古川雄大、植原卓也、佐々木喜英インタビュー 『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
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植原卓也、古川雄大、佐々木喜英『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
枢やなの漫画を原作に“生執事”の愛称で親しまれる、ミュージカル「黒執事」。最新作の『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』が、2017年12月31日よりTBS赤坂ACTシアターで上演される。執事のセバスチャン・ミカエリス役は古川雄大。名門貴族ファントムハイヴ家の若き当主・シエル役は、内川蓮生が務める。共演には、グレル・サトクリフ役の植原卓也と、ドルイット子爵役の佐々木喜英の続投が決定。演出の児玉明子は、今回初めてミュージカル「黒執事」を手掛けることとなる。宝塚歌劇団での豊かな経験を持ち、近年は2.5次元舞台で手腕をふるう児玉が、どのような“生執事”をみせてくれるのか。大晦日の開幕に早くも期待が高まる中、2年ぶりの共演となる古川雄大、植原卓也、佐々木喜英に話を聞いた。
古川、植原、佐々木、2年ぶりの共演
――皆さんは、『黒執事』では前々作『ミュージカル「黒執事」-地に燃えるリコリス2015-』以来の共演ですね。共演前と今とで、お互いの印象は変わりましたか?
古川雄大:共演する前から、お互いを知る仲ではあったんです。それでも『ミュージカル「黒執事」-地に燃えるリコリス2015-』で国内4都市、中国3都市をがっつりみんなで周って、印象が変わった部分もあります。たとえば(植原)卓也の、みんなをひっぱっていく所とか。中国公演の時の話なんですが、みんなを観光に連れ出してくれたんです。
佐々木喜英:そうそう。エスコートしてくれました。
――ツアーを企画されたのですか?
植原卓也:そういうわけではないのですが、せっかくなので歩いてみようと現地を調べていたら「一緒に行っていい?」と言ってくれる人がどんどん集まってくれて。もともと、ひとりでも行く気で調べていたのでうれしかったです。
佐々木:海外公演中って、どこかに出かけてみたいという気持ちはあっても「言葉が通じるかな?」「危ないかな?」と迷う部分もありますよね。でも卓也くんが、事前に色々調べてどこに何があるか、タクシーにどう乗るか、ドライバーさんに渡す行き先の書かれたメモまで作って準備してくれたので。
古川:すごい行動力。それまでは知らなかった一面でした。中国公演の最後(深圳)は、大きなショッピングモールに、ほとんど全員で出かけたよね。
佐々木:楽しかった。買い物ができて良かったって思った。
植原:なつかしい! すごい覚えてる、その時にヒデくん(佐々木喜英)が買ったものまで覚えてる!
(左から)植原卓也、佐々木喜英、古川雄大
植原卓也がみた、古川雄大のオンとオフ
――佐々木さん、植原さんからご覧になって、古川さんの印象は変わりましたか?
佐々木:演技や役作りへの熱心さ、ひたむきさは、最初にあった時からいい意味で変わらないよね。稽古初日には、絶対台詞を頭に入れてくる。初日には、セバスチャンがそこにいるんです。
植原:そこはぶれないよね。あと、知らなかった一面という意味では、飾らないところ。雄大くんはそういう意識もなく、自然体。
古川:そう?
植原:舞台上のオンと、プライベートのオフが全然違っていて、オフの時は完全にオフなんです(笑)。
古川雄大
――完全にオフとは?
植原:どう言えばいいんだろう? ゼロの状態というか、ありのままというか……
古川:だいぶ包んで言ってくれてます(笑)。僕、普段が適当なんですよ。
植原:本当に飾らないんです。服も髪も「さっき起きて、そのまま家から出てきたでしょ!?」というような、ありのまま。あ、そうか、そのままでかっこいいからか!
古川:いや、卓也もオフの時は結構……
植原:いやいやいや。雄大くんが、絶対一番!
