今金沢が熱い!話題の百万石まつりに伴って「金沢のみどころ」を金沢観光の責任者に直撃インタビュー

2017.5.26
インタビュー
イベント/レジャー

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伝統もありながら、近年その行列の観覧が非常に盛り上がりを見せている「金沢百万石まつり」。圧倒的スケールで執り行われるその行列には、近県ならず全国から毎年観光客が後をたたない。また行列だけではなく屈指のお祭として、また屈指の観光都市として、新幹線の開通も相まって注目される「金沢」の魅力を、金沢市観光政策課長である上出憲之さんに語っていただいた。

――そもそもどういった成り立ちで開催されているお祭りなんですか?

加賀藩の初代・前田利家公が金沢城に入ったのが1583年の6月14日です。明治に入って利家公の偉業をしのんで「封国祭」が行われ、それが大正時代に市祭となりました。終戦後は進駐軍の指導により、尾山神社奉賛会による「尾山まつり」となります。一方、昭和22年から広告パレードを中心とした「金沢商工まつり」が始まりましたが、昭和27年に全市的な行事として「百万石まつり」となります。「百万石まつり」は昭和33年に「尾山まつり」を併合し、史実に基づき6月14日の開催となりました(現在は6月第1週の週末)。まつり自体に長い歴史があるので、マンネリ化したとか、いろんな意見があり、改良を重ねて今に至ります。例えば、現在の百万石行列は、金沢駅東広場を出発し、金沢城に入城するルートで行なっており、コンセプトは利家公の入城行列を明確にした時代絵巻です。金沢駅東広場が完成したのが平成17年3月です。完成した翌年から現在のルートになったんですが、それまでは市役所前を出発して市内の中心部を練り歩くルートでした。でもそれだと入城にならないので、行列のテーマを市民や観光客の皆さんにわかりやすいように改良しました。

――祭の名物はやはり百万石行列だと思います。写真を拝見しましたがすごいですね。

行列の内容ですが、まず先導隊として金沢のプロスポーツチーム――サッカーのツエーゲン金沢、野球の石川ミリオンスターズ、バスケットボールの金沢サムライズ(金沢武士団)。それから加賀友禅大使の方々。そうした方々が先導隊で、そのあとに音楽パレードが続きます。その次のミス百万石3名は、ミスに選ばれて初の仕事になります。そして、獅子舞、加賀とび、メインの利家を初めとした武者行列となります。合計2500人くらいの参加者になります。

ツエーゲン金沢:http://www.zweigen-kanazawa.jp/
ミリオンスターズ:http://www.m-stars.jp/
サムライズ:http://samuraiz.jp/
加賀友禅大使:http://www.kagayuzen.or.jp/ambassador/

――入城のところは毎年目玉で、有名人の方もアサインされていたりとかしますね。去年は袴田さん、もっと遡ると鹿賀丈史さんも。

初代は昭和59年の鹿賀丈史さんです。初めて俳優に利家公役をやっていただきましたが、鹿賀丈史さんは金沢出身です。
――やっぱり選ぶ基準に「金沢」というところがあるんですか?

金沢出身の俳優が多くいるわけではないので、決してそうではありません。

――では、選ぶ基準はあるんですか?

プロポーザルで選んでいるのですが、最近は利家公が入城したときの年齢(45歳)に近い方が選ばれています。利家公役のみ俳優を起用していましたが、平成13年の50回目のときにお松の方に初めて女優さんを起用しました。そのときは斉藤慶子さんにやっていただきました。平成20年からはお松の方も女優の方にお願いしています。​

――お祭りの一番の目玉は行列で、弊社でも観覧席を販売させていただいているくらい盛り上がりを見せているんですが、昔から行列自体のボリュームも多く、注目は高かったのですか?

そうですね、行列が百万石まつりのメインですので。昔は時代絵巻にそぐわないようなものもあったのですが、平成18年に金沢駅前を出発して金沢城に入るルートに変更したときに、出演する団体も時代絵巻にあったものをということで見直しました。なので平成17年以前に比べるとコンパクトになったと思います。

――そうなんですね、昔のほうが多かったんですね。

はい。

――行列以外の、祭り全体の見どころは?

今年は6月2日から始まるのですが、2日の夜は浅野川で「加賀友禅燈ろう流し」が行われます。​

――映像や画像では見たことがあります。

1200個の燈ろうを流しますので、非常に情緒あふれる雰囲気を味わっていただけると思います。​

――燈ろう流しは何を思って流すんですか?何か意味があるんですか?

友禅関係の亡くなられた方の霊を慰めることと、加賀友禅のさらなる繁栄を願って行っている行事です。最近はほとんどありませんが、以前は浅野川で友禅流しを行なっていましたので、浅野川に対して感謝をあらわすという意味もあるようです。​

――ほかにもありますか。

3日と4日は金沢城公園の中で、加賀百万石「盆正月」を行います。これは藩政期に前田家の嫡子誕生や官位昇進などの慶事を城下挙げて祝った「盆正月」を再現した、お祭り広場的なものです。様々な催し物がありますが、その中で今年は火縄銃鉄砲隊の演武を行います。

――これは今年からなんですか?

火縄銃鉄砲隊は今年初めて行います。

――本当に撃つんですか?

