heidi.、怪人二十面奏、The Benjaminら共演『BATTLE FEVER』千秋楽レポート後編

レポート
音楽
2017.5.12

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The Benjamin怪人二十面奏が所属、BadeggBox主催によるイベント『BATTLE FEVER』のツアー千秋楽公演をレポート。後編では、heidi./怪人二十面奏/The Benjamin/セッションライブの模様を報告。

お馴染み、The Benjamin怪人二十面奏が所属、BadeggBox主催によるイベント『BATTLE FEVER』。今年も4月に全国各地でイベントを開催。そのツアーのファイナル公演が、5月7日(日)に渋谷DESEOで行なわれた。出演したのは、The Benjamin/怪人二十面奏/マイナス人生オーケストラ/藍-AI-/umbrella/シビレバシル/heidi.の計7組。この日の模様を、前編/後編と分けて紹介。こちらでは、heidi./怪人二十面奏/The Benjamin/セッションライブの模様をお伝えしよう。

heidi.

heidi.

heidi.

躍動する演奏に乗せ、義彦が観客たちを煽りだした。速度を上げると同時に楽曲は「虹色レイン」へ。歪みを上げたギターの音とタイトなビートの上で、義彦が朗々と歌いあげる。派手な煽りをしているわけじゃない。でも、その歌と演奏にグイッと引き込まれ、何時しか身体や気持ちが嬉しくはしゃいでいた。何より、歌声とシンクロするよう共に腕を振り上げていたかった。歌で熱狂へ誘い込むheidi.らしいライブの幕開けじゃないか。

heidi.は、演奏へ過激さをスパイスし始めた。義彦に煽られ「ハイハイ」と声を上げる観客たち。触れた人たちの感情を心地好く煽るギターリフの上で、義彦が想いを届けるように歌いかけた。「ブレイズ」に刺激を受け、ファンたちが時に拳を振り上げ、時に歌へ心を寄り添いあっていた。次第に激しさを増す演奏、何時しか後ろの人たちも拳を高く振り掲げ、heidi.のステージに魅入っていた。

義彦が絶叫交じりで煽りだした。激しく音を突き刺すように「サクラアンダーグラウンド」が飛び出した。凛々しく、雄々しく観客たちを煽る義彦、ザクザクとした音を響かせ煽るメンバーたち。これまで会場内に沸いていた熱へ、さらにギラギラとした危うさをheidi.は加えだした。

突き上がる無数の拳と絶叫、熱を懐いたまま演奏は「レトロエレクトロ」へ。躍動するエレクトロなダンスビートの上で観客たちが一斉に踊りだした。その演奏は、身体中から高揚したい感情を沸き起こす。笑顔を浮かべ喧騒の中ではしゃがずにいれない。一緒に踊りの中へまみれなきゃ興奮をもっともっと彩れない。なんて極上なダンスロックナンバーだ。
 
「最後、みなさんと飛んで終わりたいと思います」。クリーンなギターのカッティングビートが心や身体を心地好く跳ねさせた。空高く駆け上がるよう「白昼夢」が心に翼を与えてくれた。その曲へ触れている間、歌に気持ち惹かれながら、躍動する演奏に身を任せ、大勢の人たちが軽やかに跳ね続けていた。右手を天高く突き上げ、快楽をつかむように大きく飛び跳ね続けていた。こんな熱狂に微睡む夢なら、いくらだって溺れたい。

怪人二十面奏

怪人二十面奏

怪人二十面奏

マコトの熱い煽りが怪人二十面奏の物語の始まりの合図だった。ヒステリカルに妖しく唸る「デカダンス16」が場内に描いたのは、心に隠した影(想い)へ愛しさを覚えながらも、その闇(意識)にさえ火をつけ熱狂に様変えてゆくアグレッシブな姿だった。観客たちへ挑むように、いや、その場にいる人たちを喧騒の中で踊り狂わせようと、怪人二十面奏は感情を剥きだしに攻め続けてゆく。早くも場内には祭り上がる様が生まれていた。

その熱狂と喧騒にカラフルなドラマを描き加えるように、怪人二十面奏は「アヴストラクト シニシズム」をけしかけた。荒ぶる感情を剥き出しに、猛る演奏と狂気を帯びた歌声へ熱を加えるメンバーたち。激しくけしかける演奏に触発され、大勢の人たちがはしゃいでいた。身体を大きく揺らし、メンバーらの熱情を全身で受け止めていた。今夜の怪人二十面奏は、かなりヤバいぞ。黒い熱を気持ちを剥き出しに突き付けられては、こちらも本気で剥き(向き)合わなきゃこの場に相応しくない。

6月21日に1stアルバム「怪人二十面奏」を発売。6月15日に池袋サイバーを舞台に20円でアルバム披露ライブを先行で行うことを発表。7月8日にキネマ倶楽部でワンマンを行うことも、怪人二十面奏はここで知らせてくれた。

ヒステリカルでオカルティックな旋律が、興奮という感情のスイッチを叩き壊した。嘆きのメロディが胸をキュッと疼かせ、螺子の外れた演奏がもっともっと壊れろとけしかけてゆく。「想望カルト」に刺激を受けた大勢の人たちが、大きく手の花を咲かせ、気持ちはしゃぐ演奏に身を預けていた。

