dTVオリジナルドラマ『銀魂』吉沢亮、北乃きい 「辞めたい」「出会いを捨てていた」後悔から得た生き方

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2017.7.21
左:北乃きい 右:吉沢亮

左:北乃きい 右:吉沢亮

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週刊少年ジャンプでの連載で熱烈な支持をつかみ、コミックスの累計発行部数は5100万部を突破。2006年からスタートしたテレビアニメも爆発的な人気を誇っている、『銀魂』。小栗旬主演の映画版も大ヒット公開中だが、そのスピンオフ作品となるのが、dTVのオリジナルドラマ『銀魂ーミツバ篇ー』だ。原作の数あるエピソードの中でも「泣ける」と言われる、真選組・沖田総悟とその姉・ミツバの物語。『銀魂』特有のギリギリなブラックジョークを交えつつ、きょうだいの強い絆を描いている。そんな本作について、総悟役・吉沢亮、ミツバ役・北乃きいに話を聞いた。

吉沢亮

吉沢亮

大勢で歩いているときなんかは、一人だけポツンと後ろを歩いていたりする。そういう点では、総悟に似ていますね(吉沢亮)

——今回、お二人は姉、弟の関係を演じていらっしゃいますが、シスコン/ブラコン的な要素がありながら、個人的には羨ましいくらいの、きょうだい愛を感じました。

吉沢:僕も、演じながら「こんな優しいお姉ちゃんが欲しいな」と羨ましく思いました。うちは実際には男4人の兄弟なので、姉と弟がどんな関係性なのか分からない。だから、どちらかというと恋愛的なテンションで演じるようにしました。

北乃:私も、恋愛的な要素に寄って演じました。もし弟が結婚したら、(奥さんに)嫉妬すると思いますし。この間も、弟から1時間くらい電話で相談を受けていたんです。ちょうど、同時期には妹からも相談が来ていて。弟、妹との距離間の近さは、総悟とミツバに近いかもしれません。演じているときは、吉沢さんをもう一人の弟のように見えてきて、「弟がもう一人増えても、そんなに変わらないかも」と一瞬考えました(笑)。

——北乃さんみたいなお姉さんがいたら、羨ましいですよ! 僕は、妹に相談とかされたことはなかったですし。

北乃:それはきっとお兄ちゃんだからですよ。私​も、妹弟に相談しませんし。

北乃きい

北乃きい

——ちなみにどういう相談事をされるんですか。

北乃:些細なことです。妹からは「髪の毛の色を染めようと思うんだけど、何色がいいかな」と聞かれたり、「どんなお財布を買おうかな」と画像が送られてきたり。弟は、恋愛と仕事の話が多いですね。「どうしたらいいかな」って。「こういうとき、お姉ちゃんならどうしていた」、「結婚ってどう思う」とか聞いてきます。

——吉沢さんのご兄弟はいかがでしたか。

吉沢:うちは小さい頃から、「兄貴には逆らうな」と親に言われてきました。喧嘩になっても、兄貴には手を出せない。あと、暗黙のルールがあって。例えば、電話が鳴るとするじゃないですか。一番上の兄貴が、どんなに電話機の側にいても、受話器をとるのはその場にいる一番年下の弟なんです。

北乃:縦社会だったんですね。吉沢さんは、次男だからあまり電話を取りに行かなくて良かったんじゃない?

吉沢:そうなんですよ。そういうルールだったから、何をするにも一番下は大変だったと思う。でも、今振り返ってみるとおもしろいルールですよね。「そうしなさい」と決められたわけじゃなく、気づいたらそうなっていました。

吉沢亮

吉沢亮

——あ、でも確かにそういうルールがあるからこそ、関係性って保たれますよね。このドラマは、きょうだいだけではなく、真選組など「集団」での暮らしにもスポットがあてられている。いろんな人と毎日を送っていると、当然好き勝手もできなくなったりする。時には、孤独でいる方が気楽だったりしますよね。お二人は役者さんですから、集団でお仕事をされる機会が多いですけど、実際、大勢でいる方に安心感を抱くのか、それとも孤立する方が気楽なのか、いかがですか。

