己の忍道を貫け── ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~、ついに開幕!
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(C)岸本斉史 スコット/集英社 (C)ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2017
5月19日(金)、国民的人気少年漫画『NARUTO-ナルト-』の世界を、世代を超えて楽しめる2.5次元のエンターテインメントへと仕上げた、前作のラスト「終末の谷」に続く物語を描いた新作の幕が開いた。初日に先駆けて行なわれたゲネプロと囲み取材から、その新たな興奮の一端をお届けしたい。
忍の世界を舞台に友情と冒険の物語を描いた少年漫画『NARUTO-ナルト-』。初演ではアカデミーに通うまだイタズラ盛りのうずまきナルトら忍のたまごたちが、切磋琢磨しながら成長していく姿が描かれていた。トランポリンや映像を駆使した忍術も、元気で賑やかで、力一杯弾ける彼らの様子が微笑ましかった。今作は、そんな彼らが少し大人になってからの物語。里を抜け、自身とその一族を襲った忌まわしい兄への復讐に燃えるうちはサスケを中心とした“青年編”だ。
(C)岸本斉史 スコット/集英社 (C)ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2017
忍術を磨き、精神的にもひと回り成長したナルトを演じるのは、初演からこのカンパニーを引っ張って来た松岡広大。無鉄砲ぶりはそのままに、より真っすぐな思いで生きようとするナルトを、等身大で表現してくれる。同じく初演からヒロインのサクラを演じる伊藤優衣も、キュートさはそのままに、しなやかな強さを加えて華を添える。一方、負の思いにとりつかれているサスケはまるで別人のよう。同じく初演からサスケを務めている佐藤流司が、ザ・主人公のナルトと対をなすサスケを舞台上に表出させた。
アクロバティックなアクションシーンやハイテクな視覚効果を用いた忍術表現など、前作を踏襲しながらさらにアイデアを発展させた派手なステージングはもちろん、続編ということでさらなる“舞台としての進化”、本作ならではの味付けも盛りだくさん。中でも注目は「歌」での表現。数々のミュージカルでも活躍中のサスケの兄・うちはイタチ役にの良次真次をはじめとする新キャストも迎え、多彩なナンバーでキャラクターたちの心情をよりドラマティックに発展させている。己の信念と命をぶつけあって生きる忍たちの魂が、生演奏の二胡と和太鼓の響きで彩られていく贅沢な高揚感もいい。
(C)岸本斉史 スコット/集英社 (C)ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2017
ヤマト役の藤田 玲、サイ役の北村 諒ほか、今回から加わった新キャストもみな舞台で活躍している注目株。会見で「キャストひとりひとりのエネルギーが素晴らしい」と松岡が語ってくれたように、華麗に入り乱れるキャラクターたちはどれも個性的で、それぞれの存在を強烈に印象づけていた。本作について「自分自身原作でも一番好きと言っても過言ではないエピソード」という佐藤と、「チームワークを大切に頑張りたい」と語っていた良知の“兄弟対決”のエネルギーの凄まじさは圧巻且つ感動的で、原作を知らない観客たちにもこの物語が『NARUTO-ナルト-』を語る上では絶対にハズせない物語だということを、しっかりと心に刻みつけてくれた。
かけがえのない仲間であるサスケを取り戻すことをあきらめないナルトとサクラ。復讐の先の新たな苦みを噛みしめながらさらに抜け忍として逆方向へと疾走していくサスケは、自ら招集した小隊“蛇”を率い……。
それぞれの信念の物語と、その行方に、思いを馳せずにはいられない意欲作である。
レポート・文=横澤由香
【シンガポール】2017年6月10日(土)~6月11日(日)
会場:Marina Bay Sands MasterCard Theatres
【大阪公演】
日程:2017年6月16日(金)~6月22日(木)
会場:大阪メルパルクホール
日程:2017年7月29日(土)~8月6日(日)
会場:AiiA 2.5 Theater Tokyo
■原作: 「NARUTO-ナルト-」岸本斉史(集英社 ジャンプ コミックス刊)
■脚本・演出:児玉明子
■音楽:和田俊輔
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料金:S席 8,800 円/A 席 6,800 円(前売・当日共/全席指定/税込)
■公式HP http://www.naruto-stage.jp/
■公式Twitter @naruto_stage