ジョン・キャメロン・ミッチェルが『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』にコメント
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『「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」SPECIAL SHOW』の東京公演、大阪公演の
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、1997年よりオフ・ブロードウェイで初上演されロングランを記録し世界各地で上演、2001年には映画化され、サンダンス映画祭観客賞、監督賞など数々の賞を受賞、マドンナやデヴィッド・ボウイなど数々のセレブリティ達も熱狂し、舞台・映画共に世界中に一大ブームを巻き起こした。
SPECIAL SHOWは僕にとっての原点回帰
みなさんにはセレブレーションとして堪能してもらいたい
――日本での出演を決めたきっかけを教えてください。
日本で何らかの形で『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の公演ができればという話は以前からしていたんです。最後に日本でパフォーマンスをしたのが2008年だったと思うんですが(山本耕史主演の『ヘドウィグ~』ツアーファイナル大打ち上げLIVE~「ジョンも来るよ!」)、もう一回やってみたいとずっと思っていたことが、今回叶いました。
――今回で初めて『ヘドウィグ~』に触れる若い世代の方もいらっしゃるので、ぜひジョンさんからどうやってこの作品が生まれたか、教えてください。
プラトンの『饗宴』に出てくるテーマ、「Origin of Love(愛の起源)」をベースにして何か作品を作りたいと思っていました。そこで、「自分の片割れを探している少年」というキャラクターが思い浮かびました。これが『ヘドウィグ』の中では(ヘドウィグが愛情を注ぐ少年)トミー・ノーシスという役に発展していったんですが、この役は僕自身がベースになっているんですよ。
また、今までにない、本格的なロックをミュージカルの世界で実現できればと思っていたんです。飛行機の中で偶然スティーヴン・トラスクと隣り合わせになったことがきっかけで、彼に作曲をお願いするようになった。そして、スティーヴンがハウスバンドをやっていたNYにあるライブハウスSqueezeboxで公演することになったんです。
――『ヘドウィグ~』の楽曲の中でも「Origin of Love」は飛び切り美しいナンバーですね。
『饗宴』で描かれている、昔は自分とつながっていたはずの片割れに会いたくて探し回るという神話はアメリカだけでなく、いろんな国の人の心に響くんでしょうね。たとえば、日本の『君の名は。』というアニメを見ましたが、赤い糸で恋人たちが前世から結ばれているという話はほの悲しく、ロマンチックですよね。だから「Origin of Love」も、日本人の心に響くストーリーなんじゃないでしょうか。
――「End of Love」という新曲を作っていると伺いましたが、その内容は? 「Origin of Love」のアンサーソングなのでしょうか?
必ずしもアンサーソングというわけではないんですよ。僕は今、ラテン語で「小さい男」という意味の『Homunculus(ホマンキュラス)』という作品を作っているんです。『ヘドウィグ~』は自分探しの物語であり成長物語でもありますが、この新作では自分自身が何であるかがわかってきた男がどんな終焉を迎えるのかという話。この男にとってイエス・キリストが初恋の人であって、悲しい局面で神との別れを歌うのが「End of Love」です。ストーリーは違いますが、「Origin of Love」を彷彿とさせる部分があるナンバーですね。この「End of Love」を今度の日本公演のカーテンコールで歌えたらと思っています。
――2017年の今、ご出演するにあたり、日本の皆さんに語りたいメッセージは?
昔から日本の文化が大好きなんですが、特に惹かれるのはお互いを慮るところ。気遣いがあるところが好きです。東日本大震災のとき、皆さんがお互いに協力なさっている様子を見て、9.11(2001年のアメリカ同時多発テロ)のときのことを思い出しました。とても訴えかけられるものがありました。残念ながら悲劇が訪れないと人のいいところはなかなか引き出されないものですけれども、日本では人を慮る気持ちの大切さをどんどん語っていきたいと思いますね。
そして皆で「Origin of Love」を歌って、「人生はこんなにも複雑で、こんなにも楽しく美しいものなのか」という思いを分かち合いたい。人の存在意義というのは愛し愛されるためにある。人間がこの世に生まれた意味をもう一回考え、味わえたら嬉しいです。
少年ハンセルは、自由の国アメリカに渡りロックスターになるのが夢だった。彼は幼少時に母親からプラトンの魅惑的な「愛の起源」の物語を聞かされる。以来、彼は自分の“カタワレ”を見つけようと心に決める。ある日、彼は偶然一人の男と出逢う。その男に見初められ、彼との結婚の道を選んだハンセルに待ち構えていたのは、アメリカへ渡るための“性転換手術”だった。しかし、手術を受けたハンセルの股間には手術ミスで「怒りの1インチ(アングリーインチ)」が残ってしまう。その後、ヘドウィグを名乗り渡米を果すも離婚、ベビーシッターなどをして日々の糧を得つつロックバンドを組むも、なかなか成功への道が見えず生活に追われていた毎日だった。やがて17歳の少年トミーに出逢い、愛情を注ぐようになるヘドウィグだったが、トミーはヘドウィグの曲を盗んでビルボードNo.1のロックスターに上り詰める。最愛の人に裏切られたヘドウィグは自らのバンド「アングリーインチ」を率いて、ストーカーのようにトミーの全米コンサート会場を追い、スタジアム脇の冴えない会場で巡業する。果たして、自分の魂である歌を取り戻し、捜し求めていた“カタワレ(=愛)”を見つけることができるのか…?
公式URL:http://www.hedwig2017.jp/