“SNS世代”に問題提起を【DATS×向井太一 東阪ビルボードライブで対バンライブ】DATS編
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DATS
――歌詞について、今作ではメンバー全員がそれぞれ書かれていますね。“SNS世代”が日々感じている哀愁だったり煌めきだったり、当たり前と感じていたことへの違和感だったりが、それぞれサウンドと歌詞に表れていてグッとなりました。それこそ英詩に馴染みがなくても、タイトルから想像出来たり、音から芯の部分が伝わってくるなと。
杉本:4人で作詞をするのは今回が初めてなんですけど、それぞれスタンスが違っていたのが面白かったですね。この情報社会を前にしての距離感とか熱量とか、そういったものがそれぞれ独自のスタンスがあって面白かった。それこそ説教じみるのかそうじゃないのか。ちょっと一歩引いて、嘲笑するのかとかね。
伊原:テーマである“若者の目線”という点では、あるものに対して一方向から見るよりもメンバーで分担することで、“今のデジタルデバイスってどうなんだろ?”とより多くの視点から書けて説得力があるなと。
――早川さんが作詞された、“インスタグラムの女王”をモチーフに描いた「Queen」は今の時代を象徴してるなと思いました。
伊原:普段はそんなに多くを語らない早川が、バカ良い歌詞を書いてきたのでびっくりしましたよ。“save it your heart instead of the folder”のセンテンスとかね。
早川:フォルダじゃなくて、ちゃんと記憶に残そうよって意味なんですけど。
杉本:普段は人のこと説教なんてしないくせに、歌詞ではバカ説教してるやん! って(笑)。
早川:何か思うことがあったんでしょうね(笑)。インスタとか加工したりしすぎじゃないかとか、日々思うわけですよ。もっと自分の目で見て伝えればいいじゃんかとか、感性を捨てるのはもったいないよとか。“飯を食う前に写真撮るなよ!”みたいな(笑)。だけど自分もやってしまう。とはいえ、なんか嫌だなと思ったことを書きました。
DATS
――SNSで自分を取り繕うのが当たり前になったからこそ、リアルを体験しているその瞬間よりもSNSにアップする時のことを考えてしまいがちですもんね。
伊原:カズくんの「Tinnder」の歌詞もそういう感じだもんね。
――男女のマッチングアプリがテーマの曲ですね。
大井:SNSというものが普及して、人と人の繋がりにリアルが欠けてきているところがあると思うんです。それはそれで面白いんですけど、アプリを介して仲良くなった相手でも、会うのは初めてという不思議な出来事が起こるのも、今では当たり前だし。小さい頃はそれを経験せずに過ごしたので、やっぱりちょっと怖いんですよね。なので、「どう思ってるの?」っていろいろな人に聞いてみたいという想いから書きました。
――“make yourself offline/let's go fool around”(今こそオフラインになって/バカになろう)とか、まさにそうですよね。
大井:オフラインになるべきなのか、そうではないのか。僕は聴いた人がどう思ったのか、フィードバックがほしいですね。ファンの人が聴いてくれて、その歌詞を読んでどう思ったかということを、それこそSNSを使ってTwitterのポストに収まる文章でも、ダメだったらDATSのメールアドレスに送ってくれてもいいし、どんどんどう思うのかを投げ返しえてほしいです。
杉本:それこそ、すでに面白い反響があったんだよね。リリースしてからインストアライブをやったんですけど、その後にSNSで論争が起こったんです。というのも、ライブ中に携帯で写真だったり動画を撮ってる人が多すぎると。特に、一彌の前にいる女の子たちがずっと写真を撮ってるんですよ!
