米倉涼子「宝くじに当たるくらいすごいこと」5年ぶり再演のミュージカル『シカゴ』公開稽古レポート&インタビュー
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米倉涼子 『シカゴ』稽古場
8月2日(水)より渋谷・東急シアターオーブにて、ブロードウェイミュージカル『シカゴ』20周年記念ジャパン・ツアーが行われる。主演を務めるのは米倉涼子。2012年に本作でブロードウェイデビューを果たし喝采を浴びた。今回は、7月に本場ブロードウェイで11公演を上演したのち、8月に東京で16公演を行う予定。世界34か国、12言語で上演される実話に基づいた悪女2人のシンデレラストーリーだ。5月18日に行なわれた公開稽古では、劇中のナンバー3曲のをピアノ伴奏にあわせて披露され、公開インタビューでは米倉の本作への出演への思いが語られた。
『シカゴ』2017 キービジュアル
スペシャルメンバーとの公開稽古
8月の東京公演で米倉が共演するのは、来日するアメリカ・カンパニーのメンバーだが、この日は米倉の稽古をサポートする大澄賢也らと登場。小道具の確認やストレッチの間も和気あいあいと声をかけあう。ムードメーカーは、米倉だった。報道陣に対しても「今日は稽古なので間違うこともあるかもしれません」と断りを入れて笑いを誘ったり、曲と曲の間で稽古がストップした時には「(次の曲で使う)シューズが見つからないんです、すみません!」と頭を下げるなど、会場を和ませていた。披露されたナンバーは次の通り。
- Roxie
- Me and My Baby
- Nowadays, Hot Honey Rag
米倉涼子 『シカゴ』稽古場
1曲目の『Roxie』は、歌手志望でナイトクラブのダンサーだったロキシー・ハート(米倉涼子)が愛人を殺害し、収容された留置場で出会った敏腕弁護士ビリー(本番はブレント・バレット)の計らいにより、一躍スターダムに上り詰めたシーンのナンバーだ。
(左から)森実友紀、大澄賢也、米倉涼子、神谷直樹 『シカゴ』稽古場
2曲目の「♪Me and My Baby」は、マスコミの興味をひきたいロキシーが、妊娠していると(嘘の)宣言をするシーンで歌われる。男性ダンサー2人との息のあったダンスだった。男性2人よりも体の細い米倉だが、ダイナミックにパワフルに、ときにコミカルに踊り、5年のブランクを感じさせない。
大澄賢也、米倉涼子、神谷直樹 『シカゴ』稽古場
ラストはライバルのヴェルマ(本番ではアムラ=フェイ・ライト)とロキシーのデュエット「♪Nowadays」と、ダンスナンバー「♪Hot Honey Rag」を披露した。
伯鞘麗名、米倉涼子『シカゴ』稽古場
「生きている」という感覚
稽古とはいえ全力のパフォーマンスの直後とあり、インタビューに再登場した米倉は「膝が笑っちゃって」と冗談交じりによろけてみせた。インタビュー中も終始笑顔であったが『シカゴ』への思いを言葉にする時、米倉の目は真剣そのものだった。
米倉涼子 『シカゴ』稽古場
米倉涼子 『シカゴ』稽古場
--前回の『シカゴ』出演から5年。再びこの作品と向きあって、日々いかがですか?
この5年間は、日常的に鍛えるということをしていませんでした。ピラティスくらいしかしていなくて持ちあわせていた筋肉をほとんど失ってしまっていたんです。けれど、皆さんにおつきあいいただき稽古をはじめたら、体幹が鍛えられて、脚とかお尻も大きくなりました(笑)。やっぱり舞台の練習をしているときは「生きているな!」という感覚を取り戻せます。貴重な時間を過ごせていると思います。
--今年3月下旬、世界中の『シカゴ』公演の振付を監督するゲイリー・クリストフ氏が来日し、稽古をされていましたが、なにかアドバイスはありましたか?
全身全霊でご指導いただきました。(フォッシーのダンスをベースに)いかに私らしいロキシー・ハートを創るかを考えてくれました。小さい頃、15年ほどバレエをやっていた時期があります。もう20年以上前に辞めてしまったのですが、ゲイリーはそれを活かした私の踊りを見出してくれたことがありがたかったです。
--再演だからこその特別な思いはありますか?
5年前の『シカゴ』では、ステージに立った時点で「アジア人がブロードウェイに立てたことはすごいね」と言っていただけました。それはうれしかったんですが、今回は「あの時と変わらないね」と言われないよう、年は重ねましたがその分の経験が、自分のパフォーマンスに活かせるように頑張りたいと思います。
米倉涼子 『シカゴ』稽古場
--米倉さんにとって、ブロードウェイはホームですか?アウェイですか?
アウェイとかアウェイじゃないとかそういう感覚はなくて……。
ミュージカルをやること自体が私の中でアウェイです。『シカゴ』に携われていることは、私にとって究極にすごいことなんです。宝くじに当たったみたいな感じかな?(会場・笑) 私の中でそのくらい特別なこと。オリジナルのメンバーの方々と一緒にやらせていただけるという、この絆は、私の宝物です。
米倉涼子 『シカゴ』稽古場
--意気込みとメッセージをお願いします。
2008年に初めてロキシー・ハートを演じた時から、公演が終わるたびに「またやりたい!」と思ってきました。幸せと後悔(反省)の混ざりあった気持ちになるんです。できることなら一生やっていきたいくらいですが、今回で最後かもしれませんし、最後だと思って取り組んでいます。
『シカゴ』は初演から20周年を迎えました。このミュージカルがなぜ20年も続いているか、その理由を(劇場で)肌と心で感じていただきたいです。ヴェルマ役のアムラ=フェイ・ライトさんは『シカゴ』のカンパニーの中では女王様みたいな方です。ぜひ彼女の姿も目に焼き付けください。
10日間という短い公演期間ではありますが、20周年と言う特別な機会に出演させていただけることに感謝しています。いいパフォーマンスをすることでお返しししたいです。思い切ってがんばりますのでぜひ観にきてください!
『シカゴ』公開稽古
取材・文・撮影=塚田史香
■会場:東急シアターオーブ
■日程:2017年8月2日(水)~8月13日 (日)
■出演:米倉涼子、アムラ=フェイ・ライト、ブレント・バレット、他(アメリカ・カンパニー)
■作詞:フレッド・エッブ、作曲:ジョン・カンダー
■脚本:フレッド・エッブ&ボブ・フォッシー
■初演版演出・振付:ボブ・フォッシー
【オリジナルNYプロダクション演出】ウォルター・ボビー
【オリジナルNYプロダクション振付】アン・ラインキング
※生演奏・英語上演・日本語字幕あり
■公式ホームページ:http://chicagothemusical.jp/