佐々木:わかるかも(笑)。
古川:そう? 変えようかな(笑)。その話でいうと、ヒデくんはちゃんとしているよね。もともとミステリアス。プラスして、隙がない。崩れている姿をイメージできないんです。なので、家ではめっちゃダラダラしててほしいですね。
佐々木:(笑)。
古川:完璧で、そういうイメージがまったくないんです。だからこそオフの時は、ソファーで1日中ダラけたりしていてくれたらうれしいなと思ってしまいます(笑)。
植原卓也
黒執事の人気キャラクターが豪華客船に集結
――新作の『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』は、19世紀末のイギリスから出航する豪華客船カンパニア号を舞台にしたエピソードですね。出演が決まった時の感想をお聞かせください。
古川:原作で豪華客船編を読んだ時、「すごいおもしろいな!」という感想を持ちました。『黒執事』の中でも歴代の人気キャラクターが登場し、キャラクターの過去も明らかになり、物語のベースがより深まって、盛り上がるところでもあります。盛りだくさんの魅力を舞台に詰められるだけ詰め込みたいなと思いました。
植原:今回は、アンサンブルをつとめてくださる方の人数が、2倍になると聞きました。それだけでも今回は、迫力のある派手なステージになると思っています。メインキャストにはミュージカル「黒執事」をずっと一緒にやってきたメンバーも多いので、全体的なクオリティも上がるのではないかというワクワク感があります。
佐々木:「豪華客船編」は、葬儀屋がいよいよ活躍するエピソードでもあります。セバスやグレルと戦うシーンの立ち回りは、どんな演出でどう描かれるのだろうと、楽しみにしています。僕の演じるドルイット子爵に関しては、“フェニックス”という象徴的なポーズが登場します。これまでもネタとして、サラッとやることはありましたが、今回はストーリーに関わるところで“フェニックス”が出ます。ようやく思いっきりやらせていただけるのが、本当に楽しみです!
佐々木喜英
――劇中では、古川さんも“フェニックス”のポーズをされますね。
古川:きっとしますね(笑)。「やっとできる!」と言っている人の前に、セバスチャンがフェニックスをすることになりますね、きっと。「ゴメン!」って感じです。
佐々木:アハハハハ!
グレル、ドルイット、セバスの役作り
―― セバスチャン、グレル、ドルイット子爵。それぞれ個性的なキャラクターです。演じる上で大切にしていることはありますか?
植原:『黒執事』は、すべてのキャラクターが個性的ですよね。僕が役作りで意識しているのは、グレルのテンションの高さ、明るい雰囲気を、マックスの状態でキープすることです。「今日のグレル、なんか元気がないな。テンション低いな」と思われないように。素が出ると、一瞬でつまらないものになってしまうと思って意地でもキープしています。力まないように、けれど、あくまでグレルであるように。
――舞台に上がれば、そのテンションになるものですか?
植原:こうして普通に話していても、出番になれば数秒後にはテンションをマックスまで上げないといけないこともあり、実は『ミュージカル「黒執事」-地に燃えるリコリス2015-』からは稽古スタイルを少し変えているんです。稽古場にいる時間から、普段の自分よりも少し高めのテンションを保つようにしています。
古川:知らなかった。それ、結構大変じゃない?
植原:大変。本当はいくらでも静かに過ごしたいタイプだし(笑)。それに、キャストのみんなに「テンション上げてるな」と思われると恥ずかしいから、あまり言わないようにしていました。
一同:(笑)。
植原:その位やらないと、グレルを演じるのは難しいと思っています。逆に、それができれば達成感はあります。ヒデ君のドルトイット子爵もハイテンションだよね。どうしてるの?
佐々木:やっぱり出る直前にスイッチを入れますね。とても変わった役なので、恥ずかしいと感じる部分も、実はあるんです。でも僕自身が恥ずかしがってしまうと、観ている方々はもっと恥ずかしい気持ちになると思いますので、スイッチを切り替えて。
古川雄大
――ドルイット子爵は、美形の変態という設定ですね。
佐々木:『黒執事』は、ストーリー自体が重かったり、残酷だったりします。その世界を、一瞬でも明るくするのが、この舞台でのドルイットの役割なんじゃないかなと思っています。重いシーンが続いた後も、ドルイットの出番で華やかになれるように、心がけています。
古川:本番中、やりすぎちゃうことはない?
