『プリンス・オブ・ブロードウェイ』衣装パレードがニューヨークで
撮影:Taku
10月23日より東急シアターオーブにて開幕するミュージカル『プリンス・オブ・ブロードウェイ』。ミュージカル界の巨匠、ハロルド・プリンスの集大成的作品にして、日本で世界初演を観ることができるということで、大きな期待を集めている本作品の「衣裳パレード」が、ニューヨークのエイコーン劇場で行われた。
「衣裳パレード」とは、いわゆる衣裳合わせで、キャストが衣裳とウィッグをつけて、場面ごとにお披露目。動き、踊り、全体のバランスを踏まえて、クリエイティブ陣のチェックを受ける。日本なら大抵、稽古場で行われるものを、オフ・ブロードウェイの劇場を貸し切って実施するあたり、スケールの違いを見せつける。
衣裳デザイナーはウィリアム・アイビー・ロング。ブロードウェイ作品を80作近く手がけてきた凄腕デザイナーで、彼の衣裳は「物語を語る」と評されるほどドラマ性に溢れている。もともと2万着あるハロルド作品の衣裳から『プリンス・オブ・ブロードウェイ』のために厳選、120着をロング流に表現。云百万円のドレス類もかなりあり、その豪華さに眩暈が起きそうだ。名曲、名場面に合わせ、まるで紅白歌合戦の如し。
客席最前列中央にはハロルド・プリンス、共同演出・振付のスーザン・ストローマン、脚本のデヴィッド・トンプソンらがずらりと並ぶ。しかし張り詰めた空気はなく、とても和やかに、時にはジョークを飛ばしながら、衣裳が細かくチェックされる。衣裳を他の候補に変えたり、眼鏡やショールなど小道具を足したり。「君はどう?」とハロルドがキャスト本人に意見を聞くことも多く、「共同作業」が随所で進行する。
最も湧いたのがラミン・カリムルーのスーパーマン!胸筋をピクビク動かすと、「もう一度やって!」と女性キャストから大受け。筋肉美といえば、他の場面で男性キャストがスーツで決める中、ラミンひとりだけ、なぜか上半身裸にジャケット、首元にスカーフを巻いて茶目っ気を見せた。もちろん『オペラ座の怪人』では二枚目に決めて。一方、彼がエスコートするケイリー・アン・ヴォーヒーズ演じるクリスティーヌのガウンは鮮烈このうえない。ラミンの歴史上のカリスマ人物の扮装も期待大だ。
『くたばれ!ヤンキース』の野球のユニフォーム姿で登場した柚希礼音には、全キャストが「カワイイ!」と絶賛。『フォーリーズ』では打って変わって超ゴージャスなドレス、他にもクールで都会的なドレスや男前なパンツルックと七変化。新たな柚希像に魅せられること請け合いだろう。ダンスシーンが多いため、軽く踊って足を高くあげて…と、必ず動けるかどうか自ら確認。「Fantastic!」と褒められると照れなのか、まん丸な瞳がクルクル回るのが印象的だった。
撮影:Taku
トニー・ヤズべックは『フォーリーズ』でのタキシード姿がカッコイイと評判に。彼もダンスシーンが多いので、腕を大きく広げたりと可動域をしっかり確かめていた。ジョシュ・グリセッティは『キャバレー』のMCでメイク顔を披露。隙あらばステップを踏むジョシュは大変キュートで、日本でも人気沸騰の可能性大。
女性陣の洗練かつ豪華絢爛なドレスに魅せられつつも、男女共、群衆などの扮装も地味に感動的。普段、センターに立つスターたちが、アンサンブル的な役目を果たしているのが新鮮で、本人たちも楽しげであった。
今後まだまだ内緒の衣裳が次々に出てくるという。これらはぜひ本番で確かめたいところだ。
撮影:Taku
そんな中、『プリンス・オブ・ブロードウェイ』の特別番組放送が決まった。9月27日(日)15:30よりTBSテレビ(関東ローカル)にて「密着!『プリンス・オブ・ブロードウェイ』」がオンエアされる。ミュージカル界の巨匠、ハロルド・プリンスの集大成!彼のもとに集まった超一流キャストたち…その思いとは!?白熱の稽古場、豪華衣裳、一人の日本人俳優との絆…。世界初上演となる最新ミュージカルの裏側に迫る、という全ミュージカルファン必見ドキュメンタリーらしい。
撮影:Taku
(当文章はキョードーメディアスからのリリースをリライトしたものです)
『プリンス・オブ・ブロードウェイ』
演出:ハロルド・プリンス
共同演出・振付:スーザン・ストローマン
出演(アルファベット順):ジョシュ・グリセッティ、シュラー・ヘンズリー、ラミン・カリムルー、ナンシー・オペル、ブリヨーナ・マリー・パーハム、エミリー・スキナー、マリアンド・トーレス、ケイリー・アン・ヴォーヒーズ、トニー・ヤズベック、柚希礼音/市村正親[声の出演]
【東京公演】
2015年10月23日(金) 〜 11月22日(日)
東急シアターオーブ(渋谷・ヒカリエ11階)
【大阪公演】
2015年11月28日(土) 〜 12月10日(木)
梅田芸術劇場メインホール
問い合わせ:梅田芸術劇場 【受付時間】10:00~18:00
[東京]0570-077-039
[大阪]06-6377-3800