the GazettE 9年ぶり単独野外公演について、いま語れること

2017.6.7
動画
インタビュー
音楽

the GazettE

画像を全て表示(4件)

バンドの歴史上、グッと目立つイベントになると思うんで、来ないわけにはいかないでしょと思います。(RUKI)

結成15周年を迎えたthe GazettEが、9年ぶりとなる単独での野外公演『BURST INTO A BLAZE』を、来る8月19日に富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催することになった。メンバー自身も今回の貴重なライブを楽しみにしているようで、早くも当日に向けた準備が着々と進行中だ。まずはその経緯から聞いてみよう。

「結成15周年のライブ(『the GazettE十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」』/2017年3月10日=国立代々木競技場第一体育館)をやることが決まったときに、この1年の計画を考えてたんですよ。そこで、そういえば夏って野外でやってたよね、久しぶりにやるかっていう話の流れだったと思うんですよね。そろそろ次の作品のことも考えていかなきゃいけない時期でもあるんですけど、一旦制作作業に入ってしまうと、うちらはなかなか表に出てこない地下活動になってくるので、いいところで浮上していけたらいいよねぇという話もありつつ。あとは、振り返るじゃないですけど、そういうタイミングでもあったのかなぁと思いますね。場所は結果的に前回(2008年)と同じ富士急ハイランド・コニファーフォレストになったんだけど……もちろん、いい思い出も残っているんだけど、苦い思い出もあったりして。まぁ、天候に恵まれなかったということなんですけど(笑)。そのリベンジも兼ねて、夏らしいライブをもう一度やろうかという話ですね」(戒/Dr)

ライブハウスやホールとは異なるオープン・エアの会場は、自ずから開放的な気分にさせるもの。the GazettEも様々なステージを経験する中で、その独特の面白さを味わってきた。それぞれ野外でのライブについては、どんな思い出があるのだろうか。

「自分たちが単独で最後に野外でやったのは、ホントにその9年前とかなんで、何かのフェスに出させてもらったりしたイメージのほうが強いんですよね。でも、野外では、夜より昼のほうが好き派ですね(笑)。照明はついてるんですけど、何か光ってるなって感じでしかないから、開放感が凄いというかね。普段はオープニングも暗いし、いつまでも暗いじゃないですか(笑)。だから新鮮な気持ちでできるんですよ。意外とステージとバックヤードの境界線があまりなくて、そのままスッと出られる感じがあったりね」(RUKI/Vo)

「『KUBANA』っていうロシアのフェスに出たことがあって、お客さんのノリがすごく記憶に残ってるんですね。「Filth in the beauty」をやったとき、ギターのリフだけになるところで、肩車をしている女の人……正確には女か男かわからないけど(笑)、とにかくその人が演奏に合わせてエアギターをやってて。そういう光景って、何かくるものがあるというか、印象的でしたね」(麗/G)

2006年 東京ビッグサイト西屋外展示場

演奏から演出に至るまで、常に全方位で完璧なステージを目指している彼らにとっては、プロフェッショナルな意識からすると、やはり野外公演ならではの細かな環境の違いによるやりにくさもあるのだという。しかし、それと同時に惹き付けられるのも確かなようだ。

「僕ら基本的にステージはいつも同じようにしたいタイプなんで、ちょっとした変化でもやりづらさは感じるんですよ。時間帯によっては西陽も凄いし。でも、開放感は抜群にありますよね。とはいえ、前回の『BURST INTO A BLAZE』は雨が降ってて、花火を打ち上げたけど、まったく見えないっていう。そういうほろ苦い思い出が(笑)」(葵/G)

「やっぱりいつものツアーとかで見える景色とは全然違って開けている、そういう気持ちよさはありますよね。そのイレギュラーな環境が楽しいというか。単純にずっとやりたかったんですよ、野外でのワンマンは。本当は冬もやってみたいんですよ。(空気が乾燥しているため)何か音がよさそうだなって。確かに(寒さの影響で)最初の3曲ぐらい手が動かなかったら困るけど、生きているうちに1回はやりたいなと」(REITA/B)

野外と言えば夏というのが相場だが、将来的には大雪原での壮大なライブも実現するかもしれない。さて、今回はどのようなライブになるのか、現在、バンドとスタッフの間で細かな調整が行なわれているが、セットリストを考えるうえで、演奏して欲しい曲をファンからリクエストを募っているのも興味深い。

「でも、その投票結果にすごく賛否両論があるというまさかの展開で(笑)。以前なら、昔の曲がグンと上がってくるんですけど、最近の曲がわりと上のほうにいたり……「DOGMA」とか、ここ最近の曲は『KNOTFEST JAPAN 2016』ぐらいからしばらくやってなかったんで、そういう状況になってるのかなぁという印象。そこは意外でしたね。でも、富士急の昼間に(あのダークな曲は)どうなんだろうって(笑)。でも、新しいものが一番よしとされるのだとすれば、自分たち的にはいい傾向かなとは思うんですよね」(RUKI)

「ある程度は予想していたところでもあるんですけど、最近の曲が上位に来ている理由も考えてはみましたけどね。曲が持つパワーかもしれないし、自分たちがライブでこなしてきたことに、何かあるんだろうなって」(戒)

the GazettEのアグレッシヴさやダークさを極度に追究した『DOGMA』の収録曲が、同作のツアーを終えてしばらく経った今もファンに強烈な印象を残しているのは、あのアルバムの求心力の大きさを物語るものでもあるだろう。5月中旬の段階で1位となっているのは「INSIDE BEAST」。バンドにとっては想定内の結果のようだが、今後の動きが気になってくる。