吉沢:僕はどちらかというと一人でいる方が楽です。休みの日はあまり外に出ませんし、積極的に誰かに会うタイプではないです。でも、たまに寂しくなって、友だちと飲みに行くんですけど(笑)。大勢で歩いているときなんかは、一人だけポツンと後ろを歩いていたりする。そういう点では、総悟に似ていますね。

北乃:私も一人でいるほうが楽です。保育園に通っていたときから、砂場で一人で遊んでいることが多かったそうです。集団での行動は大変だなぁ思っていました。特に女の子は、お手洗いに行くにも集団行動だったりして。だから学生時代は、特定のグループに入ったことがありません。グループから一時離脱した子たちとよく一緒にいて、その子は一か月くらい私のところに滞在し、グループへ戻っていくという。私は、誰かの滞在場所だったんです。

——だけど、人は絶対に何らかの組織の中で生きなきゃいけないですよね。孤立を好む人が、うまく周囲に溶けこむために必要なスキルって何だと思いますか。

北乃:私は、妥協だと思います。ネガティブな言葉かもしれないけど、でも必要。私は十代のとき、妥協ができなかった。だから、孤立していたんだと思います。でも二十代になって、年齢を重ねるにつれて、変なプライドがなくなっていきました。人のやっていることを、ちゃんと認められるようになった。そうやって気持ちが柔らかくなっていくと、良い意味で妥協できるんです。

吉沢:それは、素晴らしいご意見だと思います。あと、集団や組織の中でいかに拠り所を見つけられるかも大事ですよね。僕は、自分と気が合いそうな人をまず探します。誰かと仲良くすることで、少しずつ輪が広がっていきますし。

北乃きい

北乃きい

もっとちゃんと人に向き合って、生きていきたいって。私はきっと、大切にしなきゃいけない縁や出会いをたくさん捨てて、ここまで来てしまった。今、少しでも取り戻したいんです(北乃きい)

——今回の真選組をみると、自分が道を踏み外しそうになったら、誰かがちゃんと向き合ってくれますよね。ドラマの中では、総悟が、近藤勲(中村勘九郎)に道を正される。近藤は「誰かがひん曲がっていたら、それを正すのが、俺たちのやり方だ」って。お二人はそういう風に、誰かに考え方を正された経験はありますか。

北乃:私は、23歳でニューヨークに留学したときです。芸能関係ではない人たちと勉強をしていたのですが、そこで18歳の女の子と知り合いました。私は、このお仕事を始めてから、新しく友だちを作るのが難しく感じていて。当時の自分はものすごく強がっていたし、ちゃんと心を開いて人と接していなかったんです。そんなとき、雨の中のタイムズスクエアで、その子と大喧嘩をしました。大阪出身の子だったんですけど、「何でそんなに心を開いてくれへんねん!」と怒られて。いつもフレンドリーに接してくれていたのに、私がちゃんと応えられなかった。「あんたの、そういうところがホンマに嫌や」って。大人になってから、喧嘩なんてしていなかったので、「何だ、この気持ちは」となったんです。

——確かに、大人になるとそういう話をしてくれる人はいなくなりますね。

北乃:その子に、「私は、プライベートな気持ちであんたと接しているのに、全然心を開いてくれない」と言われて。「職業柄、そうしないといけない」とか間違ったガードの張り方をしていました。そしたら「そんな風に人付き合いをしてきたの?」と尋ねられて、「どうしても、慎重になってしまうから」と打ち明けたら、「あんたのそういうところがダメ。あと、こういうところもダメだよ」と全部言ってくれて。そのときに、考え方が変わりました。もっとちゃんと人に向き合って、生きていきたいって。私はきっと、大切にしなきゃいけない縁や出会いをたくさん捨てて、ここまで来てしまった。今、少しでも取り戻したいんです。もう26歳だから遅いかもしれないけど、それでも、今はいろんな人と接していきたい。

