発光生物に巨大生物！　驚きの深海の住人たちと出会う、特別展『深海2017』をレポート

2013年夏に開催され、約60万人が来場した特別展『深海』が4年の月日を経てこの夏帰ってきた。7月11日から国立科学博物館で開催中の特別展『深海 2017～最深研究でせまる“生命”と“地球”～』報道内覧会より、前回よりさらなる深化を見せる本展のみどころをレポートする。

発光生物、巨大生物……
驚きの深海の住人たち

人類に残された最後のフロンティアとも呼ばれる深海の世界ーその最新研究と技術を、あますところなく伝える本展。中でも「生物発光」「深海の巨大生物」「超深海」では、最新の4K技術を駆使した美しい映像と実物標本などから、驚くべき深海生物を知ることができる。

発光生物の中でも、キラキラ光る粒子を出して泳ぐ「クロカムリクラゲ」と、透明な頭の中に大きな緑色の目を持つ「デメニギス」は今回の注目キャラと言えるだろう。標本だけではわからない、彼らの生き生きとした海の中での姿を追った映像からは、深海で生き抜く工夫からこうしたユニークな姿に進化したことがよくわかる。

また、前回展で一躍有名になった「ダイオウイカ」の標本を始め、重量においてさらに大きいとされる「ダイオウホオズキイカ」の部分標本、「オンデンザメ」の全長3メートルもの標本など、巨大生物の迫力満点な展示は圧巻だ。

さらに、6,000mより深い“超深海”にも迫り、「カイコウオオソコエビ」などこれまで知られてこなかった地球の最深部の生き物にも出会うことができる。

最新の深海調査機器で、地球の未来を探る

深海研究は生物だけに向けられたものではない。私たちの暮らしに直結した地震のメカニズムや、地球誕生の秘密、地球環境の未来の姿まで、じつに様々な研究が進んでいる。その現場で活躍する最新の深海調査機器の実物や模型を見られるのも、本展の大きなみどころとなっている。

世界最大の科学調査船「ちきゅう」により採取された、東北地方太平洋沖地震の地震断層の実物は世界初公開となる。こうした最新の研究が、減災の基礎となっていることを感じる貴重な展示だ。

本展監修・国立科学博物館 動物研究部長 倉持利明氏は「本展は4年前の“続き”ではない、全くの別物です。私たちがこの先も地球上で生きていくためには、深海研究が必須であることを伝えられる展示にしたい」と意気込む。

また、同じく本展監修・海洋研究開発機構 海洋生物多様性研究分野長 藤倉克則氏は「この展示を見て『深海すごい！』から『深海研究開発すごい！』と思ってもらえたら。」と、深海研究にかける熱い思いと本展への期待を語った。

中川翔子の音声ガイド、おもしろグッズ盛りだくさんのお土産も！

本展の音声ガイドは、「深海生物ファン」としても知られるタレントの中川翔子さんが担当。ちょっと難しそうな深海の世界を、独特のしょこたん節でアツくガイドしてくれるので、深海への親近感が湧くだろう。

そして、最後に見逃したくないのがミュージアムショップ。他ではなかなかお目にかかれない深海生物をモチーフにしたおもしろグッズが勢ぞろいしていて、見応え充分だ。会場限定販売の「デメニギス」ぬいぐるみが、個人的にはイチオシである。

夏休みの自由研究にはもってこいの本展だが、子供はもちろん、大人もどっぷりとハマってしまいそう。暑さも忘れる深い深い海の世界が、上野でみなさんを待っている。