「現状の5位までは1回発表したんですよ。だから、それを見て、じゃあ自分は違う曲に投票しようって人も出てくるだろうし、変わってくると思うんですよ。結局、セットリストを決めるのはこの5人なんだけど(笑)、もっともっとみんなの声を聞いてみたいですね。(初期の楽曲のみに絞ってセットリストを組んだ)『暴動区 愚鈍の桜』をやってなければ、もっと昔の曲が上だったかもしれないし。でも、追加公演でもさんざんやった「The $ocial Riot Machine$」が、意外と上位に来てて」(REITA)

「ファンが好きな曲を知る機会でもあるし、途中経過を見せることで、ファンの間でも驚きがあったりして、それがいい刺激になって、ホントにみんなが求めているものがジワジワと出てくるんじゃないですかね」(麗)

「ただ、あまりやってない曲って、音を改めてさらっていかなきゃいけないんで、準備に意外と時間がかかるんですよ。みんなが望むからといって、すぐにできるもんじゃないよというのは、ちょっと太文字で書いておいていただきたいですね(笑)」(葵)

「とはいえ、ライブ的には一応、オールタイム・ベストと謳っているので、わりと総なめできる感じにできればなと思ってます」(RUKI)

2008年 富士急ハイランド・コニファーフォレスト

最終的にどんなセットリストが組まれるのか楽しみだ。当日はライブ以外にも様々な企画が用意されている。過去の衣装などを展示する「アーカイブ・ギャラリー」は、the GazettEのミュージアムのような内容になりそうだ。

「ざっくり100着ぐらいかな? いわゆる衣装展ではなかなか一度に見られない数を置こうかと。それに機材も並べたいねとか、今まで出してない映像も出したいねとか、その日しか楽しめないものをいろいろ考えてて。せっかく山梨まで来てもらうわけですから、1日遊べるものにしたいよねとは話してるんですね」(葵)

『暴動区 愚鈍の桜』の際にも好評だったメンバーがプロデュースするオリジナル・フードの販売も行なわれるが、今回もメニューには頭を悩ませている様子だ。

「こんなものはどうかなと思っても、調理に時間がかかるから難しいとか、メニューの話も、始まってから3~4週間ぐらい経ちますから。そんな感じで楽しく準備してますけどね」(葵)

「戒くんはメンバーの中で一番料理ができるんですけど、一番よくわからないメニューを出してきましたね、チュロスって(笑)。でも、難しいですね。本職の人がチュロスって言ってるぐらいなんで(笑)」(RUKI)

アイデアが出ては消え……という毎日のよう。果たしてチュロスは登場するのか!? では、野外でライブを行なう上で欠かせないものも5人に聞いてみた。

「動員力ですかね(笑)」(葵)

「いつも自分が野外でのライブを観るときって、会場がどこでも賑わっていて、そのままライブを楽しむ、みたいなテンション感があるんですよ。そんな雰囲気が出たらいいですね。でも、それも雨が降っちゃったらね(苦笑)。そんな天気でかき氷なんて出したら地獄でしょ(笑)」(RUKI)

「だから、晴れてりゃ何でもいいよ(笑)」(葵)

「それだけでいい思い出になりそうだもんね。だから、大切なのは日頃の行ないかな(笑)」(戒)

「じゃあ、降るじゃん(笑)」(REITA)

天候はいかんともしがたいが、どんな条件下でも、彼らのパフォーマンスの熱は変わらない。しかも、当日はその後の活動についての新たな発表もある模様だ。主要都市からのオフィシャルバスツアーも実施されるが、今年の『BURST INTO A BLAZE』が、遠方から駆けつける価値のあるライブになるのは間違いない。

「まぁ、来ないで後悔するよりは、来て……後悔してもらったほうが(笑)。でも、ライブは面白いんでね。バンドの歴史上、グッと目立つイベントになると思うんで、来ないわけにはいかないでしょと思いますね」(RUKI)

「毎年できるものじゃないですから、この機会にぜひ観ていただきたいですね。結構、こういうのってバンド側も体力を使うんですよ、準備だったりとか。だから、できるときに思いっきり楽しいことができればいいなとは思うんですけどね」(葵)

「この15周年というタイミングと、富士急の野外という環境とを、いい形で利用して、自分たちにとっても、ファンの子にとっても、いい思い出になるライブになるはずだし、the GazettEのネクストを出していく場所でもあるんですよね。新たなところに向かう出発点として、一緒に楽しめたらいいなと思っているので、ぜひ来て欲しいなと思います」(戒)

「ワンマンで、野外という条件でしかできないことなので、かなりレアなライブになると思うんですよ。the GazettEファンなら、『暴動区 愚鈍の桜』以上に来てほしいですね」(麗)

「どの時期にthe GazettEを知った人でも楽しめるセットリストにしたいし、今、ホームページでリクエスト対象になっている歴代楽曲の試聴ができるんで、これを機に、聴いたことのない曲も聴いてもらって、改めてthe GazettEを知ってほしいですね。当日は到着してから帰るまで、ずっとthe GazettEを体感できるような空間にしますし、次にいつできるかわからないんで、今回は全部出し切りたいと思います」(REITA)


取材・文=土屋京輔

 
イベント情報
the GazettE LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」
[日程]2017年8月19日(土)
[会場] 富士急ハイランド・コニファーフォレスト 
[開場 / 開演] 16:00 / 17:00 
[料金] 全席指定 ¥8,000-(tax in) 
[一般発売日] 7月8日(土)10:00
 [問い合わせ] :DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~19:00) 
特設サイト http://the-gazette.com/15/0819/
 
『LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」』楽曲リクエスト
リクエスト受付特設サイト http://the-gazette.com/15/0819/vote.html
受付期間 4月28日(金)~6月20日(火)

the GazettE