佐々木:あるあるある(笑)。登場シーンの曲が、本当に華やかで迫力もあるんですよね。それに加えて、公演を重ねるごとにドルトイットのテンションが高くなっているんです。中国のお客様とかは、盛り上がるところで遠慮なくはしゃいでくださるので、ライブみたいになるんです。つられて上がりすぎちゃうこともあります。なので、テンションを上げながら、でも原作からは離れないように、演出家と調整して役を作ります。
植原卓也
――古川さん演じるセバスチャンは、グレルとドルイット子爵とは対照的に、テンションを低く保つキャラクターですね。
古川:低いという意識はないのですが、周りのキャラが濃いので、普通にしていてもセバスチャンが落ち着いて見えるかもしれません。
植原:そのままのテンションで役にスッと入れそうなところは羨ましいけれど、逆に、ふざけたくなることはないですか? セバスにも、たまに「あれ? 今、ボケてるんですか?」というような描写がありますよね(笑)。
古川:そういう場面こそ、本気でやるようにしています。あ、1度ちょっとふざけてみたことはあった。でも、すぐに(演出の)毛利さんに正されました。「今のは稽古場だけにしてね」って(笑)。
植原・佐々木:あったんだ!(笑)
佐々木喜英
――『黒執事』には、荒々しいアクションや残酷なシーン、ギャグ的な要素も含まれますが、どんなシーンでも、セバスチャンは、原作通り気品に溢れていますし、変態キャラのドルイット子爵、強烈な個性のグレルさえ、佇まいに品を感じます。カッコいいだけでなく「美しく」をあえて意識されているのでしょうか?
佐々木:枢やな先生の原作が、どんなに変なポーズをしていても、そのコマは美しい絵で描かれています。なので、四つん這いになっても、腰を回しても、美しさはあったほうがいいと思っています。そこはやはり意識しますね。
植原:僕の場合、綺麗に見せようという気持ちはそんなにありません。どちらかというと、セバスに「下品な!」と言われるくらいでいい。それでも、きれいに見てもらえる瞬間があるとしたら、グレル自身が「かわいくいたいの」「レディーでいたいの」という想いを持っているキャラクターなので、そこからくるものかもしれません。
古川:今思ったのは、ダンス。この3人に共通するのはダンスなんです。動きの基本、ベースにダンスがあるから、どんなアクションをしていても、汚いことをしていても、動きは美しくみえることがあるかもしれません。
(左から)植原卓也、佐々木喜英、古川雄大
新作公演への意気込み
――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
植原:2年ぶりの出演で、昨年からシエル役の内川蓮生くんとは初めてになりますし、演出の児玉明子さんをはじめ、今作で“はじめまして”の方もいます。何もかもが新しい『黒執事』を、皆さんにお届けできると思いますので楽しみにしていただきたいです。その期待に応えられるよう、がんばりたいと思います。
佐々木:ドルイットを演じるのは4回目です。同じ役を4回もやらせていただける機会はなかなかありませんので、1公演1公演を大切にしたいと思っています。昨年の『ミュージカル「黒執事」〜NOAH’S ARK CIRCUS〜』は観に行きましたがドルイットの出ないサーカス編、出たかったです! 豪華客船編の劇場版も2回観ましたし、原作も読み返して勉強もできたと思いますので、さらにいいドルイットを演じられるようがんばります。
古川:豪華客船編は、原作でも盛り上がるところなので、皆さんの期待値を超えられるようがんばりたいです。『黒執事』はミュージカル単体でも充分に楽しんでいただけますが、初めての方は原作の「豪華客船編」も読んできていただくと、もっといいのかなと思います。よろしくお願いします!
ヘアメイク:AOKI/HIKOHO
スタイリスト(佐々木):MASAYA
インタビュー・文=塚田史香 撮影=髙村直希
(C)2017 枢やな/ミュージカル黒執事プロジェクト
脚本:Two hats Ltd.
演出:児玉明子
内海啓貴 秋園美緒 那須幸蔵 河合龍之介/和泉宗兵/佐々木喜英 ほか
■東京公演
2017年12月31日(日)~2018年1月14日(日)
2018年1月19日(金)~22日(月)
神戸国際会館こくさいホール
2018年1月26日(金)~28日(日)
江南市民文化会館
2018年2月3日(土)・4日(日)
本多の森ホール
2018年2月10日(土)~12日(月・休)
久留米シティプラザ ザ・グランドホール
http://www.namashitsuji.jp