ってくる。「どうする?」「どうしよう!」と来場者はザワザワしつつも、仮面の下の表情は楽しそう。そして各々のインスピレーションに従い、物語は分岐し始める。
上のフロアでは、女性2人が談笑していた。聞こえてくる会話から、失踪した少女の双子の姉とその友達であることがわかった。彼女たちはバーカウンターで実際にドリンクを受け取ったり、フロアを歩いたり、逆ナンパでもするようにフランクに来場者に話しかけたかと思えば、幼馴染と鉢合わせたり。
他のフロアには、刑事や、探偵がいたようだ。事件に向きあう少女や探偵、刑事たちのやりとりを、好きな角度から盗み聞きするようにして物語を追いかける。来場者も、はじめこそキャストに気をつかい、ひとところに集まって成り行きを見守っていた。しかし楽しみ方がわかってくると腰も軽くなり遠慮もなくなり(?)、キャストから急に話しかけられてもごく自然に言葉を返したりする。いよいよ劇と現実の境目がわからなくなってくる。
左から、キャスト、キャスト、キャスト、来場者。
左から、キャスト、キャスト、来場者。
物語のクライマックスは全員が同じフロアで見届けることになるが、どのフロアを観てきたかで、ドラマのみえ方も変わってくるのだろう。上演時間は約60分。【ルージュ】【ノワール】とオールダブルキャストであることも含めると、何度でも足を運んでも見どころの尽きない体験型演劇だ。
一般の演劇でも、劇場の通路に役者が降りて客席に声をかけることはある。しかし、分岐型演劇JUNCTIONの距離感はそんなものではない。ステージがないから目線の高さが同じ。自分で選んだシーンを、自分の選んだ角度と距離感でみることができる。自分の周り360度が劇の世界なので、楽しみ方も自分次第。これから『ナイトパレード』に参加する方、期待される分岐型演劇の第2弾、第3弾に参加される方は、ぜひオープニングから遠慮なく歩き回って楽しんでほしい!
分岐型演劇JUNCTION第1弾『スパイスアップ・ナイトパレード』は2017年5月7日(日)まで渋谷ドクタージーカンズで上演中。
取材・文・撮影=塚田史香
日時:2017年4月29日〜2017年5月7日
会場:東京・渋谷ドクタージーカンズ
【ノワール】新井優、伊藤陽佑、大竹浩一、菊池修司、K-SUKE、小池惟紀、小原莉子、小林郁香、菅井義久、長尾卓也、西村彩有里、望月瑠菜、吉田俊大
【ルージュ】飯田來麗、板倉チヒロ、大崎捺希、川越諒、菊川はる、品川翔、高橋紗良、高橋理勇、原田新平、まつながひろこ、宮城大樹、弓木菜生、横大路伸
※【イレギュラー回】
4月29日(土)12:00 吉田俊大 → 板倉チヒロ
4月30日(日)15:00 大竹浩一 → 横大路伸
5月5日(金) 15:00 K-SUKE → 菊川はる