10月がさらに楽しみになるストーリー Live Musical『SHOW BY ROCK!!』観劇レポート
Live Musical「SHOW BY ROCK!!」THE FES Ⅱ-Thousand XVⅡ
2017年5月11日(木)~13日(土)に品川プリンスホテル ステラボールにて、『Live Musical「SHOW BY ROCK!!」THE FES Ⅱ-Thousand XVⅡ』が行われた。サンリオの音楽とバンドをテーマにしたキャラクタープロジェクトは5周年を迎え、2016年2月に上演したミュージカルの好評を受けて生まれたライブイベントだ。
まず最初に登場したのは、白の燕尾服姿のKimeru演じるMCこと“エムシ”。観劇への注意やステージ開始の挨拶を華麗にこなし、そして客席後方から警棒を持ったシンガンクリムゾンズの4人が現れる。ライブ会場の警備をすることになって気乗りしないシンガンクリムゾンズのメンバーたちだったが、そこに社長から「急きょ代役で演奏してほしい」と告げられる。トライクロニカの3人にも挑発されるかたちで代役を務めることになるが――。
ライブパートのトップバッターを飾るのは、舞台初登場となる“アクカレアファクト”。ステージがライトで照らされると、チタン役の糸川耀士郎が「さあ、みんな立て」とスタンディングを促してくれた。楽曲中は立ってペンライトを振るなど、自由にライブを楽しんでOK!
<アクカレアファクト>チタン役:糸川耀士郎、オリオン役:田中涼星、セレン役:板垣李光人、アルゴン役:滝川広大
“アルカレアファクト”は、シュウ☆ゾー率いるトライクロニカの事務所の後輩。まだまだ新人バンドだが、メンバー全員、“超”が付くほどのお金持ち。アイドルではなく“アーティスト”であることを誇りにしている。デビュー曲「マイラスファイ」を含む3曲を熱唱した。
彼らはファンを“黄金アーティファクト”と呼ぶ
オリオン役の田中涼星は、すらりと長い脚に加え、バイオリンを弾き鳴らす姿はとても優雅。お芝居パートでは、執事のじいに電話をするシーンも見られた。ドラムを叩く際にとても野性的な表情を見せていたのが、アルゴン役の滝川広大だ。ライブ以外では喋りながらスクワットや兎跳びをしてみたり、筋トレに余念がない。板垣李光人はさわやかでとてもかわいらしい少年ベーシストであるセレン役。無垢な笑顔からは想像できないような毒舌も炸裂していた。そしてブルーユニコーン族のチタン役、糸川は一見クールだが、心に秘めるアツイ想いをライブ中に感じることができた。胸を押さえて言葉を絞り出すように歌う糸川の姿は、チタンの情熱を体現しているかのようで、とても美しい。
<シンガンクリムゾンズ>クロウ役:米原幸佑、アイオーン役:輝馬、ヤイバ役:鳥越裕貴、ロム役:滝川英治
2番手のバンドは“シンガンクリムゾンズ”。クロウ役の米原幸佑の「いくぜ、家畜ども~~~!」という煽りを皮切りに、会場はラウドな音の洪水に飲みこまれる。
ファンを“家畜”と呼ぶシンガンクリムゾンズ
ボーカル&ギターの米原は真っ赤なスポットライトを浴びて「幻影のシュトライヒ」を熱唱し、輝馬は長い髪を振り回しながらギターを弾く。鳥越裕貴と滝川英治は、以前の制作発表会見の時とは明らかに身体が違っていた。シンガンクリムゾンズのメンバーは上半身の肌の露出が多い。比較的細身の鳥越も薄く腹筋が割れており、役作りに対してのこだわりが見られた。
ライブではとてもかっこいいパフォーマンスだが、お芝居パートではそのイメージが崩壊するくらい豊かな行動と表情をするバンドであることも特徴のひとつ。渾身の顔芸は見物だ。
<トライクロニカ>シュウ☆ゾー役:鎌苅健太、リク役:ゆうたろう、カイ役:木原瑠生
最後に演奏したバンドは“トライクロニカ”。王子様のようなルックスを体現した鎌苅健太は、キラキラ輝く笑顔と甘いボイスで夢銀河ツーリスト(ファン)たちを魅了する。ゲネプロ中、カメラを向ける取材陣に向かって「シャッターチャンス」と称してしばらく制止するなど、おちゃめな一面も。
