龍 真咲にインタビュー「今、この時を大切にしていきたい」~龍 真咲コンサート『L.O.T.C 2017』に向けて
龍 真咲
元宝塚月組トップスターで、現在アーティストとして、また女優として活躍する龍 真咲が、8月26日・27日に東京は渋谷のBunkamuraオーチャードホールで、待望の単独コンサートを開催する。
2012年より4年半の間、宝塚月組のトップスターとして活躍した龍は、2014年4月に創立100周年を迎えた宝塚歌劇団、全5組を代表した記念公演での主演という重責を務めた。また、フレンチ・ミュージカル『1789~バスティーユの恋人たち』の本邦初演を大成功に導くなど、宝塚100年の輝かしい節目を牽引したスターとして大きな功績を残している。2016年9月、惜しまれつつ宝塚を退団した後は、歌を中心としたステージにゲスト出演を重ねつつ、本格的なトレーニングの為単身渡米し、定評ある歌唱力に更なる研鑽を積んできた。そして、日本を代表するトップ・クリエーター・チームとタッグを組み、全てオリジナル曲で構成された自身初のアルバム「L.O.T.C 2017」(エルオーティーシーニーゼロイチナナ)で2017年8月23日、ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューを果たすことが発表された。
今回のBunkamuraオーチャードホールでのコンサートも「龍 真咲コンサート『L.O.T.C 2017』」と題され、アルバム収録の楽曲はもちろん、龍の多面的な魅力が詰め込まれたライブステージが繰り広げられるとあって、今、大きな注目が集まっている。そんな龍に、コンサートとアルバムへの思い、宝塚退団後の日々、出演が決定している自身が初演したフレンチミュージカル『1789~バスティーユの恋人たち』のマリー・アントワネット役、更に今後のビジョンなどを語ってもらった。
観客の皆様と共に私自身も思いっきり歌って弾けるコンサートに
──宝塚時代、男役スターとしての煌びやかなステージをずっと拝見しておりましたが、今日はまたアーティステッィクなドレスが見事にお似合いで、まるで別の方のよう!と思いました。
そうです、別人なんです(笑)、ちょっと入れ替えました(笑)。
──ドレス姿のジャケット写真が印象的なオリジナルアルバム「L.O.T.C 2017」が8月に発売となり、更にこのアルバムの楽曲を中心に構成されるコンサートも控えています。まずこちらのアルバムに込められた想いは?
今までポップスというジャンルで歌うことはなかったので、色々な要素を取り入れた全7曲になっています。宝塚時代から応援してくださっているファンの方々と、このアルバムを初めて手に取って聴いてくださる方々に、共感して頂ける部分があったらいいなと思います。また、バラードあり、ロックあり、ジャズありと、様々なジャンルの楽曲がありますので、それをコンサートで、皆さんと一緒に歌えるところまで行けたらいいなとも思っています。
──コンサート会場のBunkamuraオーチャードホールは、宝塚退団後に出演された「『エリザベート』TAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラコンサート」でも立たれたステージですが、ホールの印象としてはいかがでしたか?
とても大きな劇場なので緊張もしますが、そこで自分のコンサートができるというのはやはり楽しみです。今、皆様の前で、生で歌って、踊って、動いてという機会があまりないですし、宝塚退団後にこんなに大きなコンサートができるのは初めての機会ですので、ファンの皆様と共に私自身も、思いっきり歌って弾けて、夏の終わりを彩りたいなと思います。
──宝塚時代にも趣向を凝らしたコンサートを開催されてきましたが、舞台で役を演じている時と、コンサートとではやはり表現なども変わりますか?
まず、今回のコンサートは私自身のオリジナルファーストアルバムがあるという事で、大きな変化があります。同じコンサートと言っても、宝塚時代とは全く違うものになるでしょう。退団後「初」となる部分を、どう音楽で表現していけるのか、そこは自分でも未知の領域です。その新しさを楽しんで頂けるといいのですが……。と言っても、まだ退団して1年足らずなので、きっと男役っぽい仕草なども出てしまうかと(笑)。
──それはつまり、いま現在の龍さんを観られるということですから、ライブの何よりの良さだと思いますよ!