伊原:僕たちは撮影禁止も許可するとかも何も言っていないんです。だから、ファンの中で「あの人、カメラで撮ってたけどどうなのそれ」と違和感を持つ。あるファンの人は「今日はいっぱい一彌君の写真が撮れた!」とか。それこそ、「フォルダじゃなくて記憶に残そうって歌詞に書いてあるじゃん!みんな分からないの?」と言うファンも。どっち派もいるから、どっちが楽しくてどっちが正しいのかと論争になってる。
杉本:その反響を知った時は、出してよかったなと思いましたね。このアルバムで問題提起をしたかったので、それこそ説教するとかしないとかじゃなくて、「皆は今の時代をどう捉えてるんですか?」って俺ら自信にも問いかけているし、リスナーの人たちにも問いかけたかった。しっかりと問題提起となる作品を出せたからこそ、聴いた人がライブを観に来て、「スマホで撮ってSNSにアップしていいの? DATSはああいうことを歌ってるよね?」という意見が出てきたんだと思います。
伊原:だからこそ、バンドとしては何も言いたくないんですよね。撮りたい人は撮ればいいし、撮らずに聴いて踊るのもいい。楽しみ方は君たち次第なので、どれを選択するかは君たちが選んでほしいと。「Netflix」の歌詞でもあるんですけど、まさに“come on choose it”なんですよ。
杉本:その人にとって幸せなものを選択し続ければいいだけの話ですから。その上で、今作をきっかけに、自分が今、当たり前だと思っている感性を疑い直してみてほしいですね。TwitterでもInstagramでもなんでも、自分の好きなもので成り立つ世界なのでフォローしている人や“いいね!”だとか、自分の価値観で構成されているじゃないですか。毎日、会社に行く通勤途中のルーティンで見る世界。自分がこうだと思う世界は自分の身近にあるものでしかなくなってきている。だけど本当は、そうではない部分の世界がもっと広くあって、知らないものがあって、当たり前じゃない部分の方が大きい。他者には自分にない価値観があることを、違う価値観を持った人たちの気持ちとか世界を少しでも想像してもらえれば、よりいい世の中になるんじゃないのかなって思うんです。
――リリース後すぐのインストアライブで、早くもひとつのきっかけになった。ということは、これからのリリースツアーに向けて反響がまた楽しみですね。8月には、東阪ビルボードライブで、同世代の向井太一氏と対バンが決まっています。最後に、同世代アーティストに対してのライバル心だったり、影響を受けていることついてもお伺いしたくて。
杉本:ライバルとかは無いですよ。好きな同世代のバンドは日本のバンドも聴きますし、“マイヘア(My Hair is Bad)いいよね”とかメンバーと話したりはするけど、それはいちリスナーとして思っているだけですから。
伊原:せっかく歳も近くて同じように音楽やっててるわけでなので、普通に仲良くやっていますね。ライバル意識とかは特にないよね。
大井:たぶん誰もライバルはいないって言うと思うんですよね。それってアーティストは自分で自分の所属を決められないから。聴いてくれている人たちから“向井君と仲良さそうだよね”と言われると嬉しいんですけど、僕らからどのシーンに属しているとかライバルが誰でとかは決めることはしないですね。
杉本:言っていいなら“あのバンドがクソうぜぇ”とか、“あのバンド、マジで嫌いだからさっさと辞めろ”とか、言えますけどね。
大井:やめろ! やめろ!(笑)。
――そりゃいますよね!?。でも、今よりもバンド同士が先輩後輩関係なく、バチバチとライバル心むき出しにした時代もあったわけですよね。なんなら、嫌いなバンドも言っちゃうぐらい。
大井:うん。でもアーティストである前に、モラルをね。
――それは今の世代の人の考え方なのかな、とも思いますね。良くも悪くも“ライバル心”とか“バチバチした感じ”ってあんまり意味ないんじゃないかなと。私もみなさんと年齢’が近いので、どちらかというと共感できます。逆にネガティブな意味で、“悟り世代”なんて言われてるのもそういうところなのかなと。
大井:バチバチなんかしなくていいと思うんです。今の人たちは“悟り世代”だとかガッツかないというのは、ガッツく必要がないぐらい、自信があるということだと思います。
伊原:対バンって言うぐらいだから、対決だと思ってます。リングに上がったら歳がいくつだとかチャンピオンか挑戦者なのかも関係ないですよ? それと同じでステージに上がったら同じアーティストだし、挨拶するところは挨拶して。だけどステージに上がった以上は絶対に負けないぞと。そういう気持ちでどのライブも精一杯やっていきたいですね。
取材・文=大西健斗 撮影=日吉"JP"純平
イープラスではビルボードライブでの8/6(日)東京、8/11(金・祝)大阪公演で
各公演5組10名様をライブモニターとしてご招待!
■8/6(日)ビルボードライブ東京
【1stステージ】開演17:00 【2ndステージ】開演20:30
https://creativesurvey.com/ng/reply/4d6558380f5b57069738dbf23784a3/?
■8/11(金・祝)ビルボードライブ大阪
【1stステージ】開演17:00 【2ndステージ】開演20:30
https://creativesurvey.com/ng/reply/542e80d739bac776560bfd5a228576/