身体をスバッと切り裂くスリリングでタフな演奏が舞台上から襲いかかった。哀愁嘆くメロウな歌と螺子の壊れた不協な演奏が、意識を熱く包みだした。妖しい場末の空気を振りまく歌が、心を捉えて離さない。昭和歌謡の面影を秘めた「愛憎悪」が心に隠していた痛い感情をわしづかみにし、グイグイと表へ引きずりだしてゆく。その激しい攻めに痛みを覚えながらも溺れていたい。そんな気分だ。

「もっともっと火をつけてくれ、いいか」。最後の「其の証」でもマコトは、サイコティックな演奏の上で哀切さを懐いた歌を嘆き叫んでいた。怪人二十面奏の楽曲は、いや怪人二十面奏のライブは、嘆いた悲しみや絶望に打ちのめされた痛い感情を呼び起こしては、熱狂の中で浄化してゆく儀式のようだ。涙を流し熱狂に溺れることで、むしろすっきりしていける。マコトの痛い歌声に、熱狂を持って想いを捧げてゆくのも、きっとそのせいだ。

The Benjamin

The Benjamin

The Benjamin

The Benjaminのライブは、イベントと同じタイトルを持つ「BATTLE FEVER」からスタート。その曲名に相応しい様が、場内にいきなり描き出されるとは……。けしかけるように熱いロックな演奏が始まったとたん、観客たちがその場で一斉に跳ねだした。サビでは客席を二分し、「BATTLE FEVER」の合図と同時にクラッシュ。くるくるその身を回転させ、フロアー内でぐちゃぐちゃにまみれてゆく。誰もが、満面の笑顔ではしゃいでいた。なんて笑顔あふれる闘いだ。こんな平和な闘いなら、何度だって味わいたい。

熱狂を懐いたまま、明るく弾けたロックンロールナンバー「ベイクドチーズ」へ。The Benjamin流シンガロングナンバーに刺激を受け、大勢の人たちがとろけるチーズのように熱くなっては、熱狂にねっとり絡みついていた。無邪気に、頭を真っ白に、ただただご機嫌なロックンロールに身を預けていた。間奏では、男も女も一緒に手を繋ぎ大きく丸くなり踊るフォークダンス風な風景も登場。なんなんだ、このハッピー感は……。

ロックンロールな熱は途切れることなく続いてゆく。メンバーが次々と歌をリレーしながら、熱狂のハグを求めだした。「ベーゼ」が、この空間を極上のロックンロールパーティの会場へ染め上げた。大勢の人たちが両手を高く掲げ、超ご機嫌なロックナンバーに身を任せ、思いきり飛び跳ね、はしゃぎ続けていた。ヤバいよ、興奮が止まんないんだよ。むしろ、もっともっと熱くときめかせてくれ。そんな観客たちの気持ちへけしかけるように、3人は熱いセッション演奏も繰り広げていた。

はしゃぎ続けた身体の火照りを優しく抱きしめるように流れたのが、「バスストップ」だ。会場中の人たちが、ミネムラ"Miney"アキノリの動きに合わせ手拍子をし、胸をキュンキュン弾ませる青春ゾング「バスストップ」を一緒に口づさんでいた。「楽しみだ楽しみだ WOW!!」、誰もが頭上高く掲げた両手を打ち鳴らし、The Benjaminのメンバーらと一緒に青春をランデブーしていた。極上のモータウン風ナンバーの「バスストップ」は、触れるたびに何時だって甘酸っぱい青春の香りを身体中に、意識の中までも満たしてくれる。たまんないね、このキュンと胸を疼かせる楽しさが。
 
「みんなでバカ騒ぎしよう。みんなで本気でどれだけ楽しめるかというバトルを楽しんできましたが、みんなが思いきり楽しんでくれたので、このツアーは成功したと思います。この熱狂は6月7日のTSUTAYA O-WESTでのThe Benjaminのワンマンへ繋げます」。

ミネムラ"Miney"アキノリの言葉に続き、熱狂を懐いたまま、The Benjaminは最後に「バトンタッチ」を演奏。ゆったりとした演奏の上で、3人が次々と歌をリレーし、感動込み上げる想いを通し、未来へ希望と熱狂のバトンを手渡していった。でもまさか、そのバトンがすぐに繋がるとは……。

◆ENCORE SESSION

ENCORE SESSION

ENCORE SESSION

最後に、この日出演したバンドのメンバーらが舞台上に集合。みんなでセッションしたのはユニコーンの「大迷惑」。舞台上で各バンドのメンバーらが歌をリレーしていけば、客席では観客たちがくるくるまわりながら巨大なサークルモッシュを作りあげていた。ライブハウスにとっては大迷惑な騒動?! でも、上も下もぐちゃぐちゃ入り乱れ、満面の笑顔で大騒動を巻き起こしていたのも事実。観客たちが笑顔でバトルするのも楽しさなのは、もちろん。出演したメンバーたち自身が一緒に歌を通して心一つに無邪気にバトルしていくのも素敵じゃない。最期の最期まで無邪気な笑顔のバトルが、この空間には満ち満ちていた。

取材・文=長澤智典

>>『BATTLE FEVER』千秋楽レポート前編

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