そうなら良いんですけど。ちょっとラフな部分もお見せしてしまうかも知れませんが(笑)、それも含めて醍醐味になったらいいなと思っています。
リフレッシュもし多くを吸収もしたニューヨークでの刺激的な日々
──宝塚のトップスターというのは、大変な激務の日々だったと思いますが、退団してから時間の流れ方などは変わりましたか?
すごく変わりましたね。ゆったりした時間が取れるようになったことで、何かに取り組む日とのメリハリがつくようになりました。そして、集中力も増しました。心身に疲れが残ったまま、無理にでも次の行動をするという事に迫られないので、常に健康でお仕事に専念ができ、とても良いリズムの中で時間を過ごせています。
──そんな日々の中で、ニューヨークにも滞在されたとのこと。いかがでしたか?
今までは時間が取れませんでしたので、旅行という形でしか行くことができませんでした。ところが今回は初めて、ゆっくり滞在できて、とても刺激的でした。レッスンを受けながら、時間にとらわれることもなく、色々なところに行けて、のんびりしつつ、たくさん吸収もしてリフレッシュしました。
──ブロードウェイの作品も色々とご覧になったそうですね。
たくさん観て、もう純粋に楽しみました。ブロードウェイ作品は、年齢や男女を問わず層が厚いので、すごいと思いました。特にやはり作品によって、活躍する役柄の年代も幅広くて、それはもちろん理解していたのですが、改めて数々の作品に接して新鮮に感じました。
──作品を観る視点も変わってきたのではないですか?
変わりました! やはり今までは男役でしたから、男性の役者さんの演技や見せ方に気持ちが行っていたのですが、今は女優さんが「どうしてこの人はこんなに可愛いんだろう? 美しく見えるのだろう?」と、表現の仕方がとても気になって、集中して観るようになりました。そういう自分の変化も新鮮です。
──そうして刺激を受けたものが、このコンサートにもフィードバックされますか?
それはあると思います。やはり「表現」というものは、同じところを通過するんじゃないかな?と思いましたから。具体的に何が自分の引き出しに入ったのかまではまだわからないのですが、きっとコンサートの稽古に入った時には、湧き出てくるものがあると思います。
──また、ちょうどブロードウェイで様々な吸収なさったところで、シアターオーブで開催される『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』にも、日替わりゲストとして10月9日に出演されることが決まりましたね。
そうなんです。もう素晴らしい機会を頂いて!
──まだ歌われる楽曲などは決まっていないと思いますが、特に好きな作品や、ナンバーなどにはどんなものが?
それを入れられたらいいなと思っているので、今はまだシークレットにしておきます(笑)。ブロードウェイの第一線で活躍されている方達と同じ舞台に立てるという、とても貴重な経験なのでワクワクします。ただ、歌もすべて英語でと言われていますし、皆様とコミュニケーションがちゃんと取れるのか?英語で?というところだけが不安です(笑)。通訳の方はいてくださるそうですが、なんとか少しでも多く皆様と直接コンタクトを取って、力が発揮できるように頑張りたいと思います。
様々なチャレンジを重ねながら「歌っていきたい」という気持ちに真っすぐ向き合って
──そうした多くのコンサートを経て、来年4月からは『1789~バスティーユの恋人たち』にマリー・アントワネット役で登場されます。ご自身が本邦初演の舞台で主人公ロナン役を演じた舞台に、新たに女優として立つことについては?
もう、憎くて憎くて仕方がなかった役をやるんだなという(笑)、今はそういう感覚しかないんですが(笑)。でも、今まで、『マリー・アントワネット』を中心にして物事を考えるということがなかったので、今回改めてフランス革命を、あの時代を、『アントワネット』を中心に考え、どうイメージして作れるのかな?ということが楽しみでもあります。
──アントワネットの豪華なドレスも、作品のひとつの見どころでもありますね。
そこが、大丈夫なのかな?と(笑)。でも綺麗に着こなせるように努力して、自分を磨きたいと思います。
──様々な思い出の詰まった宝塚も、よく観劇されているそうですが。
そうですね。自分の組だった月組の公演は観るようにしています。
──客席からご覧になる月組の皆さんや、宝塚はいかがですか?