ファンを“夢銀河ツーリスト”と呼ぶトライクロニカ。ファンの呼称がそれぞれ異なるのもおもしろい
双子のリクとカイを演じるゆうたろうと木原瑠生は同い年であり、演奏中に何度もアイコンタクトしたり、フロントマンであるシュウ☆ゾーを慕っている姿は、息もぴったりでとても好感が持てる。リクとカイ指導の下、演奏前に「胸騒ぎJust☆Paradise」のコール&レスポンスの練習もあり、初めて「SHOW BY ROCK!!」の世界を味わう人も楽しくライブに参加できた。
個性、そして方向性の異なる3バンドが、それぞれの音楽の魅力を披露し、観客を熱狂させた。ライブの合間のお芝居パートでは、先輩後輩、ライバル同士、セレブと庶民派など彼らの関係性が描かれ、またなぜシンガンクリムゾンズが代役で出ることになったのか、その謎に推測が飛ぶ。公演終盤で、MCの存在に疑念を抱くシュウ☆ゾーとロム。この物語は、次の公演につながっていく。
MCのKimeru
激熱の3日間を走り抜けた『LiveMusical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES Ⅱ-Thousand XVⅡ~』。10月の公演では、さらなる進化を見ることができるだろう。
「10月の本公演に向けてのお披露目です」各バンドのボーカルによる囲み取材
(写真左から)チタン役:糸川耀士郎、クロウ役:米原幸佑、シュウ☆ゾー役:鎌苅健太、MC役:Kimeru
――自己紹介と公演への意気込みコメントをお願いします。
米原幸佑(クロウ役):初演以来、「またやりたいな」とずっと思っていました。今回の公演は10月のミュージカル公演に向けてのお披露目というか。『SHOW BY ROCK!!』の音楽ってこんなにかっこいいんだぜ!っていうのをお客さんにわかってもらえるライブになると思いますので、存分にはしゃいで存分にキラキラを楽しんで帰ってもらえればいいなと思っております。僕と鎌苅さんは以前バンド(ココア男。)をやっていて、設定もちょっと似てるなって思いますが、今回はボーカル同士で戦いたいなと思っています。
鎌苅健太(シュウ☆ゾー役):僕は今回初めて参加させていただいたんですが、座長の米原とプライベートでも親交があり、彼が『SHOW BY ROCK!!』が大好きで、こんなに好きな舞台はないんじゃないかというくらいの熱量があるのを知っていました。僕がシュウ☆ゾーくんをやるってなった時には、正直僕で大丈夫かなって不安もありましたが、稽古に入って、この作品も、シュウ☆ゾーくんという役も、バンドも、音楽も、キャラも素晴らしくてとても楽しいです。僕なりのシュウ☆ゾーくんをぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
糸川耀士郎(チタン役):僕たちアルカレアファクトの4人は、「Live Musical」では初登場となるキャラクターなのですごくプレッシャーもありますが、僕たちらしい、生意気に先輩たちにぶつかっていくパワーを見せられたらなって思います。3バンドの対バンのライブシーンがすごくアツいです! シンガン、トラクロが本当にかっこいいパフォーマンスをして会場を盛り上げる姿を見ると、悔しすぎて泣けてきちゃうんですよ! そのくらい稽古場からガチでライブシーンを戦ってきたので、本番にこの熱量を持って行きたいです。しっかりとお客さんの心に黄金メロディアスを刻み込んでいけたらなと思っています。
Kimeru(MC):僕は普段はよく歌っているんですが、今回は3バンドを見守る立場です。リハーサルからとてもアツくて、メンバーも楽器の演奏をすごく練習していました。2.5次元のミュージカルではカラオケが多いんですが、バンド感がすごく出ているので、「(自分も)歌いたい!」って横で見ていました。僕の役は10月の公演の布石になっていますので、このライブを見ていただいたらなんとなく僕の存在が明かされ、MC役とはどういうものかがわかると思います。
――稽古場でのエピソードを教えてください。各バンドで親交を深めるためにやっていたことなどはありますか?