吉沢:良い話過ぎませんか。今の北乃さんの話を聞いたら、何も言えませんよ(笑)。

左:北乃きい 右:吉沢亮

左:北乃きい 右:吉沢亮

——分かります(笑)。ちょっと鳥肌が立ちました。でも、吉沢さんにも同じ質問をしたいです。

吉沢:僕は、誰かに何かを言われたという経験ではないですが、ただ一時期、本気で役者の仕事を辞めようと考えたことがありました。北乃さんと同じく、今だから言えますけど。

——それはいつですか。

吉沢:17、18歳の頃ですね。事務所の方にも何度か「辞めたい」と伝えました。そんなときに、初めての主演舞台『ぶっせん』をやらせていただきました。そこで、いろんな悔しい経験があったんです。主演なのに、周りの俳優さんに全ての面で大きく負けていたし、「ここはダメだな、どうしようかな」という部分があっても、誰かに相談できなかった。お客さんに来ていただくのも苦戦しましたし。悔しい気持ちがいろいろ重なったんです。もちろん当時、自分の中では出来ることの全力をやっていました。それでも、やっぱり「辞めたい」なんて考えていた時期なので、「これは、自分が今までちゃんとやってこなかった結果の一つだ」と悔しくなりました。そこで、目が覚めたんです。「もっともっと、本気で仕事に取り組まなきゃダメだ」って。それからは、実力はまだまだですけど、でも仕事自体が楽しく感じるようになりました。あの舞台が、僕の考え方を変えてくれました。

北乃:仕事に気付かされるということですね。舞台は特に、目に見えて結果が出ますよね。

吉沢:そうなんです。本当に今だから言えますけど。そうやって、「悔しい」という気持ちがそこまで大きく出てくるってことは、本気でやっていなかったからなんですよね。そういう感情になるのが、もう何か……すみません。ちゃんと喋れなくなってきた(笑)。

吉沢亮

吉沢亮

——いえいえ、すごく分かります。

吉沢:「もっと、ちゃんとやろう!」と決意できた瞬間です。今でも当然、「悔しい」となるけど、でも当時とは感情が違う。ちゃんとやっていないのに「悔しい」というのは、ちょっと違う気がします。自分がやり切った上で出てくる悔しさなら、しょうがないと思うんです。もう絶対に、やり切っていないのに悔しいなんて考えたくない。これからも、本気で仕事に取り組んでいきたいです。

インタビュー・文=田辺ユウキ 撮影=渡邊一生

配信情報

dTVオリジナルドラマ『銀魂-ミツバ篇-』

(C)空知英秋/集英社 (C)2017映画「銀魂」製作委員会(C)2017 dTV

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出演: 小栗旬 柳楽優弥 吉沢亮   北乃きい 戸塚純貴 / 中村勘九郎 ほか
脚本/監督: 福田雄一(ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ)
原作: 空知英秋「銀魂」(週刊少年ジャンプ連載中/既刊68巻)
主題歌: UVERworld「DECIDED」(Sony Music Records) 
配信開始日/話数: 配信中/ 全3話(全話一挙配信)
特設ページURL :https://video.dmkt-sp.jp/ft/s0000669
dTV銀魂公式twitter: https://twitter.com/gintama_dTV
(C)空知英秋/集英社 (C)2017映画「銀魂」製作委員会(C)2017 dTV

 

作品情報
映画『銀魂』
(C)空知英秋/集英社 (C)2017 映画「銀魂」製作委員会

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7月14日(金)より全国ロードショー
脚本/監督:福田雄一
出演:小栗旬 菅田将暉 橋本環奈 柳楽優弥 新井浩文 吉沢亮 早見あかり ムロツヨシ 長澤まさみ 岡田将生 佐藤二朗 菜々緒 安田顕 中村勘九郎 堂本剛 
原作:「銀魂」空知英秋(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
製作:映画「銀魂」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/gintama-film/
(C)空知英秋/集英社 (C)2017 映画「銀魂」製作委員会
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