弾が出るわけではないのですが、結構迫力があるんじゃないかなと思っています。

――金沢にはこうした、昔からの伝統などが色濃く残っている気がします。

金沢は1583年に前田利家公が入城してから、ずっと前田家です。都市によっては途中でお殿様が変わったという歴史があると思いますが、金沢はずっと前田家なので、金沢市民は利家公に思い入れがあります。また金沢は、利家公が入城してから一度も戦災がないんです。先の戦争時も被害がありませんでした。だから昔の街並みが今でも残っています。前田家は加賀百万石といわれますが、外様の中でトップクラスの大名でした。それで徳川家に目をつけられないよう、三代藩主の前田利常公の時代から、「武」より「文」を奨励してきました。だから、金沢は今でも伝統文化、伝統芸能が市民生活に根付いているんです。​

――なるほど。

文化を連綿と受け継いできた街ということで、行列の中にも獅子舞や加賀とびが入っています。加賀とびは金沢の義勇消防です。​

――東京にいると伝統文化が薄れてしまうことも多いですから、そういうのってすごく素敵だと感じますし。

ありがとうございます。あと伝統文化といえば、まつりの期間に協賛事業として「百万石茶会」をやっています。金沢は茶道が盛んな土地柄です。私たちは住んでいるとなかなか気がつかないのですが、金沢には和菓子屋が多いですねと観光客の方によく言われます。和菓子ってお茶につきものですよね。和菓子屋さんが多い理由は、茶道文化が市民に広く受け継がれている、街に息づいているということだと思っています。

――なるほど。ではお祭りで来た方もお茶屋さんに寄ってみるといいですね。

まつりの期間中は3日と4日に市内各所で百万石茶会を行っています。​

――私が聞くまでもなく名物を話してくれるので助かります(笑)。その他、祭だけではなく金沢に訪れる方がたくさんいらっしゃる時期だと思いますが、これも見ていったほうが良いというものはありますか?

今のお茶もそうですが、金箔や友禅などを体験して楽しめるお店が市内にたくさんあります。金沢に来られて名所旧跡を見るだけでなく、たとえば友禅の着物を着て街歩きですとか、箸やお皿に金箔を貼ってみたりとか、和菓子づくりなどもあります。実際に体験していただくことによって金沢の文化に触れていただけます。あともうひとつは金沢の食です。​

――食とは、どんなものですか?

金沢は海に面し、山もあり、そのときどきの新鮮な食材が本当に美味しいんです。特に15種類の加賀野菜はお薦めです。​

――たとえばどんなものがあるんですか?

今は旬が終わりましたけれどたけのこや大根ですね。金沢の源助大根は煮崩れがしにくいので、コンビニのおでんのネタになったりもしました。最近の金沢はおでんが全国的にも有名になって、地元のおでん屋さんは観光客のみなさんでいっぱいです。これからの時期は、加賀太きゅうりや打木赤皮甘栗かぼちゃです。​

――なるほど。そうした野菜を使って。

そうですね。それから金沢の料亭で加賀料理にふれてみてはいかがでしょうか。料亭では、料理だけでなく、器やしつらえなど金沢の食文化を見て触れて味わうことができます。​

――音楽とかはどうなんでしょう?

8月26日、27日に「金沢アカペラ・タウン」というイベントを行います。今年で8回目の開催となります。昨年は過去最高の183グループが参加し、市内各所で素敵な歌声が響きました。9月のシルバーウィークの三連休は「金沢ジャズストリート」を行います。こちらも市内各所でジャズの音色が響きます。今年で9回目の開催となり、すっかり金沢の秋の風物詩となった感があります。金沢には音楽のイメージがないかもしれませんが、昭和63年にオーケストラ・アンサンブル金沢が設立されていますし、平成20年からはゴールデン・ウィークにラ・フォル・ジュルネ金沢が開催されています(今年からは、いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭)。こうした音楽イベントも開催しておりますので、市民の方にも、観光客の方にも楽しんでいただけたらと思っています。

金沢アカペラ・タウン:http://kanazawa-acptown.main.jp/
金沢ジャズストリート:https://kanazawa-jazzstreet.jp/

――最後に、このお祭りを通して得られるものというか。たとえば金沢の方が楽しむのもそうなのですが、他県の方が観光で来たときに、持って帰れるものというか、得られるものはなんでしょうか?何を感じてほしいですか?

金沢の魅力は、やはり前田家以来の歴史であり伝統であり文化ですので、3日間のまつりを通じて金沢の歴史・伝統・文化を感じていただければと思います。それから、音楽に見られるように新しいものを取り入れて、新たな伝統・文化をつくっていることも金沢の特長です。行列を見るだけではなく、金沢の街並みや建築物、工芸や芸能、食などを「五感」で感じていただきたいなと思います。​

 

取材・文=秤谷 建一郎

 

イベント情報

金沢百万石まつりのハイライト
百万石行列を有料観覧席でゆったり鑑賞!

金沢百万石まつりは金沢市最大の祭りで、加賀藩祖前田利家公の金沢城入城を記念して毎年6月に開催されます。
ハイライトは百万石行列。賑やかな音楽パレードや勇壮な加賀鳶のはしご登り、豪華な武者行列が金沢駅から金沢城公園まで市内を練り歩きます。兼六園をのぞむ外堀公園に設置した有料観覧席では行列のパフォーマンスを間近でゆっくりとご覧頂けます。は、プレイガイドではイープラスだけの取扱となります。

受付スケジュール
一般発売(先着):    2017年4月28日(金)12:00~