サントリーホールが開館30周年記念事業を発表

レポート
クラシック
2015.9.18
左)市本徹雄・サントリーホール総支配人 右)堤剛・同館長

左)市本徹雄・サントリーホール総支配人 右)堤剛・同館長

 2016年に開館30周年を迎えるサントリーホールが9月16日、堤剛・サントリーホール館長、市本徹雄・同総支配人の出席のもと、30周年記念事業を発表した。
(取材・文:編集部 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

 記念事業は年末の「ジルヴェスターコンサート ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団」を皮切りに、「チェンバーミュージック・ガーデン」「サマーフェスティバル」「サントリーホール フェスティバル」の3つのフェスティバルを軸に展開する。

 なかでも注目されるのは、10月12日の開館記念日をはさむ9月19日から11月26日にかけて行われる「サントリーホール フェスティバル」での様々な公演。 

 まず、〈サントリーホール30周年記念ガラ・コンサート〉(10/1、2)ウィーン・フィルが登場、小澤征爾がシューベルトの「未完成」を指揮するほか、アンネ=ゾフィー・ムターとの共演で武満徹「ノスタルジア」を演奏予定。ムターはこのほかに、ノルベール・モレの協奏曲、プレヴィンの室内協奏曲、「四季」なども披露する(10/4〜9)。開館記念日(10/12)にはメータ&ウィーン・フィル「第九」を、ホールのアソシエイト・アーティストである内田光子が、マーラー・チェンバー・オケとの共演でモーツァルトの協奏曲を4曲弾き振りする(11/4、8)。

 さらに、11月には〈ザルツブルク・イースター音楽祭 in JAPAN〉が行われる。ザルツブルク・イースター音楽祭はカラヤンが1967年に私財を投じて創設した音楽祭。2013年から継承するクリスティアン・ティーレマン&ドレスデン・シュターツカペレが7日間にわたりその真髄を披露。目玉は「ホール・オペラ(R)」の復活で、演目はワーグナーの楽劇《ラインの黄金》だ。また、サントリーホール30周年記念作曲委嘱は、イギリスの作曲家、マーク=アンソニー・ターネジに決まった。声楽付きの大作となる予定で、世界初演は大野和士&都響

 サントリーホールでは、これらの公演を含む「サントリーホール フェスティバル」公演を対象としたパスポート「プレミアム30」を限定30名、30万円で発売する予定(詳細は11月に発表)。

 「チェンバー・ミュージックガーデン」は、例年よりも1週間長く、キーワードを“アジア”に開催。ベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏会には、初の日本人グループとなるクァルテット・エクセルシオが登場する。
 
 「サマーフェスティバル」では「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」にフィンランドのカイヤ・サーリアホをとりあげるほか、特別演奏会として、2016年に没後20年にあたる武満徹の「ジェモー(2つのオーケストラのための)」(国際作曲委嘱シリーズ第1回作品)を第17回委嘱作曲家のタン・ドゥンほかの指揮で再演する。

 サントリーホールは、東京初のコンサート専用ホールとして1986年10月12日に開館。以来、16,350公演を実施し1,721万人が来場(2015年8月末現在)するなど、日本を代表するコンサートホール。これまで創造的で質の高い自主企画公演、音楽文化の継承と発展を視野に入れたエデュケーション活動等様々な取り組みを実施してきたが、このほかにも、様々な公演や企画を、これまでにない規模と内容で展開する。

 共同主催公演として2月にはダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンの「ブルックナー・ツィクルス」を、5月にはサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルによる「ベートーヴェン交響曲ツィクルス」などを開催する。

 席上、サントリーホール館長の堤剛は「サントリーホールは、単なるコンサートホールではなく、音楽を中心に人が集まり人々が交流できる場所にしていきたい。そのために国内だけではなく海外にも影響を与えるような質の高い自主企画の制作、実施。このホールでしかできないこと、このホールだからできることを挑戦し続けていきたい」と語った。

堤剛・サントリーホール館長

堤剛・サントリーホール館長

 このほか、2017年の2月から8月までホールの更なる向上をめざし、全面休館したうえで大規模な改修を行うことも発表された。内容としては、経年劣化への対応、音響品質の保持、意匠改善などのほか、将来的には新しい技術を導入したサービスへも対応できるようにすると説明、ベルリン・フィルやMETが行っているようなネット配信にも期待をのぞかせた。

 また、グローバル化への対応として、シンガポールの総合文化施設「エスプラネード」と中長期的に協力関係を築くほか、英語での購入サイトを開設、4月から開始している英語版の公式ツイッター(@SuntoryHallE)などを通じ、世界一流のアーティストが集うホールであることをアピールしていく。

■ 30周年記念公演一覧(主催・共催公演)
http://www.suntory.co.jp/news/s_hall2015/sh0199-1.pdf
■30周年記念公演一覧(参加公演)
http://www.suntory.co.jp/news/s_hall2015/sh0199-2.pdf

■サントリーホール30周年記念「世界のアーティストからのメッセージ」予告編 1分51秒



サントリーホール
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/

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