あいみょん、yonigeら女性ボーカル4組による真夏の熱い“クリスマスライブ”

レポート
音楽
2017.7.26
『Summer Xmas Party』撮影=森 久

『Summer Xmas Party』撮影=森 久

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毎年冬に所属アーティストが一堂に会する『Xmas Party』を開催しているWarner Music Japan内のレーベルunBORDEが、7月25日(水)『Summer Xmas Party』と題して渋谷WWW Xでイベントを決行。その理由は、「クソ暑い最中にも聴いていただきたいアーティストがいるから」と冒頭にレーベル・ヘッドの鈴木竜馬氏から挨拶があった。

ということで、この日集まったのは4組のアーティストで、ソロ、バンド問わず女性ボーカルばかりという華やかさ。チケットはソールドアウト、「もう半歩前に詰めてください」とスタッフが声をかけるほどぎっしりのオーディエンスが開演を待ちわびていた。

RÖE 撮影=森 久

RÖE 撮影=森 久

出順トップのRÖE、2018年にunBORDEからデビューすることがこの日解禁になった謎のアーティスト。登場SEがかき消されるほどのギターノイズの中カウントが入り、「私以上の女等、此の世に存在しない」といきなり強烈な自己主張を叩きつけた。その1曲目「当流女」のあとに披露した「そそらるる」では疾走感溢れるポップを、そして「少女の如く、女の如く」では、AメロとBメロとサビで表情がくるくると変わるワルツ調の曲を、ハンドクラップの打ち込みのクールさとバックコーラスのレイドバック感が独特の雰囲気を生む「ピエロ・シティ」、アバンギャルドなニューウェイブ・ポップ「脱獄計画」まで、ひとつとして同じようなタイプの曲がない。それもこれも、彼女のかわいらしさと毒が同居する、まるで女性の感情の全部をひっくるめたような声だからこそ成立する。最後は、楽曲の一部が公開されたばかりの「泡と鎖」で締めくくった。

アカシック 撮影=森 久

アカシック 撮影=森 久

アカシックの「8ミリフィルム」のイントロが始まった瞬間、フロアの待ってました感が爆発。理姫のボーカルと詩世界はライブで体感するとまた違う化学反応が起こる。「オレンジに塩コショウ」では、イントロのバンドアンサンブルから持って行かれる。日焼けした肌の匂いとかざらついた砂の感触とかたしかに感じた心の揺らめきとか……まるで波に浮かんで無抵抗にされるような気持ち良い曲だ。その後、ファンのツイートをいじる理姫によるキレのあるMCを挟み、ここからは怒涛のライブセット。7/26から配信を開始した「いちかばちかちゃん」、「CGギャル」、そしてラストは「プリチー」。フロアが揺れるほどの盛り上がりを見せた。一気に夏が駆け抜けていったような潔いライブだった(最後、帰りたくない、と駄々をこねた理姫だったが)。

yonige 撮影=森 久

yonige 撮影=森 久

yonigeのライブは「センチメンタルシスター」から始まった。ボーカル&ギターの牛丸ありさとベースのごっきんの2人組。この日はドラムスと合わせて3ピースで登場。3ピースらしいストレートな音像は、オーディエンスに1対1のコミュニケーションを仕掛けているよう。つづく「our time city」「さよならアイデンティティー」は、ロードサイドの風景や孤独感、退屈な日常といった、現代文学が描き出しているような世界をパッと一掴みにしてみせた鮮やかさだ。「アボカド」「さよならプリズナー」が披露されるとオーディエンスの熱が急上昇。ネガティブとポジティブを同時に、かつシームレスに描き出す歌詞とサウンドは、もはや日本語ロックの新機軸と言えるものかもしれない。彼女たちの表現する“今”をこれからも聴き続けたいと思わせるようなライブだった。

あいみょん 撮影=森 久

あいみょん 撮影=森 久

この日のトリを務めたのは、あいみょん。結論から言って、ボーッとしてしまうくらい素晴らしいライブだった。もともと彼女の声のポテンシャルや詩世界のオリジナリティ、メロディ・センスは卓越したものがあったが、それをライブでまざまざと見せつけてくれた。「貴方解剖純愛歌~死ね~」が始まるとすぐにオーディエンスが頭上でハンドクラップを打ち鳴らす。あいみょんのグルーヴに会場が一瞬で染まった。ポップなイントロが印象的な「今日の芸術」ではオーディエンスは横ノリになって曲を迎えている。くっきりと歌詞が聴き取れる彼女の声は、メロディに乗ってより遠くに、より深いところに刺さる。曲が終わっても、その余韻が体の中にずっと残っているような感じがあるのだ。音楽的に細かいことがわからなくても、曲の持つ温度や息遣いはしっかり伝わっている。そしてそれができる人が、より多くのファンを獲得し、ブレイクしていくのだろう。8/2(水)にリリースされる新曲「君はロックを聴かない」は、まさに彼女のブレイクポイントとなってもおかしくない曲だ。切ない恋愛感情を歌いながら、あいみょんの音楽への一途さも伝わってきて、様々な感情が掻き立てられる。「生きていたんだよな」「愛を伝えたいだとか」で本編を終了。前者がフォークをベースとした曲で、後者はR&Bやファンクの要素も散りばめた曲だが、彼女はライブでも難なく乗りこなしていった。アンコールの拍手を受けて披露したのは「○○ちゃん」。大切な友達を歌ったというこの曲を聴きながら、声の持つ説得力や才能についてずっと考えていた。考えたけどはっきりしたことはわからないから、またあいみょんのライブに行こうと思った。

4組の才媛の競演で彩った夏の夜――まさに『Summer Xmas』というくらいありえない驚きに満ちていた。


文=谷岡正浩 撮影=森 久

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