米原:初日の立ち稽古から演出の斎藤さんに「イキイキしているね」って言われて、その次に言われたのが「やりすぎ」でした(笑)。なので、うまく軌道修正してもらいながらの稽古でした。この4人で集まると自然とこういう空気になるんだなって改めて思いました。
鎌苅:僕らのチームは、何せ僕と双子(リクとカイ)の年齢がとても離れている役なので、どう近づこうかなと悩みました。一度僕をバカにさせて、鎌苅さんって変だなって思わせてから、やっぱりすごいって階段を登らせて。原作の3人の関係性を大事にしつつも、とても仲良くなれました。
米原:そうだよね。微笑ましい感じがしたな。実際のキャラクター設定の年齢とも近いってことで、ボス感と慕ってる感は出てました。
鎌苅:米原さんが各バンドで任せてくれましたからね。
糸川:アルカレにはセレン役の板垣李光人くんっていう子がいるんですが、他のバンドの方もみんな李光人くんにメロメロでした。それだけみんなで李光人くんを可愛い可愛いって言っていても、ライブシーンになるとバンドとしてバチバチするっていうギャップがある稽古場でした。うちのメンバーとも全員で「いい雰囲気の現場だな」って話していて、そういう雰囲気作りを先輩方がしてくださったので、僕たちは先輩たちに助けていただいていました。
鎌苅:そこは気を遣いましたね……! うちにも“ゆうたろう”っていうめちゃくちゃ可愛い子がいるんですが、みんなが李光人くんにいくから、俺はゆうたろうにいこうみたいな!
米原:俺、前半は李光人に行って、稽古最終日の方はゆうたろうにいってました(笑)。
鎌苅:ゆうたろうに行きすぎると、もうひとりの18歳の木原瑠生ってのが多分スネるんで。いとこのおじさんみたいな気分でした!
Kimeru:チーム間で絆を深め合っているのも、鎌苅くんがすごい頑張って若い子たちと絡もうとしているのもすごく微笑ましかったです。ライブが始まったら、音楽のぶつかり合いがあり、他バンドが演奏している時には真剣な目で「あー負けたくない、あそこを盗もう」っていう目で見ているので、「先輩後輩」プラス「バンド」間の対立も見えて、すごく良い現場だなって思いました。
囲み会見の時の様子。「すごく良い現場でした」とKimeru
――各バンドの特徴やいちばんの魅力をお聞かせください。
米原:シンガンはただのバカの集まり、イタい奴らの集まりなんですよ。それこそライブになった瞬間にまとまる一体感や派手なライブパフォーマンスとか、そこに注目してほしいし、煽りには乗ってほしいです。他のバンドには負けないぞっていう気持ちは僕らがいちばん表立って出てるんじゃないかなって気はします。
鎌苅:僕らはアイドルです。男の僕でも男性アイドルたちが仲良くしていたらキュンキュンしますし、シンガンがバツンバツン激しいパフォーマンスをするなら、僕らは「ほら~! キラキラ……!」っていう感じです。お客さんとみんなで一緒に笑顔になろうっていう曲が多いのですが、また違った一面も見せられたりもすると思います。幅の広いトラクロを見ていただきたいです。
糸川:アルカレはシュウ☆ゾーのいるトラクロの後輩バンドですが、「俺たちはアイドルじゃない、アーティストだ。俺たちの音楽を聴け」というすごい生意気なスタイルで、楽曲もめちゃくちゃかっこいいです。ピアノサウンドで、バイオリンとかもいて、ちょっと他とは違う優雅で綺麗な曲調です。披露させていただく曲では、お客さんも声を出して盛り上がれるところがあるので、そこも注目してほしいです。若者らしく2バンドにぶつかっていきたいので、そこも見ていただきたいなと思います。
米原:まぁ、12日までしかおらんけどな、お前。
糸川:ははは! そうなんですよね、最終日出れないんですけどね。
米原:Genesis公演とDestiny公演では全然違う話になっています。5月11日、12日はGenesis、13日はDestinyっていって、チタンがいない理由もちゃんとお話になっているので両方観ていただけると、さらに10月が楽しみになるストーリーの構成になっているので、ぜひ両方見に来てほしいなと思います。
取材・文・撮影=松本裕美
(C)2012, 2017 SANRIO CO., LTD. SHOWBYROCK!! 製作委員会#
■2017年10月19日(木)~29日(日)
■劇場:AiiA 2.5 Theater Tokyo(東京・渋谷)
■原作:サンリオ
■演出:斎藤栄作
■CAST
<シンガンクリムゾンズ>
クロウ:米原幸佑
アイオーン:輝馬
ヤイバ:鳥越裕貴
<トライクロニカ>
<アルカレアファクト>
Kimeru
…and more!!
■公式サイト:http://showbyrock-musical.com/
■公式Twitter:@LMSB69(https://twitter.com/LMSB69)
■主催:SHOW BY ROCK!! MUSICAL 製作委員会