基本的にはお客様と一緒に「イェーイ!」という気持ちで楽しんで観劇しています。でも私が観ていると、下級生たちが緊張して、あり得ないことが起きたりもするんです(笑)。でも純粋に頑張って欲しいなと思います。
──そうした懐かしい再会もあった中で、今、アーティストとして歩み出されていますが、龍さんの描く今後のビジョンや夢などは?
今、頂けているお仕事が様々なジャンルで、正直「私でそのお仕事は大丈夫ですか?」と思うこともあるんです。でも今はどんなことにも挑戦しています。退団してから1年足らずのこの時期にこれだけ様々にできることがあるというのは、恵まれているなと感謝しています。その上で、根本的に歌っていきたいという気持ちだけは、宝塚に入るよりも以前からずっと持っていたものなので、退団後も歌が続けていけたらいいなと思っていました。それが「願望」であったところから「現実」になっている、今、この時を大切にして、しっかりと結果を残して表現していきたいという昂ぶりもあります。でも、越えなければならない山を目の前にした時には、怖いという想いよりも「やらなければ!」という必死な想いだけで突き進めていて、邪念がない状態なのが、自分でもいいなと思うので、真っ直ぐに取り組んでいきたいです。
──そんな新たな龍さんの魅力が詰まったコンサートを楽しみにしている皆様に、意気込みとメッセージをお願いします。
アルバムを発売することになりましたので、ぜひ皆様にお買い求め頂きたいです。そして、そのすぐ後にコンサートも始まりますから、CDを聴きこんで覚えて、歌えるようにしてきてください! きっとその中でお気に入りの曲が見つかると思います。それについてまた皆様とお話もしたいですね。また、これまで私のことをご存知なかったという方々にも、アルバムを聴いて頂けたらと願っています。コンサートのメインはアルバムの楽曲になりますが、それ以外にも様々な楽曲と趣向を取り入れて、盛りだくさんな内容にしていきますので、8月26日、27日の土日はぜひオーチャードホールにいらしてください! お待ちしています。
写真撮影=高村直希
衣装by Aula
アクセサリー(ピアス、リング3つ)by Yokokitagawa
■東京 渋谷オーチャードホール 8月27日(日) 14:00開演
全席指定 ¥10,000(税別)※未就学児童入場不可
詳しくはHP http://www.ryumasaki-scp.com/concert2017
問い合わせ:オフィシャルサイト http://www.ryumasaki-scp.com/
作品:アルバム 「L.O.T.C 2017」(読み方:えるおーてぃーしーにーぜろいちなな)
発売日:2017年8月23日(水)
ビクターエンタテインメント
龍 真咲オフィシャルサイト http://www.jvcmusic.co.jp/ryumasaki/
M1「LANDING on the CITY」 作曲:巴川貴裕・松井喬樹/編曲:Integral Clover
M2「Silly game」 作詞:濱名 琴/作曲:orange spotting/編曲:南田健吾
M3「Get by me」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:南田健吾
M4「Merrily Mode」 作詞:濱名 琴/作曲:石松領平/編曲:Integral Clover
M5「Miss you always」 作詞:濱名 琴/作曲:田中隼人/編曲:山﨑佳祐
M6「Long Island Icetea」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:山﨑佳祐
M7「ヒーロー」 作詞:濱名 琴/作曲:長沼 良/編曲:小山 寿
<龍 真咲プロフィール>
元・宝塚歌劇団「月組」男役トップスター。2001年の初舞台以来、類い稀なルックスと歌唱力で注目を浴び、2012年4月「月組」トップスターに就任、2014年4月宝塚歌劇団100周年記念式典公演では、全5組を代表して主演を務める。唯一無二の輝きと麗しさ、自由奔放な発想で、その後も多くの新しいファン層を掴み、宝塚歌劇新世紀を創り上げる。2016年9月4日、織田信長を演じて男役を全うし、8000人のファンが見送る中、宝塚歌劇団を卒業。現在はヴォーカリスト、アーティストとして、舞台・音楽・ファッションを中心にマルチな才能を活かし、多方面から期待を寄せられている。